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第一章
第9話 攻略
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しばらく歩くと、僕たちは二体目のゴブリンに遭遇した。
「今度は君がやってみて。大丈夫、レベル1でもゴブリン一体ぐらいならなんとかなるから」
「わ、わかった」
僕はそう言って剣を構えてゴブリンに近づいていく。ある程度近づくと、ゴブリンは棍棒片手にこちらに突撃してきた。
「ギィ!!」
そう叫んで棍棒をこちらに叩きつけようとする。僕はそれを難なくかわした。ゴブリンは続けて暴れるように棍棒を振り回す。僕はそれを全て紙一重でかわす。
(……あれ、なんだろう。体が勝手に動くような……)
なぜだかわからないけど、僕はなんとなくゴブリンがどう攻撃してくるのかわかった。僕はすっとゴブリンの横に回ると、剣をゴブリンの脇腹に突き刺す。ゴブリンは「グギャアア」と叫んでその場で消え去り、魔石だけが残った。……なんだろう、全く負ける気がしない。
「……ユイトってモンスターを相手にするのはこれが初めてだよね?」
ミサキがこちらに歩いてきて言った。
「うん、初めて」
「……そう。それにしてはとてもいい動きだった。レベルが10あってもおかしくないぐらい」
ミサキが感心したように言った。僕自身、さっきの自分の動きにはとても驚いていた。現代人が異世界転移すると身体能力が上がるとか、そういうことがあったりするのだろうか? ……いや、身体能力というよりはなんだろう、センス的な何かだろうか?
その後、何度かゴブリンに遭遇したけどゴブリンは既に僕たちの敵ではなかった。さくさくと倒して、さくさくと魔石が手に入った。
そして気がつけば、僕たちは最初の中間地点へとたどり着いていた。中間地点は樹木で囲まれた大きな広場のような場所で、多くの参加者が休憩を取っていた。
「えーと、お前たちでちょうど120組目と……」
中間地点の入り口に立っていた試験官が僕たちを見て言った。
「結構、後ろの方ですか?」
僕は少し気になって尋ねる。
「今回の参加者は全部で164組だから、まぁ後ろの方だな。ただ別に速さを競う試験じゃないから気にすることはないぞ。それに試験はここからだ」
「ここから……というと?」
「この先からはゴブリンに加えてグレイハウンドが出るんだよ。グレイハウンドはゴブリンに比べたらだいぶ厄介なモンスターだ。例年だと、グレイハウンド地帯で半分は脱落するな」
半分が脱落と聞いて僕は背筋が寒くなった。
「気にすることはない。グレイハウンドも私にとってはただの雑魚。それに君も多分、十分倒せると思う」
ミサキがフォロー気味に言った。グレイハウンドって名前からして明らかに狼系のモンスターだと思うけど、大丈夫だろうか……。狼って現代でも遭遇したら結構ヤバイような……。僕は大きな不安にかられた。
休憩後、僕たちはグレイハウンドのいるという先のエリアに進んだ。念のため、地図を頼りにあまりグレイハウンドがいなそうなルートを通っていく。しかし、ゴブリンしか出ない前のエリアと違って、このエリアに入ってから明らかに負傷して休んでいる参加者が多く目につくようになった。中には撤退するために道を引き返している参加者もいた。やはりグレイハウンドはゴブリンよりも相当厄介なのだろう。
しばらく道を進むと、僕たちは遂にグレイハウンドに遭遇した。二体だ。予想通り灰色の狼のようなモンスターで、こちらを威嚇するように「グルルルル」と唸っている。
「――【識別】。……レベル6と8か。私はレベル8の右の方をやるから、君は左をお願い」
「わ、わかった」
ミサキにそう言われ、僕は左のグレイハウンドに向かって剣を構える。そして、こちらに注意を惹きつけるために、左側から回り込む。ある程度近づくと、グレイハウンドは僕に向かって飛びかかってきた。
「ガア!」
グレイハウンドの動きはゴブリンと比べると相当速かったけど、僕はそれでも難なく攻撃をかわした。ゴブリンの時と同じようになぜか相手の動きが見えて、体が自然に反応する。僕はその後の攻撃も何度もかわし、最後に足に噛み付こうとしてきたところを狙って背中に剣を突き刺した。グレイハウンドは「ギャウ」と叫びを上げて消え去る。思ったよりもたいしたことがなかった。
ミサキの方を見ると、ミサキもすでにグレイハウンドを片付けていた。
「グレイハウンドも楽勝みたいね。……少し見直したかも」
「え、そ、そうかな?」
……ミサキの褒め言葉に僕は正直、満更でもなかった。僕たちはその後も遭遇したグレイハウンドを順調に片付けていった。そして、気がつけば僕たちは二つ目の中継地点に着いていた。
「今度は君がやってみて。大丈夫、レベル1でもゴブリン一体ぐらいならなんとかなるから」
「わ、わかった」
僕はそう言って剣を構えてゴブリンに近づいていく。ある程度近づくと、ゴブリンは棍棒片手にこちらに突撃してきた。
「ギィ!!」
そう叫んで棍棒をこちらに叩きつけようとする。僕はそれを難なくかわした。ゴブリンは続けて暴れるように棍棒を振り回す。僕はそれを全て紙一重でかわす。
(……あれ、なんだろう。体が勝手に動くような……)
なぜだかわからないけど、僕はなんとなくゴブリンがどう攻撃してくるのかわかった。僕はすっとゴブリンの横に回ると、剣をゴブリンの脇腹に突き刺す。ゴブリンは「グギャアア」と叫んでその場で消え去り、魔石だけが残った。……なんだろう、全く負ける気がしない。
「……ユイトってモンスターを相手にするのはこれが初めてだよね?」
ミサキがこちらに歩いてきて言った。
「うん、初めて」
「……そう。それにしてはとてもいい動きだった。レベルが10あってもおかしくないぐらい」
ミサキが感心したように言った。僕自身、さっきの自分の動きにはとても驚いていた。現代人が異世界転移すると身体能力が上がるとか、そういうことがあったりするのだろうか? ……いや、身体能力というよりはなんだろう、センス的な何かだろうか?
その後、何度かゴブリンに遭遇したけどゴブリンは既に僕たちの敵ではなかった。さくさくと倒して、さくさくと魔石が手に入った。
そして気がつけば、僕たちは最初の中間地点へとたどり着いていた。中間地点は樹木で囲まれた大きな広場のような場所で、多くの参加者が休憩を取っていた。
「えーと、お前たちでちょうど120組目と……」
中間地点の入り口に立っていた試験官が僕たちを見て言った。
「結構、後ろの方ですか?」
僕は少し気になって尋ねる。
「今回の参加者は全部で164組だから、まぁ後ろの方だな。ただ別に速さを競う試験じゃないから気にすることはないぞ。それに試験はここからだ」
「ここから……というと?」
「この先からはゴブリンに加えてグレイハウンドが出るんだよ。グレイハウンドはゴブリンに比べたらだいぶ厄介なモンスターだ。例年だと、グレイハウンド地帯で半分は脱落するな」
半分が脱落と聞いて僕は背筋が寒くなった。
「気にすることはない。グレイハウンドも私にとってはただの雑魚。それに君も多分、十分倒せると思う」
ミサキがフォロー気味に言った。グレイハウンドって名前からして明らかに狼系のモンスターだと思うけど、大丈夫だろうか……。狼って現代でも遭遇したら結構ヤバイような……。僕は大きな不安にかられた。
休憩後、僕たちはグレイハウンドのいるという先のエリアに進んだ。念のため、地図を頼りにあまりグレイハウンドがいなそうなルートを通っていく。しかし、ゴブリンしか出ない前のエリアと違って、このエリアに入ってから明らかに負傷して休んでいる参加者が多く目につくようになった。中には撤退するために道を引き返している参加者もいた。やはりグレイハウンドはゴブリンよりも相当厄介なのだろう。
しばらく道を進むと、僕たちは遂にグレイハウンドに遭遇した。二体だ。予想通り灰色の狼のようなモンスターで、こちらを威嚇するように「グルルルル」と唸っている。
「――【識別】。……レベル6と8か。私はレベル8の右の方をやるから、君は左をお願い」
「わ、わかった」
ミサキにそう言われ、僕は左のグレイハウンドに向かって剣を構える。そして、こちらに注意を惹きつけるために、左側から回り込む。ある程度近づくと、グレイハウンドは僕に向かって飛びかかってきた。
「ガア!」
グレイハウンドの動きはゴブリンと比べると相当速かったけど、僕はそれでも難なく攻撃をかわした。ゴブリンの時と同じようになぜか相手の動きが見えて、体が自然に反応する。僕はその後の攻撃も何度もかわし、最後に足に噛み付こうとしてきたところを狙って背中に剣を突き刺した。グレイハウンドは「ギャウ」と叫びを上げて消え去る。思ったよりもたいしたことがなかった。
ミサキの方を見ると、ミサキもすでにグレイハウンドを片付けていた。
「グレイハウンドも楽勝みたいね。……少し見直したかも」
「え、そ、そうかな?」
……ミサキの褒め言葉に僕は正直、満更でもなかった。僕たちはその後も遭遇したグレイハウンドを順調に片付けていった。そして、気がつけば僕たちは二つ目の中継地点に着いていた。
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