9 / 40
第一章
第9話 攻略
しおりを挟む しばらく歩くと、僕たちは二体目のゴブリンに遭遇した。
「今度は君がやってみて。大丈夫、レベル1でもゴブリン一体ぐらいならなんとかなるから」
「わ、わかった」
僕はそう言って剣を構えてゴブリンに近づいていく。ある程度近づくと、ゴブリンは棍棒片手にこちらに突撃してきた。
「ギィ!!」
そう叫んで棍棒をこちらに叩きつけようとする。僕はそれを難なくかわした。ゴブリンは続けて暴れるように棍棒を振り回す。僕はそれを全て紙一重でかわす。
(……あれ、なんだろう。体が勝手に動くような……)
なぜだかわからないけど、僕はなんとなくゴブリンがどう攻撃してくるのかわかった。僕はすっとゴブリンの横に回ると、剣をゴブリンの脇腹に突き刺す。ゴブリンは「グギャアア」と叫んでその場で消え去り、魔石だけが残った。……なんだろう、全く負ける気がしない。
「……ユイトってモンスターを相手にするのはこれが初めてだよね?」
ミサキがこちらに歩いてきて言った。
「うん、初めて」
「……そう。それにしてはとてもいい動きだった。レベルが10あってもおかしくないぐらい」
ミサキが感心したように言った。僕自身、さっきの自分の動きにはとても驚いていた。現代人が異世界転移すると身体能力が上がるとか、そういうことがあったりするのだろうか? ……いや、身体能力というよりはなんだろう、センス的な何かだろうか?
その後、何度かゴブリンに遭遇したけどゴブリンは既に僕たちの敵ではなかった。さくさくと倒して、さくさくと魔石が手に入った。
そして気がつけば、僕たちは最初の中間地点へとたどり着いていた。中間地点は樹木で囲まれた大きな広場のような場所で、多くの参加者が休憩を取っていた。
「えーと、お前たちでちょうど120組目と……」
中間地点の入り口に立っていた試験官が僕たちを見て言った。
「結構、後ろの方ですか?」
僕は少し気になって尋ねる。
「今回の参加者は全部で164組だから、まぁ後ろの方だな。ただ別に速さを競う試験じゃないから気にすることはないぞ。それに試験はここからだ」
「ここから……というと?」
「この先からはゴブリンに加えてグレイハウンドが出るんだよ。グレイハウンドはゴブリンに比べたらだいぶ厄介なモンスターだ。例年だと、グレイハウンド地帯で半分は脱落するな」
半分が脱落と聞いて僕は背筋が寒くなった。
「気にすることはない。グレイハウンドも私にとってはただの雑魚。それに君も多分、十分倒せると思う」
ミサキがフォロー気味に言った。グレイハウンドって名前からして明らかに狼系のモンスターだと思うけど、大丈夫だろうか……。狼って現代でも遭遇したら結構ヤバイような……。僕は大きな不安にかられた。
休憩後、僕たちはグレイハウンドのいるという先のエリアに進んだ。念のため、地図を頼りにあまりグレイハウンドがいなそうなルートを通っていく。しかし、ゴブリンしか出ない前のエリアと違って、このエリアに入ってから明らかに負傷して休んでいる参加者が多く目につくようになった。中には撤退するために道を引き返している参加者もいた。やはりグレイハウンドはゴブリンよりも相当厄介なのだろう。
しばらく道を進むと、僕たちは遂にグレイハウンドに遭遇した。二体だ。予想通り灰色の狼のようなモンスターで、こちらを威嚇するように「グルルルル」と唸っている。
「――【識別】。……レベル6と8か。私はレベル8の右の方をやるから、君は左をお願い」
「わ、わかった」
ミサキにそう言われ、僕は左のグレイハウンドに向かって剣を構える。そして、こちらに注意を惹きつけるために、左側から回り込む。ある程度近づくと、グレイハウンドは僕に向かって飛びかかってきた。
「ガア!」
グレイハウンドの動きはゴブリンと比べると相当速かったけど、僕はそれでも難なく攻撃をかわした。ゴブリンの時と同じようになぜか相手の動きが見えて、体が自然に反応する。僕はその後の攻撃も何度もかわし、最後に足に噛み付こうとしてきたところを狙って背中に剣を突き刺した。グレイハウンドは「ギャウ」と叫びを上げて消え去る。思ったよりもたいしたことがなかった。
ミサキの方を見ると、ミサキもすでにグレイハウンドを片付けていた。
「グレイハウンドも楽勝みたいね。……少し見直したかも」
「え、そ、そうかな?」
……ミサキの褒め言葉に僕は正直、満更でもなかった。僕たちはその後も遭遇したグレイハウンドを順調に片付けていった。そして、気がつけば僕たちは二つ目の中継地点に着いていた。
「今度は君がやってみて。大丈夫、レベル1でもゴブリン一体ぐらいならなんとかなるから」
「わ、わかった」
僕はそう言って剣を構えてゴブリンに近づいていく。ある程度近づくと、ゴブリンは棍棒片手にこちらに突撃してきた。
「ギィ!!」
そう叫んで棍棒をこちらに叩きつけようとする。僕はそれを難なくかわした。ゴブリンは続けて暴れるように棍棒を振り回す。僕はそれを全て紙一重でかわす。
(……あれ、なんだろう。体が勝手に動くような……)
なぜだかわからないけど、僕はなんとなくゴブリンがどう攻撃してくるのかわかった。僕はすっとゴブリンの横に回ると、剣をゴブリンの脇腹に突き刺す。ゴブリンは「グギャアア」と叫んでその場で消え去り、魔石だけが残った。……なんだろう、全く負ける気がしない。
「……ユイトってモンスターを相手にするのはこれが初めてだよね?」
ミサキがこちらに歩いてきて言った。
「うん、初めて」
「……そう。それにしてはとてもいい動きだった。レベルが10あってもおかしくないぐらい」
ミサキが感心したように言った。僕自身、さっきの自分の動きにはとても驚いていた。現代人が異世界転移すると身体能力が上がるとか、そういうことがあったりするのだろうか? ……いや、身体能力というよりはなんだろう、センス的な何かだろうか?
その後、何度かゴブリンに遭遇したけどゴブリンは既に僕たちの敵ではなかった。さくさくと倒して、さくさくと魔石が手に入った。
そして気がつけば、僕たちは最初の中間地点へとたどり着いていた。中間地点は樹木で囲まれた大きな広場のような場所で、多くの参加者が休憩を取っていた。
「えーと、お前たちでちょうど120組目と……」
中間地点の入り口に立っていた試験官が僕たちを見て言った。
「結構、後ろの方ですか?」
僕は少し気になって尋ねる。
「今回の参加者は全部で164組だから、まぁ後ろの方だな。ただ別に速さを競う試験じゃないから気にすることはないぞ。それに試験はここからだ」
「ここから……というと?」
「この先からはゴブリンに加えてグレイハウンドが出るんだよ。グレイハウンドはゴブリンに比べたらだいぶ厄介なモンスターだ。例年だと、グレイハウンド地帯で半分は脱落するな」
半分が脱落と聞いて僕は背筋が寒くなった。
「気にすることはない。グレイハウンドも私にとってはただの雑魚。それに君も多分、十分倒せると思う」
ミサキがフォロー気味に言った。グレイハウンドって名前からして明らかに狼系のモンスターだと思うけど、大丈夫だろうか……。狼って現代でも遭遇したら結構ヤバイような……。僕は大きな不安にかられた。
休憩後、僕たちはグレイハウンドのいるという先のエリアに進んだ。念のため、地図を頼りにあまりグレイハウンドがいなそうなルートを通っていく。しかし、ゴブリンしか出ない前のエリアと違って、このエリアに入ってから明らかに負傷して休んでいる参加者が多く目につくようになった。中には撤退するために道を引き返している参加者もいた。やはりグレイハウンドはゴブリンよりも相当厄介なのだろう。
しばらく道を進むと、僕たちは遂にグレイハウンドに遭遇した。二体だ。予想通り灰色の狼のようなモンスターで、こちらを威嚇するように「グルルルル」と唸っている。
「――【識別】。……レベル6と8か。私はレベル8の右の方をやるから、君は左をお願い」
「わ、わかった」
ミサキにそう言われ、僕は左のグレイハウンドに向かって剣を構える。そして、こちらに注意を惹きつけるために、左側から回り込む。ある程度近づくと、グレイハウンドは僕に向かって飛びかかってきた。
「ガア!」
グレイハウンドの動きはゴブリンと比べると相当速かったけど、僕はそれでも難なく攻撃をかわした。ゴブリンの時と同じようになぜか相手の動きが見えて、体が自然に反応する。僕はその後の攻撃も何度もかわし、最後に足に噛み付こうとしてきたところを狙って背中に剣を突き刺した。グレイハウンドは「ギャウ」と叫びを上げて消え去る。思ったよりもたいしたことがなかった。
ミサキの方を見ると、ミサキもすでにグレイハウンドを片付けていた。
「グレイハウンドも楽勝みたいね。……少し見直したかも」
「え、そ、そうかな?」
……ミサキの褒め言葉に僕は正直、満更でもなかった。僕たちはその後も遭遇したグレイハウンドを順調に片付けていった。そして、気がつけば僕たちは二つ目の中継地点に着いていた。
86
お気に入りに追加
695
あなたにおすすめの小説

成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!
織侍紗(@'ω'@)ん?
ファンタジー
ルーチェ村に住む少年アインス。幼い頃両親を亡くしたアインスは幼馴染の少女プラムやその家族たちと仲良く過ごしていた。そして今年で十二歳になるアインスはプラムと共に近くの町にある学園へと通うことになる。
そこではまず初めにこの世界に生きる全ての存在が持つ職位というものを調べるのだが、そこでアインスはこの世界に存在するはずのない無職であるということがわかる。またプラムは賢者だということがわかったため、王都の学園へと離れ離れになってしまう。
その夜、アインスは自身に前世があることを思い出す。アインスは前世で嫌な上司に手柄を奪われ、リストラされたあげく無職となって死んだところを、女神のノリと嫌がらせで無職にさせられた転生者だった。
そして妖精と呼ばれる存在より、自身のことを聞かされる。それは、無職と言うのはこの世界に存在しない職位の為、この世界がアインスに気づくことが出来ない。だから、転生者に対しての調整機構が働かない、という状況だった。
アインスは聞き流す程度でしか話を聞いていなかったが、その力は軽く天災級の魔法を繰り出し、時の流れが遅くなってしまうくらいの亜光速で動き回り、貴重な魔導具を呼吸をするように簡単に創り出すことが出来るほどであった。ただ、争いやその力の希少性が公になることを極端に嫌ったアインスは、そのチート過ぎる能力を全力にバレない方向に使うのである。
これはそんな彼が前世の知識と無職の圧倒的な力を使いながら、仲間たちとスローライフを楽しむ物語である。
以前、掲載していた作品をリメイクしての再掲載です。ちょっと書きたくなったのでちまちま書いていきます。

身体強化って、何気にチートじゃないですか!?
ルーグイウル
ファンタジー
病弱で寝たきりの少年「立原隆人」はある日他界する。そんな彼の意志に残ったのは『もっと強い体が欲しい』。
そんな彼の意志と強靭な魂は世界の壁を越え異世界へとたどり着く。でも目覚めたのは真っ暗なダンジョンの奥地で…?
これは異世界で新たな肉体を得た立原隆人-リュートがパワーレベリングして得たぶっ飛んだレベルとチートっぽいスキルをひっさげアヴァロンを王道ルートまっしぐら、テンプレート通りに謳歌する物語。
初投稿作品です。つたない文章だと思いますが温かい目で見ていただけたらと思います。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる