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第一章
第3話 スタート地点
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「う、うう……」
――二度目の転移を経て、僕にまた意識が戻った。すぐに目を開けると、目の前には…………一人の黒髪の女の子が立っていた。右目には眼帯をしていて、驚いた様子でこちらを見ている。
ふと、なにげなく彼女の首から下を見ると、彼女は完全に裸だった。彼女の白い透き通った肌、小ぶりな胸、そしてきゅっと引き締まったくびれが僕の目に飛び込んでくる。この時点で僕の脳はすぐにフル回転になり状況を把握しようとした。周りは森で、足元には小川が流れている。さらに、付近の木のそばには彼女のものと思われる衣類が畳まれて置いてあった。……どうやら僕は、彼女が小川で水浴びをしているところにいきなり現れてしまったらしい。
僕は瞬時に後ろを向いて彼女から目を逸らした。そして両手を上げて必死に叫ぶ。
「ご、ごめんなさい! 何も見てないです! こ、これは事故です! 僕は怪しい者じゃないですっ!」
僕はとにかく相手に全く敵意がないということを伝えようとした。ここは多分異世界で、事故とは言え、僕は彼女の裸を完全に見ている。……例えば、彼女が魔法使いだったとして、怒って僕を攻撃してきたら僕は普通に死ぬかもしれない。あるいは、彼女の証言によって僕は普通に街の牢屋とかに入れられるかもしれない。
(……ここは絶対に穏便に済ませなくちゃ)
僕はただ、自分が平和にこの場をやりすごせるよう願った。
すると、彼女は小川から離れ、衣類が置かれている場所まで向かうと、何やらゴソゴソし始めた。……多分、服を着ているんだろう。
そして、シャキンという剣を鞘から抜くような音がすると、彼女は一歩一歩こちらに近づいてきた。……あ、これはやばいやつだ。
彼女は僕の背後に立つと、何やら鋭い刃物のようなものが僕の首筋に当ててくる。……それはどこからどう見ても剣だった。多分、人生で絶対に首筋に当てられたくないものベスト3には入ると僕は切に思った。
「……何者」
彼女はそう静かに呟いた。はっきり言ってすごく答えにくい問いだったけど、この答えには僕の命がかかっているのだ。僕は必死に頭をフル回転させて言った。
「ふ、普通の一般人です! い、遺跡を探検していたら、転移魔法に引っかかってここまで飛ばされて来たんです! ほ、本当です!」
さすがに違う世界から来たことは言わなかったけど、それ以外はだいたい合っていると思った。
「……武器も持たずに遺跡を探検?」
彼女はそう言った。……確かに、僕は今何も武器のようなものは持っていない。丸腰で遺跡探検というのはちょっとまずかったかもしれない。僕が答えることができずに沈黙していると、彼女は再び口を開いた。
「……【識別】」
「?」
僕は彼女が何をしたのかさっぱりわからなかった。
「……測定不能、か。君、一般人だって言ったよね? なのに、なんで【識別無効】なんて持ってるの?」
彼女は静かにそう言った。……えっと、言っている意味がさっぱりわからないんですけど! 僕は泣きたい気持ちになりつつも頑張って答えた。
「え、えっと、し、【識別無効】ってなんですか?」
「【識別】を無効化するスキルに決まってる」
「し、【識別】って?」
「相手のレベルを識別するスキル」
「ス、スキルって?」
「…………」
すると、彼女は少しの間、沈黙した。……僕が何か間違ったことを言っただろうかと考えていると、彼女は僕の首筋に当てていた剣をすっと下ろした。
「……君、頭大丈夫? 転移魔法で飛ばされる前に頭打ったりとかしてない? スキルも知らないなんてありえないでしょ……」
彼女は呆れるように言った。
「えっと、ふ、振り向いてもいい?」
「どうぞ」
許可を得たので僕は彼女の方に振り返った。……よかった、ちゃんと服を着ていた。
(うーん……レベルにスキルか。もしかしてこの世界は、そういうのが当たり前のように存在する世界ってことなのかな……?)
異世界なんだからそういうこともあるだろう。僕は特に疑問を持つことなく、レベルやスキルの存在を受け入れることにした。というか、この世界が実はゲームの世界でしたなんてことだってあり得なくはないのだ。あまり疑問を持ちすぎると周りから怪しいやつだと疑われる可能性だってある。
「ご、ごめん、転移魔法の影響か少し記憶が混乱してて……。レベルとスキルは知ってたけど、今はちょっとどういうものだったか思い出せなくて……」
僕はそう言いながら彼女から少し目を逸らした。彼女はいかにも怪しいという感じの目で僕を見た。
「……【識別】は自分よりレベルが上か、あるいは【識別無効】を持つ者には効果がない。君のレベルが私より上というのは考えられないので、君は【識別無効】持ちということになる。君が【識別無効】を持っている理由なんてわからないけど、自覚がないのなら生まれ持って身につけていたスキルなのかもね」
……生まれ持って身につけていたスキル? でも、確か女神の人は「スキルなんてありまっせ~~~ん(笑)」とか言っていた気がするけど……。実はそんなことはなくて多少はスキルを持たせてくれたとか? ……なんだかもうよくわからないことだらけだ。
「そ、そうなんだ。そう言われればそうかも……。あはは……」
僕はそう言って苦笑いをする。すると彼女は、剣を鞘に収めながら言った。
「……それじゃあ、私は行くから。さようなら。今度、転移魔法に引っかかるときは人の裸を見ないような場所に転移することね」
彼女はそう言って立ち去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待って! これからどこに行くの!?」
僕は必死にそう言った。こんな見知らぬ場所に一人で置き去りにされたらたまったものじゃない。
「……君に言う必要が?」
「い、いや、その……ほ、ほら僕この辺りの地理とか全然知らないし、人のいるところに行くのなら一緒について行きたいなぁと」
僕は正直これで断られても絶対についていくつもりだった。
「…………」
「だ、だめかな?」
「――行き先は『冒険都市エリュシウス』。ここから歩いて数時間ってところ。……ついて来る?」
「も、もちろん!」
僕は思わず叫んだ。……旅は道連れと学校で習ったけど、これは異世界でも通じるものなんだなぁと思った。
――二度目の転移を経て、僕にまた意識が戻った。すぐに目を開けると、目の前には…………一人の黒髪の女の子が立っていた。右目には眼帯をしていて、驚いた様子でこちらを見ている。
ふと、なにげなく彼女の首から下を見ると、彼女は完全に裸だった。彼女の白い透き通った肌、小ぶりな胸、そしてきゅっと引き締まったくびれが僕の目に飛び込んでくる。この時点で僕の脳はすぐにフル回転になり状況を把握しようとした。周りは森で、足元には小川が流れている。さらに、付近の木のそばには彼女のものと思われる衣類が畳まれて置いてあった。……どうやら僕は、彼女が小川で水浴びをしているところにいきなり現れてしまったらしい。
僕は瞬時に後ろを向いて彼女から目を逸らした。そして両手を上げて必死に叫ぶ。
「ご、ごめんなさい! 何も見てないです! こ、これは事故です! 僕は怪しい者じゃないですっ!」
僕はとにかく相手に全く敵意がないということを伝えようとした。ここは多分異世界で、事故とは言え、僕は彼女の裸を完全に見ている。……例えば、彼女が魔法使いだったとして、怒って僕を攻撃してきたら僕は普通に死ぬかもしれない。あるいは、彼女の証言によって僕は普通に街の牢屋とかに入れられるかもしれない。
(……ここは絶対に穏便に済ませなくちゃ)
僕はただ、自分が平和にこの場をやりすごせるよう願った。
すると、彼女は小川から離れ、衣類が置かれている場所まで向かうと、何やらゴソゴソし始めた。……多分、服を着ているんだろう。
そして、シャキンという剣を鞘から抜くような音がすると、彼女は一歩一歩こちらに近づいてきた。……あ、これはやばいやつだ。
彼女は僕の背後に立つと、何やら鋭い刃物のようなものが僕の首筋に当ててくる。……それはどこからどう見ても剣だった。多分、人生で絶対に首筋に当てられたくないものベスト3には入ると僕は切に思った。
「……何者」
彼女はそう静かに呟いた。はっきり言ってすごく答えにくい問いだったけど、この答えには僕の命がかかっているのだ。僕は必死に頭をフル回転させて言った。
「ふ、普通の一般人です! い、遺跡を探検していたら、転移魔法に引っかかってここまで飛ばされて来たんです! ほ、本当です!」
さすがに違う世界から来たことは言わなかったけど、それ以外はだいたい合っていると思った。
「……武器も持たずに遺跡を探検?」
彼女はそう言った。……確かに、僕は今何も武器のようなものは持っていない。丸腰で遺跡探検というのはちょっとまずかったかもしれない。僕が答えることができずに沈黙していると、彼女は再び口を開いた。
「……【識別】」
「?」
僕は彼女が何をしたのかさっぱりわからなかった。
「……測定不能、か。君、一般人だって言ったよね? なのに、なんで【識別無効】なんて持ってるの?」
彼女は静かにそう言った。……えっと、言っている意味がさっぱりわからないんですけど! 僕は泣きたい気持ちになりつつも頑張って答えた。
「え、えっと、し、【識別無効】ってなんですか?」
「【識別】を無効化するスキルに決まってる」
「し、【識別】って?」
「相手のレベルを識別するスキル」
「ス、スキルって?」
「…………」
すると、彼女は少しの間、沈黙した。……僕が何か間違ったことを言っただろうかと考えていると、彼女は僕の首筋に当てていた剣をすっと下ろした。
「……君、頭大丈夫? 転移魔法で飛ばされる前に頭打ったりとかしてない? スキルも知らないなんてありえないでしょ……」
彼女は呆れるように言った。
「えっと、ふ、振り向いてもいい?」
「どうぞ」
許可を得たので僕は彼女の方に振り返った。……よかった、ちゃんと服を着ていた。
(うーん……レベルにスキルか。もしかしてこの世界は、そういうのが当たり前のように存在する世界ってことなのかな……?)
異世界なんだからそういうこともあるだろう。僕は特に疑問を持つことなく、レベルやスキルの存在を受け入れることにした。というか、この世界が実はゲームの世界でしたなんてことだってあり得なくはないのだ。あまり疑問を持ちすぎると周りから怪しいやつだと疑われる可能性だってある。
「ご、ごめん、転移魔法の影響か少し記憶が混乱してて……。レベルとスキルは知ってたけど、今はちょっとどういうものだったか思い出せなくて……」
僕はそう言いながら彼女から少し目を逸らした。彼女はいかにも怪しいという感じの目で僕を見た。
「……【識別】は自分よりレベルが上か、あるいは【識別無効】を持つ者には効果がない。君のレベルが私より上というのは考えられないので、君は【識別無効】持ちということになる。君が【識別無効】を持っている理由なんてわからないけど、自覚がないのなら生まれ持って身につけていたスキルなのかもね」
……生まれ持って身につけていたスキル? でも、確か女神の人は「スキルなんてありまっせ~~~ん(笑)」とか言っていた気がするけど……。実はそんなことはなくて多少はスキルを持たせてくれたとか? ……なんだかもうよくわからないことだらけだ。
「そ、そうなんだ。そう言われればそうかも……。あはは……」
僕はそう言って苦笑いをする。すると彼女は、剣を鞘に収めながら言った。
「……それじゃあ、私は行くから。さようなら。今度、転移魔法に引っかかるときは人の裸を見ないような場所に転移することね」
彼女はそう言って立ち去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待って! これからどこに行くの!?」
僕は必死にそう言った。こんな見知らぬ場所に一人で置き去りにされたらたまったものじゃない。
「……君に言う必要が?」
「い、いや、その……ほ、ほら僕この辺りの地理とか全然知らないし、人のいるところに行くのなら一緒について行きたいなぁと」
僕は正直これで断られても絶対についていくつもりだった。
「…………」
「だ、だめかな?」
「――行き先は『冒険都市エリュシウス』。ここから歩いて数時間ってところ。……ついて来る?」
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