転生したら避けてきた攻略対象にすでにロックオンされていました[2]

みなみ抄花

文字の大きさ
13 / 37
第二章

十三話

しおりを挟む
 あ、朝から……致してしまったぁあ!
 しかも初めて泊まった村で……。
(リオも、家帰ったらって言ってたのに……)
「いや~いい体力使ったわ。朝の走り込みやめて、こっちセックスを日課にすっかな」
「絶対にイヤ」
 そんなんされたら、こっちが死ぬわ。
 こやつ……妙にスッキリした顔しおって。

「頼む、ソアを孕ませたいんだ」
「うわっ」
 真面目な顔して、またおかしなこと言い出した。
 さて、どう切り抜けようか。
「うーん、ナターリアの任務が終わるまでは無理?」
「ちっ……なら仕方ねぇな」
 あ、なんか通じた。 
 そうそう、仕方ないのだよ、リオくん。
 本当はナターリアから子作りに励めって言われたけど、そんなことをリオに伝えたら、毎日一日中とかシャレにならないことになりそうだから、そういうことにしておこう。
「んで、ナターリアの任務って?」
「簡単に言うと聖獣集めっすねぇ」
「なるほど、確かに簡単で分かりやすい」
 とりあえず今はそっち優先で構わないだろう。
 子どもができたら、聖獣探しになんか行けないしね。

「リオはこれから王都に戻るの?」
「そのつもりだが……お前はルルムに戻らねぇのか?」
 私は頷いた。
「聖獣の情報をもっと得ようと思って、とりあえずこの村の近くにある大きな街のギルドに寄って行こうかなと」
 ギルド以外にも別の目的があるんだけどさ。
 リオに言うと、なんか面倒くさいことになりそうだから、あえて話題にしない。
「ふ~ん……じゃ、俺もそこに行くわ」
 げっ……じゃなくて、
「えっ、リオは仕事大丈夫なの?」
「さぁ?」
 さぁじゃねーだろ。
 いくらナターリア案件が優先事項とはいえ、ちょっと本職の方をサボり過ぎではなくて?
 神に認められた侯爵の息子だから、即クビになったりとかはしないだろうけどさ。

「またドラゴンみたいなヤツ相手だったら、ソア一人じゃ危ねぇし。ソアが死んだら元も子もねぇんだから、こっち優先で良いんだよ」
「そのドラゴンが仲間になったから、私の戦力もけっこう上がったと思うんだけどな」
 召喚はまだ無理だけど、かなりランクアップしているはずだ。この世界ではレベル〇〇! みたいなものはないけれど。
「確かに、ソアも強くなってんな。このまま聖女として認められるのも時間の問題かもしれねぇ」
 聖女かぁ……そんな柄じゃないんだけどね。
 中身はただのオタク学生だったわけだし、そこは今もあまり変わりゃあしやせん。
「俺が勇者、魔法使い、剣士と全部担ってやるから安心してついてきな」
 リオはそう言って、例のドヤっとした顔を披露した。
 私はにこやかに微笑み返す。
 魔王が抜けてるよ。

   ◇  ◇  ◇

 私とリオは食事を終えると、すぐにこの村を発つことにした。
 護衛の二人は、今回のことをギルドへ報告しに、朝早くからルルムに帰ってしまったので今は二人である。
 正確には、トクともう一頭の馬もいるけれど。
「この村から近い街って言うと、湖に囲まれたシャームの街だな」
「そうそう、私初めて行くのよ。どんな所なのかなぁ」
 この辺まで来ると、隣国の方も地形的にかなり近くなってくる。
 この世界での国越えはそんなに難しいことではなくて、どこも比較的友好な国同士が多いので、わりと行き来もしやすいらしいのだ。
「けっこう綺麗な街だぞ。建物の往来は橋か船で行くんだが、シャームは有名な観光地でもある」
 イタリアのヴェネツィアみたいな感じかな?
 なんか楽しそう。 

『お嬢、あそこは食べ物も美味しいんだって。観光地なもんで、有名な職人が集まってくるらしいよ。僕も行くのは初めてなんだけど』
「へぇ、そうなんだ」
 トクは馬なのに街事情に詳しいのね。
「なに?」
「トクがね、食べ物も美味しいって」
「ほぅ、よく知ってんな」
 トクは白馬のアナから聞いたらしい。
 アナはリオの愛馬だ。
 トク同様に私の大事な友達でもある。

「アナは、確かにシャームへ何度か行ったことがある。そういや……あれだ、最近はお前の兄貴も仕事でシャームによく出ていると言っていたな」
 おっと……リオも知っていましたか。
 そうですそうです、実はシャームの街はこのソアの実の兄であるシュウカン・リペンドールが遠征によく行く場所でもあるのです。
 そして何を隠そう、彼こそが私が前世の時にハマった乙女ゲームのNo. 1推しキャラ(のモデルにされた人)だったのだ。

 この一年、学校のない長期の休日はソアの実家に帰省して、妹という立場を使いシュウカンとの甘々なブラコンライフを堪能していたが、リオと結婚してルルムの屋敷に移り住んでからは、あまり彼に会えていない。
 ナターリアの誓いによって、私やリオが他の異性と何かあった場合、相手が一族ごと呪われるとかなんとかいう、よく分からん制約も、であるシュウカンならば平気だ。
 つまりシュウカンは、リオ以外の異性でソアが堂々と甘えられる、唯一の存在なのである。
 だから、もしかしたら今日、シャームの街にいないかなぁなんて淡い期待もあったりして。
(いるなら待ってて! 愛しのお兄様!)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

処理中です...