BL「幼なじみに婚約破棄された僕が、隣国の皇子に求婚されるまで」第9回BL小説大賞、奨励賞受賞作品

まほりろ

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加筆③ー3「ライバル令嬢の足止めと、鬼よりも怖い皇太子」アルファポリス限定

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「ヴェルテュ様、約束の時間に遅れてしまって申し訳ございません。
 ここまで探しに来ていただいたこと、感謝申し上げます。
 お手数おかけいたしました」

これで許されるかわからないけど、この人礼儀にはうるさいからな。 

「公爵令嬢ごとき時間を取られるようではまだまだだね。
 みっちり、お説教が必要かな」

そう言って、ニコリと笑うヴェルテュ様の顔が俺には鬼に見えた。

あれは相当、怒ってる顔だ。

「白猫に気を取られてるから、ナントカナル公爵令嬢なんかにに捕まるんだよ」

彼はなんでそのこと知ってるんだ?

「もしかしてヴェルテュ様、俺の様子を水晶玉で覗いたんですか?」

この人は覗きが趣味なんだろうか?

「嫌だな。
 君がちゃんと僕の元までこれるかどうか、監視していただけだよ」

監査とは、言葉を選んで上手く逃げたものだ。

「それにしても、白猫を見て赤面するなんて、君とカルムは昨夜どんなプレイをしていたのかな?」

彼はそう言って意地悪く笑った。

そんなところまで見られていたのか……!?

俺の顔に熱が集まる。

昨日のプレイを思い出して百面相をしていたところを、婚約者の実の兄に見られるなんて最悪を通り越して絶望だ。

「ま、まさかと思いますけど……寝室までは覗いてませんよね」

「やだな。
 そんなことするわけないじゃない。
 君は僕を何だと思ってるの?」

彼はそう言ってにっこりと笑った。

爽やかな嘘の笑顔を作るのが得意な、悪魔より恐ろしい存在だと思ってますよ。

「でもお城からの注文履歴に、
 猫耳のカチューシャと、
 白のもふもふパジャマがあったから、
 君たちが何をしていたのか、
 なんとなく想像はつくけどね」

ヴェルテュ様にそう言われて微笑まれたとき、羞恥心で爆発するかと思った……!

今度からのそういうグッズを使うときは、町に直接買いに行こう!

俺はそう心に誓った。

「それよりも、今日の予定がだいぶ遅れてしまったね。
 ザフィーア君の記憶があって、体が礼儀作法をマスターしていても、
 君は貴族として対人スキルがからきしのようだ」

うう……返す言葉がない。

「ナントカナル公爵令嬢程度を軽くあしらえないようでは、社交界では生きていけないよ。
 今から君に、社交界で生きていくためのスキルを徹底的に叩き込むから覚悟しておいてね」

そう言ってさわやかな顔で笑うヴェルテュ様を見て、これからスパルタ教育が始まるんだなと……俺は痛感した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


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