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加筆④ー1「シエルとノヴァが廊下でイチャイチャする話」アルファポリス限定
しおりを挟むあれから三時間……。
ヴェルテュ様からスパルタで貴族としての立ち居振る舞いや、会話などの指導を受けた。
うう……こういう後日譚的な話を作るなら、ノヴァさんとイチャイチャする話を書けよ。
俺が悪役令嬢に難くせつけられたり、ヴェルテュ様にしごかれたりする話のどこに需要があるんだよ~~。
俺はこのまま部屋に帰りたくなかったので、剣術の訓練場に行くことにした。
今日はそこでノヴァさんが騎士に剣術の指導をしている。
俺はノヴァさんの姿を見て癒やされたかった。
◇◇◇◇◇
訓練場に向かう途中、剣の打ち合いの音が聞こえた。
この建物は訓練場の隣にあるので、音が響いてくるらしい。
もしかして、ここから訓練場の様子がわかるかも?
俺は廊下の窓から顔を出し、外の様子を伺った。
俺の予想は見事に的中。
訓練場では、ノヴァさんが騎士相手に指導しているところだった。
青い軍服に身を包んだノヴァさんは、凛々しくて素敵だった。
三十人の騎士がノヴァさんに向かって一斉に斬りかかる。
ノヴァさんはそれを華麗にかわし、一人ずつ倒していく。
訓練だから木刀を使っているけど、真剣だったら斬られて大怪我してる。
俺の前では授乳プレイをせがんでくる甘えん坊だったり、
脱ぎたてのパンツの匂いを嗅ぐ変態だけど、
こうして騎士相手に訓練してるノヴァさんを見ていると、
強くてかっこいいんだと再認識する。
現に訓練場の周りに集まった女性から、黄色い歓声が上がってる。
ノヴァさんが人気なのは嬉しいけど、ちょっと嫉妬しちゃうな。
「ノヴァさん、頑張れ~~」
俺は小さな声で彼に声援を送った。
ここは三階だし、こんなに遠くから送った声援が、彼に届くはずがないよな。
俺も訓練場に向かおう……と思ったそのとき、騎士の相手をしてるノヴァさんと目が合った。
ノヴァさんが俺を見て、頬を赤らめ、口角を上げた。
あれ? もしかして俺の声が届いてた?
ノヴァさんが隙だらけになったのを、
騎士が達が見逃すはずもなく、
五人の騎士が一斉にノヴァさんの背後から斬り掛かった。
「ノヴァさん、後ろ……!」
俺を叫んだときには、背後にいた騎士が地面に伸びていた。
えっ……? あの一瞬で五人も倒したの?
ノヴァさん、強い!
ノヴァさんは残っていた騎士を一瞬で片付けると、
「しばらく休憩にする!!」と言って訓練場を飛び出した。
訓練場の周りに集まった女性達がノヴァさんに声をかけるが、
彼はそれを無視し建物の中に入った。
もしかして……俺に会いに来てくれるのかな……?
ちょっと期待してしまう。
俺が髪型を整えていると、ノヴァさんが階段を登ってきた。
彼は俺の姿を視認すると、顔を綻ばせ、全速力で俺のもとにかけてきた。
「ノヴァさん……さっきのとってもかっこよかっ……んん……!」
俺が言い終わる前に、ノヴァさんは俺を抱きしめ、俺の唇に自身の唇を重ねた。
昨夜も今朝もキスしたのに、がっつき過ぎだよ。
でも、そんなところもノヴァさんらしいと思う。
ノヴァさんの舌が口内に入って来たので、俺は素直にそれを受け入れた。
「ぁっ……んっ……」
キスの間に喘ぎ声が漏れてしまう。
廊下でディープキスするなんて、ノヴァさんてば俺と離れていたのがそんなに寂しかったのか?
ノヴァさんもキスできるのは嬉しいけど、ヴェルテュ様が水晶玉で覗いてるかもしれないんだよな。
あの人、風呂場と寝室以外は水晶玉で監視してるっぽいしな。
ヴェルテュ様に言わせれば、「外でいちゃついているのが悪い」ってことなんだろうけど。
ノヴァさんのキスが徐々に激しくなっていく……これ以上は廊下でするのは……!
ノヴァさんを制止しようとしたとき、下半身に硬いものが当たった。
ノヴァさんてば、キスだけで勃っちゃったの??
昨夜、何回も抜いたのに……。
なんなら朝も一回抜いたのに……。
ノヴァさん、性欲強すぎたよ。
どうしよう?
ノヴァさんをこのまま訓練場に返せないよ。
自分の部屋に戻るか、適当な部屋を借りて処理しないと……。
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