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九十三話「アモルド・ジーゲル②」***
しおりを挟むーーアモルド・ジーゲルーー
目を覚ますと、硬く冷たい床に寝かされていた。意識を失っている間に牢に戻されたようだ。
神子の相手に決まった者は手錠で両手を拘束され、神子と性行為をするための部屋に連れて行かれる。
そこで薬をかがされ朦朧とする意識の中、白い服の男たちに体を磨かれる。
体を清め終えると、ベッドに仰向けに寝かされ、両手両足を拘束されサイドレールに繋がれる。
抵抗できない状態で放置され、薬が抜けた頃神子が現れる。
意識がぼんやりとしている状態で、知らぬ間に犯されるならまだいい。
神子のたちの悪さは、相手の意識がはっきりしてから、体をもてあそぶことだ。
好きでもない相手に竿をいじられ、無理やり高められ、「誰にでも感じるんだね」「どんなに高尚なことを言っても、体は正直だね。好きでもない相手におちんちんをいじられて、勃起しちゃうなんて」「君も他の男たちと変わらない、下半身は獣なんだよ」と、汚い言葉を浴びせられる。
嫌なのに、殺したいほど憎い相手な……に! 反応してしまう浅ましい体に自己嫌悪に陥る! こんな男にいいように翻弄され勃起してしまう己の逸物が憎い……!
そして最後は、神子の中に竿をおさめられ、知りたくもない快楽を味あわされる。
神子に翻弄され、無理やり快楽を味あわされるくらいなら、いっそのこと己の逸物を切り落としてしまいたい!
全裸にされ、結婚していない相手に四句節に無理やり犯されるなど、殺されるより屈辱的な行為だ!!
王太子はなぜ、あんなゲス神子のために、清廉で高貴なザフィーア様を捨てたのだ!
王太子に裏切られ、捨てられ、国を追われ、ボロボロになっても、それでも王太子を思って自ら崖に身を投じたザフィーア様を思うと、胸が張り裂けそうになる!
『剣を使う必要はないよ、僕は一人で死ねるから』
あのときのザフィーア様の悲壮な顔が瞼の裏に浮かぶ。
私はザフィーア様を救えなかった! ザフィーア様の父上であるアインス公爵にザフィーア様をお守りするよう命ぜられていたのに……!
わたしは何もできなかった! 目の前でザフィーア様を死なせてしまった!!
拳を強く握りしめる、あまりに強く握ったので、血が流れ床に染みをつくった。
◇◇◇◇◇
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