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六十八話「ノヴァさんと魔法の空間《ツァウバー・ラウム》と消えたシエルのパンツと②」*

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農村では居間に大きなベッドが一つあり、そこに家族全員で寝るというのが一般的だ。

故にトマの家にも大きなベッドが一つある。

お風呂から上がるとノヴァさんがベッドに腰をかけ、本を読んでいた。

「お風呂お先でした」

俺が声をかけるとノヴァさんが本から顔を上げる。

あれ? ノヴァさんが座ってるベッド、トマの家のものと違うような?

トマの家のベッドは飾り気のない素朴な作りだった。

それがなんで天蓋付きのベッドになってるんだ?

「ノヴァさんこのベッドどうしたんですか?」

魔法の空間ツァウバー・ラウムから出した、他人が使用したベッドにシエルを寝かせたくない」

この人、魔法の空間ツァウバー・ラウムに天蓋付きのベッドを入れて持ち歩いていたのか。

ノヴァさんが舐めるような目つきで、スカートからのぞく俺の生足をガン見してくる。

「えっと、じゃあ今まで泊まった宿のベッドも……?」

「いや他人が寝たベッドにシエルを寝かせたくなくて、ラック・ヴィルで購入した! 宿のベッドの質は今ひとつだからな。これからはいつでもどこでもふかふかのベッドで愛し合えるぞ!」

いつの間にそんな物を購入したのだろう?

マイベッドを持ち歩く恋人に若干引いた。

でも俺の事を考えていてくれるノヴァさんが可愛くて、愛おしいとすら感じてしまって、俺は自分の脳みそが恋という魔法で完全にとろけてしまっていることを再確認した。

「シエル、ご褒美の膝枕をまだしてもらっていないのだが」

ノヴァさんが俺を抱き寄せ、俺の唇に自身の唇を重ねる。

ノヴァさんの指が俺の背筋を撫で、体がぶるりと震える。スカート越しに尻をもまれ、「……っん、ぁっ……♡」高い声が漏れてしまう。いかんこのままだと流されてしまう。

「……っん、だめです。シャワーが先」

このまましてもいいけど、出来ればノヴァさんにもシャワーを浴びてもらいたい。

「秒で浴びて来るから、待っていてくれ!!」

そう言ったノヴァさんの目はギラギラしていた。お預けさせすぎただろうか?

ノヴァさんが浴室に消えて行くのを見送り、ベッドに横になる。

まぶたが重い、重量に負けまぶたを閉じると睡魔が襲ってきた。眠っちゃだめだ……ノヴァさんに膝枕をして上げる約束…………。

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