36 / 131
三十六話「起きて下さい!①」***
しおりを挟む目覚めたとき、日はまだ登っておらず外は薄暗かった。
夢のせいか気持ちがもやもやしている。目覚めたあとも夢の内容は鮮明に残っていた。
夢の中の俺……つうかザフィーアはノヴァさんの言い分を聞かず、ノヴァさんの頬をひっぱたいていた。
夢で見たザフィーアは嫌いだ。ノヴァさんは何もしてないのに、ノヴァさんが服を脱がせたと決めつけて一方的に殴りつけた……。
でも俺も人のことを言えない。ノヴァさんに何も聞いてない。
どうして解毒治療に付き合ってくれているのか、どういうつもりで指輪を俺の指にはめたのか、指輪が本当に母親の形見なのか…………ノヴァさんが俺のことをどう思っているのか。
ノヴァさん本当のことを言うか分からないし、本心かどうか知る術もない。でも知ろうともせずに、一方的に決めつけたくない。
夢の中のザフィーアはエルガーに裏切られても、エルガーを愛していた。
俺もそのくらい一途に人を愛したいな。
とは言っても、エルガーや神子みたいな男はお断りだ。
◇◇◇◇◇
「ノヴァさん、ノヴァさん、起きて下さい!」
ぺちぺちとノヴァさんの体を叩くがノヴァさんは目を覚まさない。体を揺すっても、呼びかけてもまぶたをピクリとも動かさない。
眠りの呪文が効きすぎてしまったのだろうか?
人を目覚めさせる呪文を知らない。このままノヴァさんが目を覚まさなかったらどうしよう?
俺は軽率に、とんでもなく危険な呪文を人にかけてしまったのではないだろうか?
背筋を冷たい汗が伝う。
「ノヴァさん! ノヴァさん! 起きて下さい! お願いです、目を開けてください!」
ノヴァさんの体をポカポカ叩くがピクリともしない。
どうしよう……! ノヴァさんがこのまま永遠に目を覚まさなかったら……! ノヴァさんは命の恩人なのに……!
これがおとぎ話なら口づけで目覚めるのに。
俺は僅かな希望にかけてノヴァさんの唇にキスをした。
ノヴァさんお願いします! 目を開けてください!
チュッチュッと口付けしていると、背に手が触れ、ノヴァさんのたくましい腕に抱きしめられた。
「ノヴァさん良かった! 意識が戻ったのですね!」
くるりと体が反転し、ノヴァさんに組み敷かれていた。ノヴァさんの舌が口内に侵入してくる。
ノヴァさんの意識は回復したとは思う。だが変なスイッチ入ってしまったようだ。
下半身に触れるノヴァさんのペニスは硬くなっていた。それをグリグリと押し付けられる。
「ん、あっ……、やっ、ノヴァさん、起きてるんですか?」
無意識にやっているとしたらかなり怖いぞ。
「シエルの口づけで目が覚めた」
ノヴァさんが耳元でささやく。寝起きだからか声が艶っぽい。
「ごめんなさい、ノヴァさんに眠りの呪文をかけました」
「シエルの口づけで起こしてもらえるのなら、毎日魔法をかけられても構わない!」
ノヴァさんがうっとりとした瞳で俺を見つめ、バスローブの前を寛げ中に手を滑りこませた。
やっぱり、眠りの魔法をかけられたことを怒っているのかな? おしおきされてる?
「ノヴァさん、眠りの魔法をかけてすみませんでした」
「気にするな」
ノヴァさんが胸の突起を指で転がし、反対の突起を口に含む。
「やっ、らめです……俺、ノヴァさんに聞きたいことがあるんです……!」
「分かってる! シエルも一回では足りなかったのだろう?」
ノヴァさんは俺のバスローブの紐をほどき、顕になったペニスに自身の逸物を擦りつける。
ノヴァさん寝ぼけてるのかな? 話が噛み合ってない!
「いやっ、だめです! あっ、やぁ……もうすぐ夜が明けるのに……」
ノヴァさんが俺の足を持ち上げ、ペニスをアナルに擦りつけてくる。
駅馬車の出発時刻は夜明けの三十分後! このままでは出発時刻に間に合わなくなる……!
「それまでには終わらせる! シエルを抱きたい!」
ノヴァさんのペニスが俺のアナルを貫く。
「あぁ……ん!」
声を抑えなくちゃいけないのに、高い声を出してしまった。
「シエル! シエル! シエルの中を私のもので満たしたい!」
ノヴァさんに感じるところを突かれ、唇にキスされる。おちんちんを握られ上下に擦られた。
最奥をズンズンと突かれ、中にいっぱい出された。
正常位ではしないでって言ったのに、キスも愛撫も止めてって言ったのに、一回だけって約束したのに……!
◇◇◇◇◇
311
お気に入りに追加
4,321
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる