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嵐がやってくる。

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2002年、一人の男が生涯を終えようとしていた。

彼の名前はシモ・ヘイヘ。

彼は白い死神と呼ばれ、ソ連軍を恐怖に陥れ、2022年現在においても彼が世界史において最強の男であるという説がある。

シモ・ヘイヘは目を閉じ、そのまま現世から旅立っていった。


時は変わり、1598年の近江国。
石田三成は兄である石田正澄、数人の部下たちと共に豊臣秀吉に謁見しようとしていた。

三成と正澄は馬上で会話している。

「太閤殿下の病状は……」

正澄が口に出そうとするが、三成は彼の言葉を遮るように

「心配入りませぬ。あの方は以前も大病から回復なされた」

と冷静な口調で話す。

「そ、そうであるな!」

正澄が明るくそう言う。

しかし、秀吉の病状が思わしくないのは確かだ。
秀吉には後継者がいない。
一応、息子の秀頼がいる。
しかし、まだ幼く判断能力がない。
おそらく、徳川家康か伊達政宗、毛利輝元あたりが欲望を剥き出しにして覇権を狙いに来るだろう。

ーー俺が動かねばならぬのか?

三成は俯きながら、そう思った。

三成たちの前に短筒を持った一人の男が現れる。

正澄は男に怒鳴る。

「お、お主、何者だ! 斬るぞ!」


しかし、武士の一人が言う。

「安心なされ。あの者は猟師をしておりましてな。周囲にいる獣を排除しております」

男は人差し指を口元に置き、静かにするようにと三成たちに対して促す。

ーーこの男……いったい?

三成は目の前にいる男を見つめている。

男は茂みに向かい、一撃だけ発射する。

発砲音が周囲にジワリと広がっていく。

すると、獰猛な犬の死骸がガサガサと音を立てながら落ちてきた。

「命拾いしたな」

男はそう言って立ち去ろうとするが、三成は彼を引き止めようと話しかける。

「待て、命拾いとは?」

男は無表情で淡々と質問に答える。

「音は出さなかったけど、犬が三匹、男が五人。アンタを狙ってたよ」

正澄は呟く。

「おのれ……賊に見せかけて、我々を狙っていたのか?」

「かもな……それより……」

男は曇り始めた空を見て呟く。

「……嵐が来るな」

男はその場から去ろうとするが、三成はまた男を見て尋ねる。

「お主、名は?」

「……シモ・ヘイヘ」


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