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ー信頼ー115

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「……そう。 なら、何でそこは自信持って言えないのかなぁ? そこは和也さんには自信があっても、兄さんがそう思っているのか? っていうのが分からないって事になるからなんじゃないのかな?」

 和也はその朔望の言葉が当たり前過ぎて、言い返せなくなってしまったのか黙ってしまうのだ。 そう人間っていうのは口喧嘩になった場合、言いくるめられた方が負けというのか、言い返せなくなってしまった方が負けとなる。 というのか、本当に朔望が言ってくる言葉というのは説得力があって、本当に言い返せなくなる程だという事だ。

「まぁ、そういう事でしょう……」

 そんな中、今まで黙って聞いていた望だったのだが、

「……そんな訳ねぇだろ」

 最初小さな声で言っていた望だったのだが、急にその場に立ち上がると、

「そんな訳がねぇって言ってんだよ! さっきから聞いてれば、お前はずっとアメリカに住んでいたから分からないのかもしれねぇけど、例え言葉で伝わらなくても、目や心で親友の事が分かり合えるっていう仲だってあるんだぞ! それだって、十分に親友だって言えるんじゃねぇのか?」
「だってさぁ、それなら、良かったんじゃないのー?」
「良かったんじゃねぇよ。 今まで散々知ったような口聞きやがって……お前こそ、望の事なんか一つも分かってねぇんじゃねぇのかよ!」
「だって、そこは仕方無いじゃなーい! 僕が兄さんと一緒に居たっていうのは、小さい頃と僕がアメリカから帰国してきてからの二年だけなんだからねぇ。 それに、兄さんと話出来たのだって、ほんの少しじゃない? ま、それだけで兄さんの事が分かる方が凄いと思うよ」

 その朔望の言い方にため息を漏らす和也。 だって、そうだろう。 朔望は歩夢並みに言い訳をしていたのだから。 流石は兄弟という所なのかもしれない。 もしくは同じ環境下で育って来た二人なのだから似たり寄ったりの言い訳をするからなのかもしれないのだが。

「皆さんはもう寝る準備をしていっらしゃるので、僕達の方も準備しましょうか?」
「そうだな。 今日は自分の家じゃないんだし、集団生活をしているんだから、そこは、みんなに合わせないとだしね」

 そう言うと、和也や裕実は行動を開始するのだ。

 そして和也と裕実は毛布を持って来ると、望へとそれを渡す。

「とりあえず、望の分な……」
「……って、僕達の分は?」
「お前の場合には普通に動けんだから、自分で取って来いよ」
「僕だって、今日は沢山泳いで来たんだから、普通の体力じゃないんだけど……」
「それでも、今まで動いてたんだから、動けんだろ? 患者さんじゃないんだから甘えるんじゃねぇよ! それに、俺と朔望の仲っていうのは兄弟でも無いし、親友っていう仲でも無いし、あー、友達っていう仲でもないのかな? まぁ、知り合いっていう仲だからさぁ、そんなに俺はお前には優しくはないのかもな」
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