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ー信頼ー116

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「一緒にあの二丁目に行った仲なのにー?」
「……って、それは違うだろー! 確かにお前とはその二丁目には行ったけどさぁ、それは、ただ一緒に店に行ったっていうだけなんだからな」
「……って、和也!?」

 そう突っ込んで来たのは裕実だ。

「どういう事なんですか? 僕、その話聞いた事ないんですけど?」
「……ってか、随分前の事だからなぁ。 裕実も覚えてるかどうか? って頃なんだけど……。 まぁ、向こうの病院で働いている時に朔望と歩夢が恋人同士になって間もない時だったかな? 裕実はその時は夜勤でさ、だから、俺は朔望と一緒にローションとかも切れかかってたから二丁目に行って来たって訳なだけなんだよ」

 そう嘘偽りもない和也の話し方に裕実の方は安心したのか、

「そうだったんですか……。 でも、お二人の関係っていうのは、そんな仲っていう事になるんですよね?」
「ん、まぁ……どんな仲っていうのは分からないんだけど、まだ、朔望とはそんな仲になったっていう覚えはねぇよ」
「ま、そういう事なんだよ」

 そう和也と裕実がそういった会話をしている間に朔望は毛布等を取りに行ったのにも関わらず、そう答えたかと思った直後、望の背後へと回り、

「兄さん! ゴメン!」

 朔望はそう言うと、布に染み込ませた睡眠薬を嗅がせてしまうのだ。

「とりあえず、今の兄さんはこうでもしないと雄介さんの事を心配して僕達が寝てる時にここを抜け出して、さっき居た場所で雄介さんの事を待ち兼ねないからね。 それで、僕達の方が寝れないのは困るしさ」
「ぁあ! そういう意味で望の事を眠らせたって訳か……」

 その朔望の言葉に和也は納得したのか、ポンっと手を叩くのだ。

「しかし、雄介の奴、遅いよなぁ。 もう、夜の八時半だぜー。 いつまで創作活動してんだろ?」
「流石に海保の方も来てると思うしねー。 もう、海保が来てるんだったら、海保に任せればいいのにさ」
「……海保!?」
「ん? 和也は知らない? 海上保安庁の事……海の安全を守ってくれる人たちの事なんだけど? 海難事故があった時には救助してくれる人達の事なんだけど……」
「あ、ああ! それは、十分分かってるんだけどさ。 でも、こんなに海が荒れてる状態じゃあ、海保も活動が出来ないんじゃねぇのかな?」
「やっぱり、そうなのかなぁ? だから、雄介さん達が、まだ、頑張ってるって事なのかな?」
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