【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー天使ー129

　望はそう答えると、和也と一緒に手術室へと向かう。

　裕二は何故か家族控え室にあるソファへと腰掛けるのだ。

　すると裕二は口を開き雄介に話始める。

「雄介君。　本当にありがとう。　望の性格をあそこまで変えてくれて。　まさか、あの望がここまで性格が変わるとは思ってなかったよ」
「あの……別に……私はそんな……あの……大したことはしてませんよ。　ただ、私は……その……望のことを好きになっただけですから」

　そう雄介は裕二に対し、申し訳無さそうに言うのだが、

「きっと、望には愛情が足らなかったみたいだけど、君が望を愛する事で、望は愛情という目に見えないもので、寂しいという心が満たされたんだと思うんだよね。　それで、気持ちが安定して、今まで尖っていた性格が丸くなったんだと思うよ。　恥ずかしい話……私は仕事で望のこと見てることが出来なかった。　私が気が付いた時点で望は大人になっていたし、今は私が望に何かを言っても、もう、言うことをきかなくなっていたからね。　確かに、私が悪いのは分かっているよ。　望が小さい頃に父親である私が望に愛情を注いで育てていれば、きっと、望はあんな性格にはなっていなかっただろうね。　あんな子だけど、これからも望のことをよろしくね」
「あ、はい！　分かりました。　これからもずっと私は望のことを愛し続けていきますよ」

　雄介はそう言って裕二に笑顔を見せるのだ。

「とりあえず、私は君にそれを言いたかっただけだから。　本当に君が望のことを好きになってくれて良かったよ」
「あ、はい……？」

　そうは答えるものの望の父親と話をしているのだから、雄介としては複雑なのかもしれない。

　普通、望位の年になれば彼女とかがいて、結婚話が出てきてもおかしくはない話なのにも関わらず裕二は雄介と望の関係を認めている。

　いや父親としてではなくても世間では同性での恋人同士というのはあまり認められていないのに関わらず裕二は特に二人の関係に関しては何も言わないようだ。　寧ろ歓迎しているっていう所なのだが、雄介からしてみたら複雑なところなのかもしれない。

　そんな雄介に気付いた裕二は、

「別に私は君達の関係に何も言う気はないよ。　好きならば、好きで通せばいい。　人にはそれぞれの人生があるのだから、一生を大切に生きていく方がいいと思うからね」