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2-5.薬師試験の条件、シルクの日常
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日課の採集依頼後に完了のため冒険者ギルドに来ていたミラは、スフィアにある提案をされた。
「ミラさんは、もう薬師見習いを卒業されたと聞いています。ギルドの薬師試験を受けてみませんか?」
ミラは少しだけ驚いて聞き返す。
「もう受けられるんですか?」
「はい。国家試験の前段階だと思ってください。ただ、先に条件を揃える必要はありますけどね」
「条件ですか?」
スフィアが言うには、ギルドの薬師試験は『薬師の見習い卒業』と『採集依頼の規定数達成』、『魔物の討伐依頼達成』、『その他、人柄考慮』となっているらしい。
採集と討伐は、正式な依頼を受けての達成が必要で、ミラは魔物だけは依頼を受けて倒せていない。
「ミラさんは、今日で採集の規定数に達しましたが、『魔物の討伐依頼達成』だけクリアできていません。普通は、パーティに依頼してクリアするのが一般的です。薬師は、戦闘力を求められません。でも、薬師は依頼を出すので、魔物の脅威を身を持って体験しておく必要があるんです。その意味で、魔物討伐の規定があるんです」
「その、つまり私に足りないのは魔物討伐だけってことでしょうか?」
「その通りです。どうしますか? 必要なら冒険者パーティを手配しますけど……」
スフィアは、ミラの強さがわからないからパーティが必要かどうか聞くことにしたのだ。
ミラとSランク冒険者セファエルとの模擬戦は、まったく目で見えず、ミラが強いかも知れないとはわかったが、実感がなかった。
だから、「必要なら」と中途半端な言い回しになったのである。
「深海クラゲなら倒せそうですけど、他の魔物は倒せるかもわかりませんし、ちょっと怖いですね。パーティ同伴をお願いしたいんですけど、どんな魔物討伐の依頼を達成する必要があるんですか?」
「必要なのは、トレントとストーンゴーレム、ライノバイソンですね。どれも、薬師がポーションや薬の原料を採取するために指定する場所に多く生息します」
ミラはその説明に、魔物の生態を頭の中から本の情報を思い返す。
どれもランクは低いがG~Eランクの初級冒険者には単独討伐の難しい魔物となっていた。
「わかりました。まとめて受けます」
「では、パーティの準備ができましたらまたお声がけします」
その後、少しだけ雑談をしてギルドを後にしたミラ。
***
ミラはいつもの日課で、ギルドを出た後に街の市場へと向かう。
そこで、肉を大量に購入し、工房に持っていく。
肉を抱えて工房に付くと、中で少しの下処理と焼き目を入れた後、皿に盛り付けてシルクの前に置く。
ミラが帰ってきたときに小屋の中から姿を見せたシルクは、しっぽを振って待っていた。
「はい、今日のご飯よ」
シルクは皿の前で止まり、ミラを見た。
「いいわよ、食べても」
山盛りに乗せた肉を、シルクはまるで野獣のように鋭い歯で噛みちぎって食べた。
ガウガウ。
ミラはその姿を見てうっとりとした表情をした。
普段は愛らしいのに、肉を食べるときだけ、獣のように貪り付いているのがたまらなかった。
「それにしても、日に日に食事量が増えてきたわね。最近、少し大きくなった気もするわ」
ミラは最初、シルクに肉をあげたが、量が全然足りず、何度も買い直すことになった。そのため、まとめて食事の肉を調達するようになった。
それでも食べる量は増え続けている。
本には、犬がこんなにも沢山の食事を食べるとは書いてなかったが、食事は犬種や体格で個体差があるとのことで、あまり気にしなかった。
人間でも食欲には差があるからなおさらだ。
ミラはシルクに呟いた。
「シルクは食いしん坊なのね」
***
シルクの食事が終わると、ミラは工房で調合の練習を始めた。
それを窓から覗くシルク。
だが、ミラは集中してそれに気づかない。
シルクは、ミラの様子を確認した後に、工房の敷地から出て街を歩き、こっそり門を出て森の方に歩く。
途中、肉の匂いに誘われて、定食屋の前で少し立ち往生はするが、そこが目的地ではなかった。
シルクは、そのまま歩いて森に入り、さらに魔物の生息域へと足を運んだ。
グルルルゥ。
シルクは、周囲に鋭い目を光らせる。
魔物の生息域は、さまざまな魔物が住んでいた。
武器も戦闘能力もない一般人が迷い込めば、魔物の餌食となる。
ふと、シルクは立ち止まった。
蛇のような魔物が木にぶら下がっていた。
それがシルクに襲いかかる。
シルクは飛び退いて、回避した。
そのまま体を翻し、それを鋭い爪で引き裂く。
紫の血を流して地面に倒れる。
その正体は、Dランクの魔物、スネークソルジャーだ。
毒が強力で、噛まれると毒が回りじわじわと体を蝕む類の厄介な攻撃で知られていた。
そのまま、魔物の生息域を徘徊し、数々の魔物を狩っては、その中にある生体器官を食らう。
すると、纏っていた何か淡い光のようなものが少し膨れ上がり、満足そうに次の獲物を探した。
しばらくして、工房に戻ると、ミラがまだ作業をしていているのをシルクは確認する。
何事もなかったかのように、小屋に戻って、ミラが出てくるのを待った。
そして吠えるのだ。
ワンッ、と。
3日後、ミラの魔物討伐の同伴パーティが決まった。
「ミラさんは、もう薬師見習いを卒業されたと聞いています。ギルドの薬師試験を受けてみませんか?」
ミラは少しだけ驚いて聞き返す。
「もう受けられるんですか?」
「はい。国家試験の前段階だと思ってください。ただ、先に条件を揃える必要はありますけどね」
「条件ですか?」
スフィアが言うには、ギルドの薬師試験は『薬師の見習い卒業』と『採集依頼の規定数達成』、『魔物の討伐依頼達成』、『その他、人柄考慮』となっているらしい。
採集と討伐は、正式な依頼を受けての達成が必要で、ミラは魔物だけは依頼を受けて倒せていない。
「ミラさんは、今日で採集の規定数に達しましたが、『魔物の討伐依頼達成』だけクリアできていません。普通は、パーティに依頼してクリアするのが一般的です。薬師は、戦闘力を求められません。でも、薬師は依頼を出すので、魔物の脅威を身を持って体験しておく必要があるんです。その意味で、魔物討伐の規定があるんです」
「その、つまり私に足りないのは魔物討伐だけってことでしょうか?」
「その通りです。どうしますか? 必要なら冒険者パーティを手配しますけど……」
スフィアは、ミラの強さがわからないからパーティが必要かどうか聞くことにしたのだ。
ミラとSランク冒険者セファエルとの模擬戦は、まったく目で見えず、ミラが強いかも知れないとはわかったが、実感がなかった。
だから、「必要なら」と中途半端な言い回しになったのである。
「深海クラゲなら倒せそうですけど、他の魔物は倒せるかもわかりませんし、ちょっと怖いですね。パーティ同伴をお願いしたいんですけど、どんな魔物討伐の依頼を達成する必要があるんですか?」
「必要なのは、トレントとストーンゴーレム、ライノバイソンですね。どれも、薬師がポーションや薬の原料を採取するために指定する場所に多く生息します」
ミラはその説明に、魔物の生態を頭の中から本の情報を思い返す。
どれもランクは低いがG~Eランクの初級冒険者には単独討伐の難しい魔物となっていた。
「わかりました。まとめて受けます」
「では、パーティの準備ができましたらまたお声がけします」
その後、少しだけ雑談をしてギルドを後にしたミラ。
***
ミラはいつもの日課で、ギルドを出た後に街の市場へと向かう。
そこで、肉を大量に購入し、工房に持っていく。
肉を抱えて工房に付くと、中で少しの下処理と焼き目を入れた後、皿に盛り付けてシルクの前に置く。
ミラが帰ってきたときに小屋の中から姿を見せたシルクは、しっぽを振って待っていた。
「はい、今日のご飯よ」
シルクは皿の前で止まり、ミラを見た。
「いいわよ、食べても」
山盛りに乗せた肉を、シルクはまるで野獣のように鋭い歯で噛みちぎって食べた。
ガウガウ。
ミラはその姿を見てうっとりとした表情をした。
普段は愛らしいのに、肉を食べるときだけ、獣のように貪り付いているのがたまらなかった。
「それにしても、日に日に食事量が増えてきたわね。最近、少し大きくなった気もするわ」
ミラは最初、シルクに肉をあげたが、量が全然足りず、何度も買い直すことになった。そのため、まとめて食事の肉を調達するようになった。
それでも食べる量は増え続けている。
本には、犬がこんなにも沢山の食事を食べるとは書いてなかったが、食事は犬種や体格で個体差があるとのことで、あまり気にしなかった。
人間でも食欲には差があるからなおさらだ。
ミラはシルクに呟いた。
「シルクは食いしん坊なのね」
***
シルクの食事が終わると、ミラは工房で調合の練習を始めた。
それを窓から覗くシルク。
だが、ミラは集中してそれに気づかない。
シルクは、ミラの様子を確認した後に、工房の敷地から出て街を歩き、こっそり門を出て森の方に歩く。
途中、肉の匂いに誘われて、定食屋の前で少し立ち往生はするが、そこが目的地ではなかった。
シルクは、そのまま歩いて森に入り、さらに魔物の生息域へと足を運んだ。
グルルルゥ。
シルクは、周囲に鋭い目を光らせる。
魔物の生息域は、さまざまな魔物が住んでいた。
武器も戦闘能力もない一般人が迷い込めば、魔物の餌食となる。
ふと、シルクは立ち止まった。
蛇のような魔物が木にぶら下がっていた。
それがシルクに襲いかかる。
シルクは飛び退いて、回避した。
そのまま体を翻し、それを鋭い爪で引き裂く。
紫の血を流して地面に倒れる。
その正体は、Dランクの魔物、スネークソルジャーだ。
毒が強力で、噛まれると毒が回りじわじわと体を蝕む類の厄介な攻撃で知られていた。
そのまま、魔物の生息域を徘徊し、数々の魔物を狩っては、その中にある生体器官を食らう。
すると、纏っていた何か淡い光のようなものが少し膨れ上がり、満足そうに次の獲物を探した。
しばらくして、工房に戻ると、ミラがまだ作業をしていているのをシルクは確認する。
何事もなかったかのように、小屋に戻って、ミラが出てくるのを待った。
そして吠えるのだ。
ワンッ、と。
3日後、ミラの魔物討伐の同伴パーティが決まった。
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