実家を追放された名家の三女は、薬師を目指します。~草を食べて生き残り、聖女になって実家を潰す~

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1-2.草(薬草)を食べる生活

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 隣街への道のりは長い。

 その日、1日中歩いて休んでを繰り返し、森の浅いところで薬草を採集し、木の根元で寝る。
 特に、寝ているときの疲労感は酷かった。

 夜寝ている間、体の中が火であぶられているようなジリジリとした感覚があったのだ。体がすごく熱い。
 疲れたから、という理由だけではない。あの草ばかり食べているのが原因かもしれない。
 ミラは薄れゆく意識の中でそんなことを考えた。

 木の幹を背にして寝るから背中も痛かったが、それは次第に慣れた。


 翌日の朝、ミラは、生で草を食べているからダメなのだと思い、草を茹でることにした。
 しかし、火を起こせないし、鍋のような調理器具もない。

「どうしたら……」

 そこで、中庭で料理をしていた家政婦メイドの光景を思い出した。

「たしかこうやって……」

 大きめの分厚い葉っぱを使い、鍋のような形にした。そこに水を入れる。
 枯れ木を集めて、石を打ち合わせた。

 いまのように魔法や技術が発達していなかった時代は、石を使って火を付けていた。古い文献に書いてあったことを試したのである。

 しかし、火はつかない。
 ミラは眉間にシワを作った。ため息をついてもう一度、石を打ち付ける。

 もう少し、枯れ葉を置いて、どれくらい繰り返したのか。ようやく葉が焦げて、次第に火がついた。

「ついたわ!」

 想像していた火の付き方とは違った。もっと大きく燃え上がるものだとイメージしていたのだ。

 急いで、火の周囲に石を並べて、葉っぱの鍋を置く。
 少し待つと、水が次第に沸騰してきたのか、その中に薬草を入れる。

 茹でた薬草は少し色が濃くなった。

「本当に出来た……、でもどうして葉っぱの鍋って火で燃えないの?」

 ミラは不思議そうに葉っぱの鍋を見つめるのだった。
 まるで樹脂のように厚く硬質な葉っぱである。とはいえ、火が燃え移らない。さっきも生えている草には火がつきにくかった。それと関係があるのかも知れない。

(この葉っぱ、中に水があるから、かしら?)

 鍋を岩の上に移し、洗った木の棒で草を別の葉っぱに移す。

「う~ん、味は薄くなったけど、不味いのには変わりないのね……」

 結局、葉っぱしか食べられていない。川には魚も泳いでいるが、取ることは出来ない。
 その魚を追いかけ回して食べているのもまた、水中の魔物だからである。川の中には入れない。そもそも川の中で行動することはできない。ミラは泳げないのだ。
 川に入った瞬間、身動きも取れずに、魔物に川の底へと引きずり込まれてしまう。

 そんな嫌な想像をした後、ミラは過去に読んだ本の中に、人は川で魚を採集していた、という一文を思い出していた。
 普通の一般人が、これほど凶暴で巨大な水棲魔物を排除して、川の中で行動し、魚を取れることに素直に驚いたのだ。
 まったくの勘違いだが、そんなイメージを頭の中に浮かべて、その人々を称賛したのである。

 茹でた草を食べたところで、少しだけ果物や木の実を探して歩き回った。しかし、どこにも見当たらない。

 季節が冬を越したばかりだからか、食べられそうなものを見つけるのは難しい。結局、成果といえるのは薬草をさらに多く摘んだことだけだった。
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