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11 民宿『海風』
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車は民宿『海風』の下にある駐車場にとめ、納多さんは親切に荷物を持ってくれた。
お弁当のお礼を言おうと途中で民宿『海風』に寄ると―――
「うわぁー!いらっしゃい!久しぶりだね!」
元気一杯に出迎えてくれた。
お母さんになったはずの星名ちゃんだったけど、小学生の頃からあまり変わってなかったから、すぐにわかった。
そして、猫達がにゃああにゃああと集まってくる。
その中でゴールデンレトリバーのジュディが悠然と歩いているというなんとも不思議な光景だった。
そして、遠くにはコッコッコッと鶏の鳴く声がして、周囲を見回した。
ここはなに?
動物王国?
「ちょ、ちょっと、星名ちゃん。動物を飼いすぎじゃない?」
「なんか増えちゃって」
えへへっと星名ちゃんは照れ臭そうに笑っていた。
星名ちゃんは猫達におやつを配ると猫達は満足そうに散っていった。
なんというドライな関係……それでも星名ちゃんは私が飼い主よと得意げな顔をしていた。
まあ、本人が満足ならそれでいいけども。
「ママ。お客様を出迎えるのはいいけど、スリッパ左右逆だよ」
莉叶ちゃんに冷静に言われた星名ちゃんは悔しそうに『わかってるわよっ。ちょっと皆が気づくかなって試しただけっ』と負け惜しみとしか思えないセリフを吐いていた。
はいはいと莉叶ちゃんは適当に返事をして、知らん顔で食堂のテーブルに行って本を読み始めた。
どっちが母親だろう……。
「君が染物作家のお孫さん?」
野菜を手に庭から入ってきたのは超イケメンな男の人で、あんまり驚いて星名ちゃんを見た。
「あ、私の旦那様の伶弥です!」
「はじめまして」
声までイケメンボイス。
なにこの完璧な存在は。
莉叶ちゃんはお父さん似だなー。
莉叶ちゃんを見て星名ちゃんを思い出さなかったから納得といえば納得―――じろっーと星名ちゃんの物言いたげな視線を感じて慌てて言った。
「はじめまして。清本夏永です。お弁当をありがとうございました」
「いえいえ。山に登っていく姿をちらっと見た時、顔色が悪くてどうしたかなって星名と言っていたけど、今は元気そうだね」
「おかげさまで」
「いい年して心配かけて困りますね。伶弥さん、野菜のカゴは自分がお持ちします」
くっ……またっ!
納多さんは私には知らん顔をしたくせに伶弥さんには気をつかってカゴをサッと横から奪い取った。
「納多。お前、一応客だからな?そもそもお前は朝日奈建設の仕事できているんだろ?仮設宿舎に泊まれよ」
「いいじゃないですか。実費で泊まってるんですから」
納多さんはまるで忠犬のごとく、伶弥さんに尽くしていた。
二人はいったいどういう関係なんだろう。
納多さんが海に溺れていたのを伶弥さんが助けたとか?
あり得る。
泳げなさそうだもんね。
納多さん。
「夏永ちゃん、ストールをありがとう。Tシャツにストールを巻くだけでもおしゃれに見えて評判がいいの」
ちょっとスーパーとか道の駅に顔を出す時にちょうどいいからと星名ちゃんは笑いながら言った。
脱力感があるというか、安心感があるっていうか、星名ちゃんは昔からこんなかんじなんだけど人をホッとさせるなにかを持っていた。
伶弥さんも星名ちゃんのそんなところがよかったんだろうなと思いながら、荷物を手にした。
「暗くなる前に家に帰るね。お弁当、本当に美味しかった。ありがとう」
「えっ!もう行くの?夕飯食べていけばいいのに」
「買い物したものを片付けたいから。またお邪魔していい?」
「もちろん!そうだ、野菜持っていって」
伶弥さんがさっき採ってきたばかりの野菜を星名ちゃんはカゴごとはいっと渡してくれた。
「星名、持てないだろう?」
「あ、そうだね。じゃあ、納多さん、お願いします」
当たり前みたいに頼まれた納多さんが頬をひきつらせた。
「納多、よろしくな」
「わかりました」
伶弥さんに言われて納多さんはあっさりうなずくと私の荷物を持ってくれた。
「ご迷惑ばかりかけてしまって、すみません」
「いえ」
納多さんは淡々とした様子で買い物バッグと野菜が入ったカゴを持ち、山道をさっさと歩きだした。
助かるけど、こっちにきてから私ってば、周りに迷惑かけてる困った人になってない?
気まずい……。
そう思いながら、なんとなく私も無言で山道を歩いていると前を行く納多さんが足を止めた。
「どうかしましたか?」
「歩きやすいスニーカーかシューズを買ったほうがいいですよ。足が痛いのでは?」
「あ、わかりました?ヒールのある靴しかなくて、靴擦れしちゃったみたいなんです」
ここに来ることを決めたのは急だったし、いつもなら両親が送ってくれた。
今回、両親は反対していたから、頼らずに一人できた。
「困った人ですね」
荷物を置き、近づくとポケットから絆創膏をとりだし、私の足を持ち上げた。
「えっ!?ちょ、ちょっと」
「じっとして、肩に手を置いてください」
言われるがままに肩に手を置き、寄りかかった。
体つきが筋肉質でがっしりとしていて安定感がある。
絆創膏を赤くなった足の踵にはってくれた。
「少しはマシでしょう」
「ありがとうございます」
今度は心からお礼を言えた。
ふっと笑って納多さんはいいえと答えるとまた荷物を持って、黙って山道を歩き始めた。
私の前を行く背中があることになぜか安心感を覚えた。
私は心細かったのかもしれない。
周りは敵ばかりだと思いこんでいたから。
こんな親切にされるとここから去りがたくなってしまう。
振り返ると海側の空が灰色になってきていた。
「ストームブルー……」
嵐色の青が見える。
もうすぐやってくる。
あの色がこちらへと。
「嵐になりますね。風も強いし、今夜はきっと橋が通れなくなりますよ」
納多さんは立ち止まった私に声をかけ、早く行きましょう、雨が降る前にと促したのだった。
お弁当のお礼を言おうと途中で民宿『海風』に寄ると―――
「うわぁー!いらっしゃい!久しぶりだね!」
元気一杯に出迎えてくれた。
お母さんになったはずの星名ちゃんだったけど、小学生の頃からあまり変わってなかったから、すぐにわかった。
そして、猫達がにゃああにゃああと集まってくる。
その中でゴールデンレトリバーのジュディが悠然と歩いているというなんとも不思議な光景だった。
そして、遠くにはコッコッコッと鶏の鳴く声がして、周囲を見回した。
ここはなに?
動物王国?
「ちょ、ちょっと、星名ちゃん。動物を飼いすぎじゃない?」
「なんか増えちゃって」
えへへっと星名ちゃんは照れ臭そうに笑っていた。
星名ちゃんは猫達におやつを配ると猫達は満足そうに散っていった。
なんというドライな関係……それでも星名ちゃんは私が飼い主よと得意げな顔をしていた。
まあ、本人が満足ならそれでいいけども。
「ママ。お客様を出迎えるのはいいけど、スリッパ左右逆だよ」
莉叶ちゃんに冷静に言われた星名ちゃんは悔しそうに『わかってるわよっ。ちょっと皆が気づくかなって試しただけっ』と負け惜しみとしか思えないセリフを吐いていた。
はいはいと莉叶ちゃんは適当に返事をして、知らん顔で食堂のテーブルに行って本を読み始めた。
どっちが母親だろう……。
「君が染物作家のお孫さん?」
野菜を手に庭から入ってきたのは超イケメンな男の人で、あんまり驚いて星名ちゃんを見た。
「あ、私の旦那様の伶弥です!」
「はじめまして」
声までイケメンボイス。
なにこの完璧な存在は。
莉叶ちゃんはお父さん似だなー。
莉叶ちゃんを見て星名ちゃんを思い出さなかったから納得といえば納得―――じろっーと星名ちゃんの物言いたげな視線を感じて慌てて言った。
「はじめまして。清本夏永です。お弁当をありがとうございました」
「いえいえ。山に登っていく姿をちらっと見た時、顔色が悪くてどうしたかなって星名と言っていたけど、今は元気そうだね」
「おかげさまで」
「いい年して心配かけて困りますね。伶弥さん、野菜のカゴは自分がお持ちします」
くっ……またっ!
納多さんは私には知らん顔をしたくせに伶弥さんには気をつかってカゴをサッと横から奪い取った。
「納多。お前、一応客だからな?そもそもお前は朝日奈建設の仕事できているんだろ?仮設宿舎に泊まれよ」
「いいじゃないですか。実費で泊まってるんですから」
納多さんはまるで忠犬のごとく、伶弥さんに尽くしていた。
二人はいったいどういう関係なんだろう。
納多さんが海に溺れていたのを伶弥さんが助けたとか?
あり得る。
泳げなさそうだもんね。
納多さん。
「夏永ちゃん、ストールをありがとう。Tシャツにストールを巻くだけでもおしゃれに見えて評判がいいの」
ちょっとスーパーとか道の駅に顔を出す時にちょうどいいからと星名ちゃんは笑いながら言った。
脱力感があるというか、安心感があるっていうか、星名ちゃんは昔からこんなかんじなんだけど人をホッとさせるなにかを持っていた。
伶弥さんも星名ちゃんのそんなところがよかったんだろうなと思いながら、荷物を手にした。
「暗くなる前に家に帰るね。お弁当、本当に美味しかった。ありがとう」
「えっ!もう行くの?夕飯食べていけばいいのに」
「買い物したものを片付けたいから。またお邪魔していい?」
「もちろん!そうだ、野菜持っていって」
伶弥さんがさっき採ってきたばかりの野菜を星名ちゃんはカゴごとはいっと渡してくれた。
「星名、持てないだろう?」
「あ、そうだね。じゃあ、納多さん、お願いします」
当たり前みたいに頼まれた納多さんが頬をひきつらせた。
「納多、よろしくな」
「わかりました」
伶弥さんに言われて納多さんはあっさりうなずくと私の荷物を持ってくれた。
「ご迷惑ばかりかけてしまって、すみません」
「いえ」
納多さんは淡々とした様子で買い物バッグと野菜が入ったカゴを持ち、山道をさっさと歩きだした。
助かるけど、こっちにきてから私ってば、周りに迷惑かけてる困った人になってない?
気まずい……。
そう思いながら、なんとなく私も無言で山道を歩いていると前を行く納多さんが足を止めた。
「どうかしましたか?」
「歩きやすいスニーカーかシューズを買ったほうがいいですよ。足が痛いのでは?」
「あ、わかりました?ヒールのある靴しかなくて、靴擦れしちゃったみたいなんです」
ここに来ることを決めたのは急だったし、いつもなら両親が送ってくれた。
今回、両親は反対していたから、頼らずに一人できた。
「困った人ですね」
荷物を置き、近づくとポケットから絆創膏をとりだし、私の足を持ち上げた。
「えっ!?ちょ、ちょっと」
「じっとして、肩に手を置いてください」
言われるがままに肩に手を置き、寄りかかった。
体つきが筋肉質でがっしりとしていて安定感がある。
絆創膏を赤くなった足の踵にはってくれた。
「少しはマシでしょう」
「ありがとうございます」
今度は心からお礼を言えた。
ふっと笑って納多さんはいいえと答えるとまた荷物を持って、黙って山道を歩き始めた。
私の前を行く背中があることになぜか安心感を覚えた。
私は心細かったのかもしれない。
周りは敵ばかりだと思いこんでいたから。
こんな親切にされるとここから去りがたくなってしまう。
振り返ると海側の空が灰色になってきていた。
「ストームブルー……」
嵐色の青が見える。
もうすぐやってくる。
あの色がこちらへと。
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