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10 懐かしい顔
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「食べるものがない……」
田舎生活三日目の朝、空っぽの冷蔵庫を見て命の危機を感じた。
あるのは水(水道水)だけだし。
民宿の人からもらったおにぎりは食べきってしまったし、とうとう私も本格的に動く時がきたわね。
納多さんに説教されたからってわけじゃないわよ?
人間としてさすがにそろそろこれはまずいぞって思ってきたわけよ。うん。
やっとかなんてツッコミはやめてね?
「よーし!食料を買いに行くわよ!」
ガッツポーズをした。
山道を下るのはいいけど、また登るかと思うとめんどうなのよね。
だから、買えるだけ買う!
何度も山から下りなくていいように。
なんて名案よ。
天才かな?
それに民宿の人達にお礼も言おう。
そう思って、山から下りた。
島にはスーパーが一つだけある。
日用品から食料品まで揃う便利なスーパーでほしいものがあれば、住所と名前を書いて頼んでおくと取り置きしてくれるそうだ。
「ありがたいなー」
ネット通販も時間はかかるみたいだけど、ちゃんと届くみたいだし、これからはそういうのも使おう。
非常食としてカップ麺、それから冷凍の魚と肉と野菜も置けば、当分は生き延びれるでしょ。
乾物もあれば、なおいいわね。
スパゲッティの麺やそうめん、そばの乾麺をレジのカゴに入れた。
なかなかの大量購入ぶり。
向こうにいたときは食欲もなかったけど、こっちにきてからは回復してきた。
この調子でいけば―――忘れられるのかな。
今は無理でも。
落ち込みかけた瞬間、ふわりとヨモギで染めたストールが頬に触れた。
「麻のストールを染めたおかげで少しスッキリしたわよね」
もしかしたら、おばあちゃんが私を呼んだのかもしれない。
そう思うと私が今、無職なのも意味があるってことよ!
超前向きに考えたらね!
そんなことを思いながら、レジに行くとスーパーの店員さんがにこにこと愛想よく話しかけてきた。
「染物作家の清本唄代さんの孫じゃない?」
「はあ、そうですが」
「やーねー!他人行儀なんだから。覚えてない?私のこと。ほら、スーパーの娘のっ」
「あー!倖代ちゃん?」
「そうそう。小学生以来に会うから、わからなかったかもだけど。星名も島に残ってるのよ」
「猫を助けに木に登ったのはいいけど、自分も木からおりれなくなった子?」
「そう。その子。民宿『海風』を継いだのよ」
「えっ!星名ちゃんの家って民宿だったんだ」
「そうそう」
小さい頃だったから、誰がどの家の子だとか知らずに遊んでいた。
それに二人とも私より年上だったし、面倒見のいいお姉さんってかんじだった。
島にきたら声をかけてくれて、よく遊んでくれたのは覚えている。
「帰りに民宿『海風』に寄るつもりなんだけど、なにかいいお土産ないかな?」
「いらないわよ。素敵なストールをもらったって、星名が自慢していたし」
素敵なっていうか、素人が染めただけの麻のショールをそんなふうに言ってもらえるなんて、すごく嬉しかった。
「じゃ、じゃあ、よかったら、倖代ちゃんにも持ってくるね」
「本当?嬉しいなー!ありがと!」
そっか。
あのストールを気に入ってくれたんだ。
なんとなく、嬉しくなって海沿いの道路を足取り軽く歩いた。
「気晴らしで染めただけなのに喜ばれるなんて、嬉しいなー」
海も綺麗だし、このまま定住しようかなー、なんて思っていると強い風に煽られて、重い荷物を持った私の体はよろめいた。
「荒れそう……」
天気がよかったけれど、雲の流れが早い。
もしかしたら、嵐になるのかも―――ごうごうと耳元で風の音と打ち付ける波の音とが大きくて、その予感は当たりそうだった。
「なにしてるんですか。ぼうっとして」
その声に振り返ると作業服を着た説教臭い男、納多さんがいた。
「海を見てただけです」
「その大荷物を抱えたまま?なんの訓練ですか」
ムッカー!
ほんっとこの人は一言、多いわよね!
「今から帰るところだったのっ!」
「早く帰らないと雨になりますよ」
「わかってますっ!」
「民宿『海風』まで行くのでどうぞ」
車のドアを開けてくれた。
最初からその親切な言葉一つでいいと思うんだけど。
「どうも……ありがとうございます」
なんとなく悔しい気分で車に乗ろうとして、一瞬だけ躊躇った。
納多さんが使う香水は私にとっては特別な香りで斗翔が使っていたブルードゥシャネルだと気づいたから。
「車に酔いやすくて。窓、開けてもいいですか?」
「どうぞ」
泣きそうな顔をしているのを納多さんに気づかれたくなくて窓のほうを見ていた。
シトラスの爽やかな香りが涙を誘った。
「助かりました」
納多さんにはそう言ったけれど、本心は違う。
苦しい―――まだ忘れるには時間が足りないよ。
だから、今は顔に強い風を受けたせいで涙目だってことにしておこう。
窓は全開にした。
納多さんは黙って運転していた。
今こそ、私が頭にくるようなことを言ってほしかったのに。
そうすれば、この悲しい気持ちをうまくごまかせたはずだった。
融通がきかないんだから。
ちらりと見た納多さんの顔は無表情でなにを考えているか、さっぱりわからなかった。
田舎生活三日目の朝、空っぽの冷蔵庫を見て命の危機を感じた。
あるのは水(水道水)だけだし。
民宿の人からもらったおにぎりは食べきってしまったし、とうとう私も本格的に動く時がきたわね。
納多さんに説教されたからってわけじゃないわよ?
人間としてさすがにそろそろこれはまずいぞって思ってきたわけよ。うん。
やっとかなんてツッコミはやめてね?
「よーし!食料を買いに行くわよ!」
ガッツポーズをした。
山道を下るのはいいけど、また登るかと思うとめんどうなのよね。
だから、買えるだけ買う!
何度も山から下りなくていいように。
なんて名案よ。
天才かな?
それに民宿の人達にお礼も言おう。
そう思って、山から下りた。
島にはスーパーが一つだけある。
日用品から食料品まで揃う便利なスーパーでほしいものがあれば、住所と名前を書いて頼んでおくと取り置きしてくれるそうだ。
「ありがたいなー」
ネット通販も時間はかかるみたいだけど、ちゃんと届くみたいだし、これからはそういうのも使おう。
非常食としてカップ麺、それから冷凍の魚と肉と野菜も置けば、当分は生き延びれるでしょ。
乾物もあれば、なおいいわね。
スパゲッティの麺やそうめん、そばの乾麺をレジのカゴに入れた。
なかなかの大量購入ぶり。
向こうにいたときは食欲もなかったけど、こっちにきてからは回復してきた。
この調子でいけば―――忘れられるのかな。
今は無理でも。
落ち込みかけた瞬間、ふわりとヨモギで染めたストールが頬に触れた。
「麻のストールを染めたおかげで少しスッキリしたわよね」
もしかしたら、おばあちゃんが私を呼んだのかもしれない。
そう思うと私が今、無職なのも意味があるってことよ!
超前向きに考えたらね!
そんなことを思いながら、レジに行くとスーパーの店員さんがにこにこと愛想よく話しかけてきた。
「染物作家の清本唄代さんの孫じゃない?」
「はあ、そうですが」
「やーねー!他人行儀なんだから。覚えてない?私のこと。ほら、スーパーの娘のっ」
「あー!倖代ちゃん?」
「そうそう。小学生以来に会うから、わからなかったかもだけど。星名も島に残ってるのよ」
「猫を助けに木に登ったのはいいけど、自分も木からおりれなくなった子?」
「そう。その子。民宿『海風』を継いだのよ」
「えっ!星名ちゃんの家って民宿だったんだ」
「そうそう」
小さい頃だったから、誰がどの家の子だとか知らずに遊んでいた。
それに二人とも私より年上だったし、面倒見のいいお姉さんってかんじだった。
島にきたら声をかけてくれて、よく遊んでくれたのは覚えている。
「帰りに民宿『海風』に寄るつもりなんだけど、なにかいいお土産ないかな?」
「いらないわよ。素敵なストールをもらったって、星名が自慢していたし」
素敵なっていうか、素人が染めただけの麻のショールをそんなふうに言ってもらえるなんて、すごく嬉しかった。
「じゃ、じゃあ、よかったら、倖代ちゃんにも持ってくるね」
「本当?嬉しいなー!ありがと!」
そっか。
あのストールを気に入ってくれたんだ。
なんとなく、嬉しくなって海沿いの道路を足取り軽く歩いた。
「気晴らしで染めただけなのに喜ばれるなんて、嬉しいなー」
海も綺麗だし、このまま定住しようかなー、なんて思っていると強い風に煽られて、重い荷物を持った私の体はよろめいた。
「荒れそう……」
天気がよかったけれど、雲の流れが早い。
もしかしたら、嵐になるのかも―――ごうごうと耳元で風の音と打ち付ける波の音とが大きくて、その予感は当たりそうだった。
「なにしてるんですか。ぼうっとして」
その声に振り返ると作業服を着た説教臭い男、納多さんがいた。
「海を見てただけです」
「その大荷物を抱えたまま?なんの訓練ですか」
ムッカー!
ほんっとこの人は一言、多いわよね!
「今から帰るところだったのっ!」
「早く帰らないと雨になりますよ」
「わかってますっ!」
「民宿『海風』まで行くのでどうぞ」
車のドアを開けてくれた。
最初からその親切な言葉一つでいいと思うんだけど。
「どうも……ありがとうございます」
なんとなく悔しい気分で車に乗ろうとして、一瞬だけ躊躇った。
納多さんが使う香水は私にとっては特別な香りで斗翔が使っていたブルードゥシャネルだと気づいたから。
「車に酔いやすくて。窓、開けてもいいですか?」
「どうぞ」
泣きそうな顔をしているのを納多さんに気づかれたくなくて窓のほうを見ていた。
シトラスの爽やかな香りが涙を誘った。
「助かりました」
納多さんにはそう言ったけれど、本心は違う。
苦しい―――まだ忘れるには時間が足りないよ。
だから、今は顔に強い風を受けたせいで涙目だってことにしておこう。
窓は全開にした。
納多さんは黙って運転していた。
今こそ、私が頭にくるようなことを言ってほしかったのに。
そうすれば、この悲しい気持ちをうまくごまかせたはずだった。
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