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還章⑤ ウェルバインド領Ⅲ
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□ □ □
夜が明ける。
襲撃は、無かった。
ゴンとイサム、そしてオレは、夜通し語り合っていた。
男同士、腹を割って話す。それは楽しいものだった。
メルルと姫様が天幕から出てくる――そこで、話は終わった。
「姫様。おはようございます。メルルもおはよう」
メルルは両腕を伸ばし、欠伸をしながら挨拶をした。
「おは~ぅぁぁぅぁよう……」
イサムの眼が、素早くメルルに動いたのを確認する。
「あっ……おはようございます……」
と、小さな声で、姫様は呟く。
「そ、そのぅ……昨日のことは……」
彼女は両指を合わせて、もじもじとした。
イサムたちに言われたばかりだ。オレも、伝えられることはしっかりと伝えたほうがいい。
「こちらこそ申し訳ありません。ですが、オレの気持ちは変わりません。処罰は、征伐戦を終わらせてから、何なりと」
誠心誠意を込め、彼女に頭を下げた。
「処罰って……もう! バルムンクの分からず屋!」
姫様は、オレの胸に可愛らしいパンチを繰り出し――再び、天幕に入ってしまう。
「……申し訳ありません」
オレはまだまだのようだ。
街には既に、『アンドリュ村』と『ギルレモ村』の村人たちが辿り着いていた。
勇者一行を見ると、拍手で出迎えてくれた。
感謝と賛辞だ。
既に誰かから話を聞いていたのか、オレは『アンドリュ村』のひとりひとりに握手を求められた。
悪い気は、しない。
その後、ウェルバインド家に戻ると、使用人たちがバタバタと出迎えてくれる。
イゾルダと父上が最後に走ってきて――オレの顔を見た。
安心したような表情だった。
「イゾルダ。……父上。ただいま戻りました」
「ああ――無事に戻ってきてくれて、良かった」
久しぶりの、会話らしい会話だった。
□ □ □
次の日の晩。
オレたち勇者一行に、豪華な食事が振る舞われた。
厳かな食事会――ではなく、賑やかな立食パーティだ。オレたちの他には、ウェルバインド領の村長たちと、そのご家族が来られている。
メルルの予言によると、少なくとも数日は侵攻が無いようだ。
なら、安心した。
パーティで、カティアを連れたブランウェンを見かける。
槍を壊してしまったと謝罪したのだが、逆に謝られてしまった。
また模擬戦をやろう、そう約束をした。次は負けん。
そしてオレは、父上と共にパーティの喧騒から離れていた。
二人きりでテーブルを挟んでいる。オレの背後にはイゾルダが立つ。
オレは目の前に置いてある葡萄酒を、光に透かした。
良く熟した林檎のような色が見えた。
「オマエは酒が飲めなかったのか……すまないな。イゾルダ、何か飲みやすいものを――」
父上がイゾルダに声をかける。
そんな必要はない。
「問題ありません。……少し、苦手なだけです」
「そうだったか……」
葡萄酒を口に含む。
力強いが、渋みを強く感じる。
ただ、それだけだ。
「やはり、よく分かりません」
オレの感想を聞いた父上は、嬉しそうに笑った。
「ふはは! これから学べば良いのだ」
「そうですね。――酒といえば、『戦士の里』に良さげな地酒がありました。近々、取り寄せてみるというのは如何でしょう」
「ほう。気になるな……頼んでみるとするよ」
オレたちは、同時に杯を傾けた。
しばらく会話は無かったが、父上はオレを見ているだけで満足のようだ。
……なんとなく、話しかけるタイミングを失ってしまう。
ふと、肩に置かれた手。
振り返ると、イゾルダがオレを見ていた。
その表情は、優しかった。
「バルムンク様のタイミングで良いのです」
叶わないな。
ゆっくりと深呼吸をする。覚悟をするように。
言いたいことは、既に用意してある。
「――父上。申し訳ありませんでした」
その言葉を、言った。
「……どうしたのだ? 何か、悪いことでもしたのか? オマエは、昔から手が掛からない子だったから、私には想像が付かぬが」
手が掛からなかった、か。
「……たくさん、しましたよ。家を出奔し、ウェルバインドを名乗ろうともしなかった。それは全部、オレが傲慢だったからです」
父上は、ふっと笑う。
「……だが、その短剣を使ってくれているのだな。オマエが一歳の時に、妻と私があげた短剣だ」
「――!」
オレは腰に差した短剣を抜く。
――なんで、気が付かなかったのだろう。
その柄にはウェルバインドの家紋が刻まれていた。
武器が破損した時や、非番時、咄嗟に姫様をお護りする時。
常に、この短剣はオレと共にあった。
「……無意識にウェルバインドを頼り、護られていたのですね、オレは」
父上は微かに目を細め、短剣を見やる。
「護られていた……いや、それを握り、振るったのはオマエ自身だ」
父はおもむろに天を仰ぐ。
「私は……民を死なせたくなくて、消極的な統治を貫いた。オマエは、それを不満に思っていたのだろう?」
「ええ。そう思っていました。オレは、その表面的な部分だけを見て、あなたを情けない父だと思っていた。代々継いだモノを、台無しにした人だと。――だけど、違った。このパーティに出ている村人たちや、街の人々を見れば、それは分かります。やっと、理解しました。オレは、子どもだった」
小さい溜息をつく父上。
「もう少し、オマエと話をしていれば、良かったのかもしれないな」
「そうですね。私もイサムたちと旅をしていて、それを実感しています。――父上は本当に、昔から統治や職務などについて、話そうとしませんでしたね」
幼少期からそうだった。彼は、職務のことを一切話さなかったのだ。
オレを見かけるとすぐに手を止め、遊びに行こうと誘ってくれたり、訓練に付き合ってくれたりしていた。
――今になって、思い返される出来事が多い。
もう一度、父上は笑った。
改めてその顔を見ると、父上は老いていた。
白髪が増え、皺も深くなっている。
――六年間、オレは帰ってきていなかったのだ。そう感じるのは、当然だろう。
父上は笑いながら、頬杖をついた。
「息子に職務のことを話すなど、そんな格好の悪いことはできんよ」
――――。
驚いた。
いま初めて、この人の息子で良かったと思えた。
「……グラム様。いくらワタシたちだけとはいえ、行儀にはお気を付けください。それは格好が悪いですよ」
背後からイゾルダの小言が飛ぶ。
それを受けた父上が、慌てて襟を正した。
「むぅ……」
「――はは!」
なんだか面白くて、笑ってしまう。
眉尻を下げた父上が、誤魔化すように捲し立てる。
「もういい、もういい! まったく、イゾルダは小言が多くてたまらん……我々もパーティに戻ろうぞ」
そう言いつつも、口角は上がっている。
杯を手に立ち上がると、すかさずイゾルダに取られた。
それくらい、自分で持てるのに。
手ぶらになったオレたちは、肩を並べて歩き出す。
父上がそっと、オレの頭に手を置いた。
イゾルダが扉を開ける。
閉ざされていた喧騒が、一気に溢れ出す。
「ま、私にとっては、いくつになってもオマエは子どもだよ。……出来れば、孫の顔も見たいがな。きっと、メルキセデクも喜ぶ」
視線の先――すぐ側に、姫様がいた。
村人たちと歓談している最中のようだが、手で顔を扇いでいる。その仕草はまるで、熱を冷まそうとするかのようだった。
「――父上。改めてご紹介します。彼女が、オレの愛するお方です」
父上の目が見開かれる。
驚きと、少しの戸惑いが滲んだ声を出した。
「おお……そこまで行っていたのか……知らなんだ」
姫様がすぐに返答した。
「あの……多分、バルムンク的には、ちょっと違うみたいなんです……」
父上はその言葉を受け、目を細めながら、じっとオレを見つめた後、深い溜息を吐いた。
突然、イゾルダが頭を下げた。
「申し訳ありません。私の教育が行き届かなかったのかもしれません」
かぶりを振りながら、穏やかに笑う父上。
「いいや……妻もこんな感じだったのだ。血は争えん……すまんな、リリス。時間は掛かるかもしれぬ」
続けて、父上は姫様に近づき、囁いた。
「だがな、攻略法を教えてやろう。押せば勝てる。私はそうした」
姫様は目を丸くし、鼻息を立てながら何度も頷いた。
何の話かサッパリ分からんが、
「父上……そんなに近づかれては困ります」
間に割り込んだ。
父上は軽く肩を竦めて呟いた。
「おお、すまんな。主君として、だものな」
――いや、それは違う。もう違うのだ。
「いえ。『バルムンク・ウェルバインド』として、彼女をお護りしたいのです」
オレの言葉に、イゾルダと父上は顔を見合わせた。
「……意外と、早いか?」
「ですね」
□ □ □
パーティが終わると、一行は、オレの部屋に来ていた。
オレもこの部屋に入るのは久しぶりだ。六年前から変わっていない。
そして、隅まで掃除が行き届いている。
……イゾルダが、オレがいつ帰って来ても良いように、清掃してくれていたのだろう。
「十一歳のバルムンクさんのお部屋ですか! へえ~……なんか、バルムンクさんの部屋って感じですね……」
ゴンがキョロキョロと家具を見渡していた。
特に飾り気の無い部屋だ。
「普通で、面白みが無いだろう?」
「そんなことありませんよ、バルムンク! ほら!」
姫様が両手で何かを抱えていた――金属製の玩具箱だ。
満足げに、にんまりとした表情で鼻息を荒くする彼女が、
「えへへ、どんな玩具を持っているのかな~? バルムンクくん十一歳は~?」
と玩具箱を床に置き、蓋を開けようとしていた。どうやら、蓋が固いらしい。
オレも、中身は覚えていない。
玩具で遊んだ時期はあったのだろうか……。
ふと、オレ以外の奴は、どんな子どもだったのかが気になった。
這いつくばり、寝台の下を覗くイサムとメルル、本棚を眺めるゴンに声をかけた。
「三人の子どもの頃は、玩具で遊んだりしていたのか?」
最初に答えたのはイサムだ。
「あー、そうだったよ。母ちゃんにねだってたのを覚えてる。高い玩具は買って貰えなくてさ、店の床で駄々こねたっけなぁ――無いか、【エロ本】は」
なんだ、【エロホン】とは。
そうか、ねだっていたのか。今のイサムからは考えられんな。
「恋文とか隠していると思ったのに。何もないじゃないか。つまんないの」
メルルは溜息をつきやがった。
「そんなモノを寝台の下には隠さん。で、メルルは?」
彼女は頭を掻きながら、視線を上に向けた。
「いや、玩具で遊んだ記憶はないな。妹たちが占有していたから」
「妹……? そうなのか。それは残念だったな」
初耳だ。
深掘りしていいのか分からなかった。
メルルが詳しく話さないのなら、問い詰めるのも悪いだろう。
ゴンと目が合う。
「オイラの里には、王国や領地で見かける玩具はなかったです。ですけど、ヴァルガンと遊んだり、じっちゃんが木彫りの像を作ってくれたりしたから、なにも不満はなかったです」
「いいじゃないか。オレも昔は模擬戦に明け暮れていたからな、同じようなものだ」
ブランウェンのお陰で、それを思い出すことができた。
「えー!? これだけぇ!?」
姫様の大声だ。
何事かと全員が姫様に注目する。
そこには、床にへたり込み、蓋を抱きしめて涙目になった姫様が居た。
オレたちは箱の中身を覗く。
中には、右腕の折れた白銀の騎士人形が一人、座り込んでいた。
記憶が蘇る。
「ほう! 懐かしいな!」
オレは騎士人形を掴み、持ち上げた。
姫様の瞳が、名残惜しそうに人形を追う。
「物心つくまえに、母上がオレに買ってくれたものだ。独りの時はこれを振り回して遊んでいてな。そしたら、彼の右腕を折ってしまい、悲しみのあまり大泣きしたのを思い出した。――ああ、すまなかったな。あの時は乱暴にしてしまって」
こう見ると、なかなか愛らしい解釈をした面構えだ。
思わず、顔が綻んだ。
姫様が物欲しそうに騎士人形を見ている。
……姫様は、玩具を買い与えられなかったはずだ。勿論、王や王妃様方は買い与えようとしていたが。彼女は、鍛錬に集中するため、それを断っていた。
「……壊れていますが、要りますか?」
と、言ってみる。
流石に要らないだろうが、そんな小動物のような目をされるとな……。
「良いんですか! ありがとうございます!」
予想外だった。
オレは姫様に、騎士人形を手渡す。
「こんなモノで良ければ……新しいのを見繕いましょうか? 汚れていますし」
「これが良いんですよ」
彼女は、愛おしそうに騎士人形を抱きしめた。
可愛らしいお方だ。
「せめて、折れた右腕を直しましょうか。工具を持ってきます」
イゾルダは工具の置き場所を知っているだろうか?
部屋の扉に手をかけると、メルルに止められた。
「おいおい、修復魔術くらいかけるぞ、私が」
「そんな魔術があるのか……? なら、破壊された家屋も直せるんじゃないか?」
「上級を使えば直せるけどね、詠唱に一日掛かるんだよ。下級は小物くらいしか直せないけど、一瞬だ」
姫様が両手で差し出す騎士人形に、メルルは魔術をかける。
「『砕けた逆巻きの世界よ。完全なる輪に還せ』」
パキパキと、薄い石が割れるような音がする。その音が断続的に響くたびに、騎士人形の右腕が、記憶を取り戻すかのように本来の形を取り戻していく。
「わぁ! ありがとうございます、メルルさん!」
愛おしむように、姫様は強く、騎士人形を抱いた。
……彼女の知らない一面が見れて、オレは満足だ。
ふと、思ったことを口にする。
「しかし、その卓越した魔術は素晴らしいな。どうだ? 戦いが終わったら、ウェルバインド領に来ないか? 相応の立ち位置を用意しよう」
一瞬の後に、メルルが目を見開いた。
「え? 私が!?」
「ああ。ウェルバインドは魔王領に近い。世界を救った後、魔王軍に侵された領地は復興しなければならない。おそらく指揮を執るのは、父上――そしてオレだろう。お前が手伝ってくれれば、復興も早まる」
彼女は腕を組んで、唸った。
「う~ん……向いている気がしないけど……。ね、イサムはどう思う?」
「俺?」
イサムも驚くような声をあげた。
「いいんじゃないか? いつも俺たちをサポートしてくれるし、向いてないなんてことはないと思うけど」
「そうかな~……」
彼にも言いたかったことを、口に出す。
「その、なんだ。イサムもどうだ?」
「どうって、何が?」
「お前には、大局を見る力と、先を見通す力があるように見える。普段の戦いでもそうだろう? オレが指示し、イサムが修正して展開する。……イサムには、顧問官としての立ち位置を用意したいのだ。――どうだ?」
ずっと考えていた。
イサムだけではない、この一行が共に居れば、向かう所敵なしなのではないかと。
彼は、中空を仰ぎながら、頬を掻いた。
「――ありがとう。でも俺、神様の転移で来たからさ。竜魔王を倒した後、どうなるか分からないんだ。だから、倒してから考えるよ」
「そうか。突然、すまなかったな」
体よく断られた、と言ってもいい。
だが、それでも良い。
生きてさえいてくれれば、それで良いのだ。
「大丈夫。……あ、じゃあ、俺は少し城内を回ってこようかな。一昨日はよく見れなかったし」
「了解した。ちょうど良い、そろそろ解散としよう。オレの部屋はもう、飽きただろう?」
姫様は、どこか名残惜しそうに視線を落とした。
一行が次々に部屋を後にする中、オレは姫様の様子を窺っていた。
「ちょっと、踏み込み過ぎちゃったな」
イサムの呟きが耳に届く。
だが、その言葉の意味を深く考えようとしなかった。
その真意を理解したのは、随分と後のことだった。
□ □ □
数日後。
ウェルバインド家の門前で、大量の物資を受け取った。
見送ってくれるのは、父上とイゾルダ。それに村人たちだ。
村人たちは、オレたちのために、馬と馬車を用意してくれた。
「はー……なんか一気に整っちゃったな。バルムンクは馬車引けるんだっけ? 俺は出来ないけど」
イサムは馬の鼻を撫でながら問う。
馬は嬉しそうに鼻を鳴らす。
「馬には乗れるが……馬車となると勝手が違うからな。ゴンはどうだ?」
「任せてください! 村で練習しました!」
「何でも出来る男だな、本当に」
それにしても良い馬だ。毛並みが艶やかで、脚も太い。鼻息からは気概を感じる。ブランウェンは良い馬を育てたな。
「それでは父上、行って参ります。竜魔王を倒した後に、一度寄りますね。……それまでは、無事に民を護っていてください」
「善処する」
オレたちは固い握手を交わす。
挨拶の最中、車輪の騒がしい響きが耳に届いた。
馬車だ。遠目からでも一目で分かる。
何故なら、豪華絢爛なキャビンを引く馬たちが、陽光を浴びて煌めく金色の馬鎧を纏っているからだ。
鋭い嘶きと共に、それはウェルバインド家の門前で停まる。
オレは即座に、姫様の前に立つ。
「父上。あれは?」
「おお、もうそんな時期であったか。彼らは――」
父上がそれを言いかけた瞬間、キャビンの扉が勢いよく開かれた。
中から飛び出した人影。それは、父上の前に降り立つ。
煌びやかなダルマティカを見るに、聖職者だろうか。
だが、聖職者らしい厳粛さは微塵もない。声高に叫ぶその姿はむしろ、無邪気な道化を思わせた。
「オオ――! グラム様! あなたの友、助祭クレアスでス! クレアス・アリアスタでございまス! 司祭ガルディス様の書簡を届けに参りましたヨ!!」
その男の勢いに押された父上は、困惑したように苦笑を浮かべる――ふと視線を向けると、メルルが身体を震わせていた。
夜が明ける。
襲撃は、無かった。
ゴンとイサム、そしてオレは、夜通し語り合っていた。
男同士、腹を割って話す。それは楽しいものだった。
メルルと姫様が天幕から出てくる――そこで、話は終わった。
「姫様。おはようございます。メルルもおはよう」
メルルは両腕を伸ばし、欠伸をしながら挨拶をした。
「おは~ぅぁぁぅぁよう……」
イサムの眼が、素早くメルルに動いたのを確認する。
「あっ……おはようございます……」
と、小さな声で、姫様は呟く。
「そ、そのぅ……昨日のことは……」
彼女は両指を合わせて、もじもじとした。
イサムたちに言われたばかりだ。オレも、伝えられることはしっかりと伝えたほうがいい。
「こちらこそ申し訳ありません。ですが、オレの気持ちは変わりません。処罰は、征伐戦を終わらせてから、何なりと」
誠心誠意を込め、彼女に頭を下げた。
「処罰って……もう! バルムンクの分からず屋!」
姫様は、オレの胸に可愛らしいパンチを繰り出し――再び、天幕に入ってしまう。
「……申し訳ありません」
オレはまだまだのようだ。
街には既に、『アンドリュ村』と『ギルレモ村』の村人たちが辿り着いていた。
勇者一行を見ると、拍手で出迎えてくれた。
感謝と賛辞だ。
既に誰かから話を聞いていたのか、オレは『アンドリュ村』のひとりひとりに握手を求められた。
悪い気は、しない。
その後、ウェルバインド家に戻ると、使用人たちがバタバタと出迎えてくれる。
イゾルダと父上が最後に走ってきて――オレの顔を見た。
安心したような表情だった。
「イゾルダ。……父上。ただいま戻りました」
「ああ――無事に戻ってきてくれて、良かった」
久しぶりの、会話らしい会話だった。
□ □ □
次の日の晩。
オレたち勇者一行に、豪華な食事が振る舞われた。
厳かな食事会――ではなく、賑やかな立食パーティだ。オレたちの他には、ウェルバインド領の村長たちと、そのご家族が来られている。
メルルの予言によると、少なくとも数日は侵攻が無いようだ。
なら、安心した。
パーティで、カティアを連れたブランウェンを見かける。
槍を壊してしまったと謝罪したのだが、逆に謝られてしまった。
また模擬戦をやろう、そう約束をした。次は負けん。
そしてオレは、父上と共にパーティの喧騒から離れていた。
二人きりでテーブルを挟んでいる。オレの背後にはイゾルダが立つ。
オレは目の前に置いてある葡萄酒を、光に透かした。
良く熟した林檎のような色が見えた。
「オマエは酒が飲めなかったのか……すまないな。イゾルダ、何か飲みやすいものを――」
父上がイゾルダに声をかける。
そんな必要はない。
「問題ありません。……少し、苦手なだけです」
「そうだったか……」
葡萄酒を口に含む。
力強いが、渋みを強く感じる。
ただ、それだけだ。
「やはり、よく分かりません」
オレの感想を聞いた父上は、嬉しそうに笑った。
「ふはは! これから学べば良いのだ」
「そうですね。――酒といえば、『戦士の里』に良さげな地酒がありました。近々、取り寄せてみるというのは如何でしょう」
「ほう。気になるな……頼んでみるとするよ」
オレたちは、同時に杯を傾けた。
しばらく会話は無かったが、父上はオレを見ているだけで満足のようだ。
……なんとなく、話しかけるタイミングを失ってしまう。
ふと、肩に置かれた手。
振り返ると、イゾルダがオレを見ていた。
その表情は、優しかった。
「バルムンク様のタイミングで良いのです」
叶わないな。
ゆっくりと深呼吸をする。覚悟をするように。
言いたいことは、既に用意してある。
「――父上。申し訳ありませんでした」
その言葉を、言った。
「……どうしたのだ? 何か、悪いことでもしたのか? オマエは、昔から手が掛からない子だったから、私には想像が付かぬが」
手が掛からなかった、か。
「……たくさん、しましたよ。家を出奔し、ウェルバインドを名乗ろうともしなかった。それは全部、オレが傲慢だったからです」
父上は、ふっと笑う。
「……だが、その短剣を使ってくれているのだな。オマエが一歳の時に、妻と私があげた短剣だ」
「――!」
オレは腰に差した短剣を抜く。
――なんで、気が付かなかったのだろう。
その柄にはウェルバインドの家紋が刻まれていた。
武器が破損した時や、非番時、咄嗟に姫様をお護りする時。
常に、この短剣はオレと共にあった。
「……無意識にウェルバインドを頼り、護られていたのですね、オレは」
父上は微かに目を細め、短剣を見やる。
「護られていた……いや、それを握り、振るったのはオマエ自身だ」
父はおもむろに天を仰ぐ。
「私は……民を死なせたくなくて、消極的な統治を貫いた。オマエは、それを不満に思っていたのだろう?」
「ええ。そう思っていました。オレは、その表面的な部分だけを見て、あなたを情けない父だと思っていた。代々継いだモノを、台無しにした人だと。――だけど、違った。このパーティに出ている村人たちや、街の人々を見れば、それは分かります。やっと、理解しました。オレは、子どもだった」
小さい溜息をつく父上。
「もう少し、オマエと話をしていれば、良かったのかもしれないな」
「そうですね。私もイサムたちと旅をしていて、それを実感しています。――父上は本当に、昔から統治や職務などについて、話そうとしませんでしたね」
幼少期からそうだった。彼は、職務のことを一切話さなかったのだ。
オレを見かけるとすぐに手を止め、遊びに行こうと誘ってくれたり、訓練に付き合ってくれたりしていた。
――今になって、思い返される出来事が多い。
もう一度、父上は笑った。
改めてその顔を見ると、父上は老いていた。
白髪が増え、皺も深くなっている。
――六年間、オレは帰ってきていなかったのだ。そう感じるのは、当然だろう。
父上は笑いながら、頬杖をついた。
「息子に職務のことを話すなど、そんな格好の悪いことはできんよ」
――――。
驚いた。
いま初めて、この人の息子で良かったと思えた。
「……グラム様。いくらワタシたちだけとはいえ、行儀にはお気を付けください。それは格好が悪いですよ」
背後からイゾルダの小言が飛ぶ。
それを受けた父上が、慌てて襟を正した。
「むぅ……」
「――はは!」
なんだか面白くて、笑ってしまう。
眉尻を下げた父上が、誤魔化すように捲し立てる。
「もういい、もういい! まったく、イゾルダは小言が多くてたまらん……我々もパーティに戻ろうぞ」
そう言いつつも、口角は上がっている。
杯を手に立ち上がると、すかさずイゾルダに取られた。
それくらい、自分で持てるのに。
手ぶらになったオレたちは、肩を並べて歩き出す。
父上がそっと、オレの頭に手を置いた。
イゾルダが扉を開ける。
閉ざされていた喧騒が、一気に溢れ出す。
「ま、私にとっては、いくつになってもオマエは子どもだよ。……出来れば、孫の顔も見たいがな。きっと、メルキセデクも喜ぶ」
視線の先――すぐ側に、姫様がいた。
村人たちと歓談している最中のようだが、手で顔を扇いでいる。その仕草はまるで、熱を冷まそうとするかのようだった。
「――父上。改めてご紹介します。彼女が、オレの愛するお方です」
父上の目が見開かれる。
驚きと、少しの戸惑いが滲んだ声を出した。
「おお……そこまで行っていたのか……知らなんだ」
姫様がすぐに返答した。
「あの……多分、バルムンク的には、ちょっと違うみたいなんです……」
父上はその言葉を受け、目を細めながら、じっとオレを見つめた後、深い溜息を吐いた。
突然、イゾルダが頭を下げた。
「申し訳ありません。私の教育が行き届かなかったのかもしれません」
かぶりを振りながら、穏やかに笑う父上。
「いいや……妻もこんな感じだったのだ。血は争えん……すまんな、リリス。時間は掛かるかもしれぬ」
続けて、父上は姫様に近づき、囁いた。
「だがな、攻略法を教えてやろう。押せば勝てる。私はそうした」
姫様は目を丸くし、鼻息を立てながら何度も頷いた。
何の話かサッパリ分からんが、
「父上……そんなに近づかれては困ります」
間に割り込んだ。
父上は軽く肩を竦めて呟いた。
「おお、すまんな。主君として、だものな」
――いや、それは違う。もう違うのだ。
「いえ。『バルムンク・ウェルバインド』として、彼女をお護りしたいのです」
オレの言葉に、イゾルダと父上は顔を見合わせた。
「……意外と、早いか?」
「ですね」
□ □ □
パーティが終わると、一行は、オレの部屋に来ていた。
オレもこの部屋に入るのは久しぶりだ。六年前から変わっていない。
そして、隅まで掃除が行き届いている。
……イゾルダが、オレがいつ帰って来ても良いように、清掃してくれていたのだろう。
「十一歳のバルムンクさんのお部屋ですか! へえ~……なんか、バルムンクさんの部屋って感じですね……」
ゴンがキョロキョロと家具を見渡していた。
特に飾り気の無い部屋だ。
「普通で、面白みが無いだろう?」
「そんなことありませんよ、バルムンク! ほら!」
姫様が両手で何かを抱えていた――金属製の玩具箱だ。
満足げに、にんまりとした表情で鼻息を荒くする彼女が、
「えへへ、どんな玩具を持っているのかな~? バルムンクくん十一歳は~?」
と玩具箱を床に置き、蓋を開けようとしていた。どうやら、蓋が固いらしい。
オレも、中身は覚えていない。
玩具で遊んだ時期はあったのだろうか……。
ふと、オレ以外の奴は、どんな子どもだったのかが気になった。
這いつくばり、寝台の下を覗くイサムとメルル、本棚を眺めるゴンに声をかけた。
「三人の子どもの頃は、玩具で遊んだりしていたのか?」
最初に答えたのはイサムだ。
「あー、そうだったよ。母ちゃんにねだってたのを覚えてる。高い玩具は買って貰えなくてさ、店の床で駄々こねたっけなぁ――無いか、【エロ本】は」
なんだ、【エロホン】とは。
そうか、ねだっていたのか。今のイサムからは考えられんな。
「恋文とか隠していると思ったのに。何もないじゃないか。つまんないの」
メルルは溜息をつきやがった。
「そんなモノを寝台の下には隠さん。で、メルルは?」
彼女は頭を掻きながら、視線を上に向けた。
「いや、玩具で遊んだ記憶はないな。妹たちが占有していたから」
「妹……? そうなのか。それは残念だったな」
初耳だ。
深掘りしていいのか分からなかった。
メルルが詳しく話さないのなら、問い詰めるのも悪いだろう。
ゴンと目が合う。
「オイラの里には、王国や領地で見かける玩具はなかったです。ですけど、ヴァルガンと遊んだり、じっちゃんが木彫りの像を作ってくれたりしたから、なにも不満はなかったです」
「いいじゃないか。オレも昔は模擬戦に明け暮れていたからな、同じようなものだ」
ブランウェンのお陰で、それを思い出すことができた。
「えー!? これだけぇ!?」
姫様の大声だ。
何事かと全員が姫様に注目する。
そこには、床にへたり込み、蓋を抱きしめて涙目になった姫様が居た。
オレたちは箱の中身を覗く。
中には、右腕の折れた白銀の騎士人形が一人、座り込んでいた。
記憶が蘇る。
「ほう! 懐かしいな!」
オレは騎士人形を掴み、持ち上げた。
姫様の瞳が、名残惜しそうに人形を追う。
「物心つくまえに、母上がオレに買ってくれたものだ。独りの時はこれを振り回して遊んでいてな。そしたら、彼の右腕を折ってしまい、悲しみのあまり大泣きしたのを思い出した。――ああ、すまなかったな。あの時は乱暴にしてしまって」
こう見ると、なかなか愛らしい解釈をした面構えだ。
思わず、顔が綻んだ。
姫様が物欲しそうに騎士人形を見ている。
……姫様は、玩具を買い与えられなかったはずだ。勿論、王や王妃様方は買い与えようとしていたが。彼女は、鍛錬に集中するため、それを断っていた。
「……壊れていますが、要りますか?」
と、言ってみる。
流石に要らないだろうが、そんな小動物のような目をされるとな……。
「良いんですか! ありがとうございます!」
予想外だった。
オレは姫様に、騎士人形を手渡す。
「こんなモノで良ければ……新しいのを見繕いましょうか? 汚れていますし」
「これが良いんですよ」
彼女は、愛おしそうに騎士人形を抱きしめた。
可愛らしいお方だ。
「せめて、折れた右腕を直しましょうか。工具を持ってきます」
イゾルダは工具の置き場所を知っているだろうか?
部屋の扉に手をかけると、メルルに止められた。
「おいおい、修復魔術くらいかけるぞ、私が」
「そんな魔術があるのか……? なら、破壊された家屋も直せるんじゃないか?」
「上級を使えば直せるけどね、詠唱に一日掛かるんだよ。下級は小物くらいしか直せないけど、一瞬だ」
姫様が両手で差し出す騎士人形に、メルルは魔術をかける。
「『砕けた逆巻きの世界よ。完全なる輪に還せ』」
パキパキと、薄い石が割れるような音がする。その音が断続的に響くたびに、騎士人形の右腕が、記憶を取り戻すかのように本来の形を取り戻していく。
「わぁ! ありがとうございます、メルルさん!」
愛おしむように、姫様は強く、騎士人形を抱いた。
……彼女の知らない一面が見れて、オレは満足だ。
ふと、思ったことを口にする。
「しかし、その卓越した魔術は素晴らしいな。どうだ? 戦いが終わったら、ウェルバインド領に来ないか? 相応の立ち位置を用意しよう」
一瞬の後に、メルルが目を見開いた。
「え? 私が!?」
「ああ。ウェルバインドは魔王領に近い。世界を救った後、魔王軍に侵された領地は復興しなければならない。おそらく指揮を執るのは、父上――そしてオレだろう。お前が手伝ってくれれば、復興も早まる」
彼女は腕を組んで、唸った。
「う~ん……向いている気がしないけど……。ね、イサムはどう思う?」
「俺?」
イサムも驚くような声をあげた。
「いいんじゃないか? いつも俺たちをサポートしてくれるし、向いてないなんてことはないと思うけど」
「そうかな~……」
彼にも言いたかったことを、口に出す。
「その、なんだ。イサムもどうだ?」
「どうって、何が?」
「お前には、大局を見る力と、先を見通す力があるように見える。普段の戦いでもそうだろう? オレが指示し、イサムが修正して展開する。……イサムには、顧問官としての立ち位置を用意したいのだ。――どうだ?」
ずっと考えていた。
イサムだけではない、この一行が共に居れば、向かう所敵なしなのではないかと。
彼は、中空を仰ぎながら、頬を掻いた。
「――ありがとう。でも俺、神様の転移で来たからさ。竜魔王を倒した後、どうなるか分からないんだ。だから、倒してから考えるよ」
「そうか。突然、すまなかったな」
体よく断られた、と言ってもいい。
だが、それでも良い。
生きてさえいてくれれば、それで良いのだ。
「大丈夫。……あ、じゃあ、俺は少し城内を回ってこようかな。一昨日はよく見れなかったし」
「了解した。ちょうど良い、そろそろ解散としよう。オレの部屋はもう、飽きただろう?」
姫様は、どこか名残惜しそうに視線を落とした。
一行が次々に部屋を後にする中、オレは姫様の様子を窺っていた。
「ちょっと、踏み込み過ぎちゃったな」
イサムの呟きが耳に届く。
だが、その言葉の意味を深く考えようとしなかった。
その真意を理解したのは、随分と後のことだった。
□ □ □
数日後。
ウェルバインド家の門前で、大量の物資を受け取った。
見送ってくれるのは、父上とイゾルダ。それに村人たちだ。
村人たちは、オレたちのために、馬と馬車を用意してくれた。
「はー……なんか一気に整っちゃったな。バルムンクは馬車引けるんだっけ? 俺は出来ないけど」
イサムは馬の鼻を撫でながら問う。
馬は嬉しそうに鼻を鳴らす。
「馬には乗れるが……馬車となると勝手が違うからな。ゴンはどうだ?」
「任せてください! 村で練習しました!」
「何でも出来る男だな、本当に」
それにしても良い馬だ。毛並みが艶やかで、脚も太い。鼻息からは気概を感じる。ブランウェンは良い馬を育てたな。
「それでは父上、行って参ります。竜魔王を倒した後に、一度寄りますね。……それまでは、無事に民を護っていてください」
「善処する」
オレたちは固い握手を交わす。
挨拶の最中、車輪の騒がしい響きが耳に届いた。
馬車だ。遠目からでも一目で分かる。
何故なら、豪華絢爛なキャビンを引く馬たちが、陽光を浴びて煌めく金色の馬鎧を纏っているからだ。
鋭い嘶きと共に、それはウェルバインド家の門前で停まる。
オレは即座に、姫様の前に立つ。
「父上。あれは?」
「おお、もうそんな時期であったか。彼らは――」
父上がそれを言いかけた瞬間、キャビンの扉が勢いよく開かれた。
中から飛び出した人影。それは、父上の前に降り立つ。
煌びやかなダルマティカを見るに、聖職者だろうか。
だが、聖職者らしい厳粛さは微塵もない。声高に叫ぶその姿はむしろ、無邪気な道化を思わせた。
「オオ――! グラム様! あなたの友、助祭クレアスでス! クレアス・アリアスタでございまス! 司祭ガルディス様の書簡を届けに参りましたヨ!!」
その男の勢いに押された父上は、困惑したように苦笑を浮かべる――ふと視線を向けると、メルルが身体を震わせていた。
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