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四章 『剣の名は』
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結果的に、一ヶ月の時間を消費した。
おそらく、眷属が見張っていたのだろう。夙夜、魔物が襲ってきた。
基本的には、俺が戦う。
繰り返しにはなるが、勇者の剣は聖剣だ。魔物への特攻がある。一振りで片付く事が多い。
しかし、俺の体力は別だ。
いくら征伐戦時の身体性能に戻っているとはいえ、連続で戦い続けるのには問題があった。
二日を超えた辺りから、違和感が発生する。
一体だけなら問題がない。ただ、連戦となると、剣を振るスピードが落ちていった。
『ボー領』に近づく毎に、魔物の格が上がっていく。
三日目になると、今まで俺の背中をカバーをしていたバルムンクが、俺の横に立っていた。それを繰り返して、繰り返して――俺たちは戦い尽くし、そうして、ボー領に辿り着いたのだ。
魔に染まった空の下、俺たちは崖からボー領を見下ろした。
「バルムンク……ようやく辿り着いたな……」
「ああ……」
かつての遠征でも、この場所に立った。
目先に見える、高い木々が集まった空間を指す。
「あそこが、アリアスタ村だ……あと一日はかかりそうだな」
バルムンクは大きく息を吐く。
「問題ない。片腕と言っても、剣の腕は落ちやしない。お前は少し休め」
「大丈夫だ、まだ戦え――」
――肌が粟立つ。
大気中に漂う元素が、恐怖を訴える。
――感じた。頭上から、強大な魔力を。
そう理解した瞬間、身体が天を仰いだ――足元は大きく崩れ、身体が浮遊感に包まれた。
「なっ……!」
バルムンクの声で俺は、思考を放棄してしまっていたことに気がつく。
「っ! 『風よ』!」
風魔術を放ち、落下を相殺した――相殺したはずだった。魔術が発動しない。
風の元素は、俺を拒否した。
「――――は?」
無情にも、俺の身体は地面に叩きつけられる。肺が押し潰されて、穴の空いた風船のように、空気が排出されていく。
「がはッ……!」
一瞬、眼の前が真っ白になる。
神からの『ギフト』で、異世界人準拠の肉体構築になっていなければ、地面に激突した瞬間、轢かれた蛙のように潰れて死んでいただろう。
バルムンクは――!?
彼は、すでに立ち上がっていた。ただ、その剣を支えにして立っている。満身創痍だ。
「バルムンク……俺がやる……」
たった今、黒炎の竜人が地に降り立つ。
その手には、魔剣フラガラッハを携えて。
「きっとここに来るだろうと、思っていたぜェェェ! お前らを追えば、勇者御一行残党の場所が分かるよなァ!? ――魔王様に雁首揃えて、献上してやるよッ!」
バルムンクは一筋の汗を垂らして、鼻で笑う。
「ふん、竜魔王に勇者の首を持っていったら叱られるんじゃないか? 彼女は自分でトドメを刺したがっていたからな」
片手で剣を構えるバルムンク。
「……ぬかせ。貴様ら、魔術が使えねェだろ? 大人しく投降しろよ。魔王城までは生かしてやる。残念だが、俺は全ての元素を束ねて産まれた存在だ。周囲の元素を操るなんて、訳ねェんだぜ?」
実際、それは俺たちにとって致命的だった。
大気の元素を取り込むことによって、魔力は練り上げられる。
それが機能しないとなると、物理攻撃でしか黒炎に攻撃を与えられない。
だけど、諦める理由にはならない。
奴を睨み、聖剣を構える。
「そうかい。なら……」
黒炎が魔剣を振り上げた。
剣に纏わり付くように、炎の元素たちが集まっていく。
「殺すしかねェな」
炎の元素たちが、集い、肥大化して、色を変える。綺羅びやかな橙炎は蒼炎となり、漆黒へと変貌する。
漆黒の炎が輪の形となり、広がって、落下した。
着弾した炎は、炎柱となって噴出する。
俺たちは、炎の檻に囲まれたのだ。
一歩下がったバルムンクと背中合わせになる。
「退路は断たれた、か。奴の力によって、オレの魔力器官は空となった」
「……ピンチだな」
ただ、一つの可能性に至った。
俺たちは今、魔術が使用できない。だけど、この地脈を走る魔力はどうだ?
竜魔王征伐戦――竜魔王を倒すために、俺は勇者の剣ラーハットを強化した。
必殺技とも言える『回転する炎』を使用するために、魔力が多く通っている魔王領の地脈を利用し、剣に魔力を集めた。
ここは既に魔王領。ボー領の地脈にも魔力が通っているはずだ。
だが『回転する炎』がこいつに効くだろうか。
こっちも炎、あっちも炎。ゲームなんかでもそうだろう。効くワケがない。
だから、魔力を集めるのは俺じゃない。バルムンクだ。
「バルムンク。俺が竜魔王にトドメを刺した技を覚えてるか?」
言葉を出すとすぐに、背後から凛々しい声となって帰ってくる。
「ああ。地脈から魔力を吸い上げ、魔術剣とする。騎士団の大技を応用したモノだったな」
「あれを頼む。それまでは、俺があいつとやる」
「そうか――了解、したッ!」
バルムンクは遺った腕を天に振り上げ、剣を地に突き立てた。
剣を中心として、結界紋様が展開される。
「勇者! 『決戦詠唱』を開始する! あとは頼むぞ!」
俺は既に駆け出していた。
元素の力無しでどこまでやれるのか……。正直、自信はない。だが、これが一番勝率が高いはずだ。
――勝つ。それ以外の考えは、捨てた。
「任せろ!」
俺は黒炎の竜の足元に滑り込む。
「ムッ!?」
「まずは……受けてもらうぜ」
一閃。
黒炎の表面が揺れる。
同時に、聖剣が熱を帯びた。
やはり、俺の剣では決定的なダメージを与えられない。
「聖剣は溶かせねェのか……ならァよォ」
炎の拳を振り上げた黒炎。
直線上の先にはバルムンクが。彼は既に決戦詠唱を開始している。
――決戦詠唱。この技はもとより、古くから騎士団に伝わる奥義……正確に言えば違うようだが、奥義のようなものだ。
地脈を通る魔力を身に吸収し、刃とする。その一太刀は魔への特攻を持つ。
正当な後継者であれば、それは魔の世界そのものを断絶させられる――そういった逸話がある。
それが可能なら、既にこの世から魔物はいなくなっているだろう。
だが、その威力はお墨付きだ。
ただし、決戦詠唱には、時間として六十秒が必要だ。
――戦いにおける六十秒。
生死を懸けた剣戟に、時間は十秒も要らない。それを六回も繰り返す間、自身の身体を曝け出すことになる。
信頼できる者たちが護らねば、成功することはないのだ。
バルムンクは目を閉じ、静かに唱え始めた。
「――創【サク】神話――【セイレキ】紀元――虚構の【ヤリ】――」
現代語に似た発音の言葉が奏でられる。
いま、俺がやるべきことは――この軌道をずらし、バルムンクを護ること――!
聖剣と、噴出する炎かつ大砲を思わせる黒炎の拳が鍔迫り合う。
いつの間にか、俺は獣のように叫んでいた。
大量のエネルギーを持つ両者、そして同属性の奏劇。
恐怖で竦んでいた炎元素が、息を吹き返す。まるで祭りに集まる民衆のようで、それでいて、火に集まる蛾のようで。
元素は圧縮され、エネルギーが一気に放出された。それは、爆発と呼ぶのだろう。
俺の身体は、さながらプレスされるジュース缶だ。腹の底から血が噴き上がる。
だが、吐かない。耐えられる。
腕が輝く。戦士の加護が俺を護っている。
ここは、現代ではない――!
見ると、黒炎の竜も同じように着地している頃だった。
「回転する炎――襲来する【エンバン】――【チ】より出でし天災――」
バルムンクの決戦詠唱は終盤に近づいている。
ひと息を吐き、俺は脚に全身の力を込め、跳ぶ。
目前には驚愕の表情をした黒炎。
この剣を叩きつける――!!
右袈裟、返し、左袈裟、返し、一文字――! それらを繰り返していく――!
「オオオオオォォォォォ!?」
俺の連撃を、驚愕に叫ぶ黒炎の持つ魔剣フラガラッハが捌いていく――!
フラガラッハは、強制反射の権能を所有している。
だから、俺の斬撃は全て弾かれていた。だけど、それでいいんだ――!
「交錯した【テンタイ】――!」
空気が――ふっ――と、消える――。
決戦詠唱は、今――此処に為された。
俺の背後から感じるは、強大で、強烈な魔力。
「開門――」
バルムンクは、天にクラッドの剣を刺し込んでいる――その先には門。
門を鞘として、剣が呑み込まれる。
「――抜剣、『祓』」
剣を、宙から引き抜いた。
祓うように、門は応えるように、その刃は姿を現す。
魔を穿つ刃が、世界に真と成した。
俺は連撃のリズムを崩し――フラガラッハが強制反射をする――ああ――竜魔王の斬撃なら、俺の身体はここで真っ二つになっていただろう。
練度が足りなかったな――! なぜならお前は、産まれたばかりなんだから――!
反射の瞬間、俺は身体を右にずらし、剣の軌跡から逃れる。
強制反射唯一の隙。
補足ではあるが、バルムンクの元素属性は『風』である。
王国式決戦詠唱で出現した刃――『祓』は、元素属性に対応した、『風属性の斬撃』となる――!
吹かれるのは暴風。黄金の嵐。
一陣の鎌鼬と化した『祓』の一撃は、黒炎の竜を両断した。
「――――ア?」
哀れなことに黒炎は、その双眸が別たれたことに、まだ気が付いていなかった。
別たれたものはそして、地に倒れる。
『祓』に纏わり付いた残火を払ったバルムンク。そうして、剣から魔力が失われた。
「やったか……」
俺は嬉しすぎて、バルムンクに飛びついてやった。
「最高だお前!」
「おい! じゃれつくな!!」
笑いあう俺たち。
だけど、それは。その喜びは。
空気を灼く音によって掻き消された。
振り向くと、奴の肉体に、黒の炎柱が噴き上がっていた。
魔剣フラガラッハが、溶けた地に飲まれていく。
一層、炎が強くなった。
俺たちの声が合った。嘘だろ? って。
黒炎の竜が再び、形取られる。
おもむろに、バルムンクの体勢が崩れた。
「おい!? 大丈夫か、いったん……」
「決戦詠唱で、全てを持って行かれた……。オレはもう、身体を動かせん」
灼熱は、炎元素を吐き散らす――それは、辺りを凍りつかせた。広範囲に渡る元素。撤退するにはもう、遅い。
地に凍柱が駆ける。まるでそれは、俺たちの命を刈り取る逆巻きの塔。
もう、間に合わない。直感で分かった。
これは、俺のギフトとか、戦士の加護でなんとかなるものじゃない。
文字通りの『死』。
――――赤い死が、迫る。
そうして俺は、死んだ。
死んだはずだった。
身体は凍柱によって貫かれ、引きちぎられ、中空に浮かされているはずだった。
俺の身体は、駆ける凍柱の射線の外側に飛ばされていたのだ。
――ああ、バルムンク。どうしてなんだ。
どうしてそんな、眼をするんだ。
バルムンクの身体が――中空に浮いていた。まるで、両腕をいっぱいに広げる鳥。
幾つもの凍柱によって、貫かれているけれど。
「バルムンクッッッ!?」
聖剣を振るい、凍柱を溶かした。落下するバルムンクを、滑り込みながら抱き留める。
視界の隅には、既に身体を成した黒炎の竜――いや、黒氷の竜が降り立つ。だが、そんなものは些事でしかない。
「おいッ! バルムンク! お前、なんで……」
動けないって、言ってたろ……。
黒氷の竜は攻撃を仕掛けてこないどころか、俺たちを見つめたままだ。
その声だけが、耳に入り込む。
「……敵ながら見事だった。俺/ワタシの反転衝動を引き出すまでに至るとは……。見届けよう。勇士の灯火が消えるまで」
バルムンクの目蓋が、薄く開かれた。
「……イサム」
俺は回復魔術をかけ続ける。
だけど、元素が機能していない今、なんら意味がなかった。
だからバルムンクは、魔力の代わりに生命を使って、肉体強化魔術を行使したんだ。
なんで、なんで俺の魔力器官は、機能しないんだよ。
ああ――すべて、俺の所為だ。
「ごめん……! バルムンク……俺はッ、俺の所為だッ……! お前に決戦詠唱を使わせて……それで……!」
自分の所為で死なせてしまったというのに、俺の両眼からは、涙が一滴も流れなかった。
なんでだ? 相棒が俺を庇って、その命を懸けて、それなのに俺は。
泣いてやれることすら、出来やしないのか。
バルムンクは、そんな俺に声をかけた。
「……姫様を、頼む」
バルムンクの身体が、端から消えていく。蒼い光となって、散っていく。
「あぁ――あ――!」
バルムンクは消えゆく手を上げて、俺の腕に触れようとする。
だけど、それが触れることはない。
もう、手首から先は消えてしまっているから。
彼の手があった場所を、俺は掴む。当然、それは空。
「行かないで……」
バルムンクの眼から、火が消えて、
「オレは――勇者に――なれた、か?」
光となった。
蒼き光が、天高く舞う。
黒氷の竜が、口を開く。
「逝ったか――ム?」
俺は、蒼き光を幻視する。
もう消えてしまったのに、目の前にあるのだと想い込んで、抱きしめた。
――ああ、一本の剣が――――刺さっている――――――――。
□ □
私/俺の前に、蒼い光が浮かび上がる。
眼下には、空を抱く勇者と、一本の剣。
「――魔器はね。想いとか、想い出とか、未練とか。心に残ったモノを外界に出力し、具現化する。そうして世界に真として顕現する武器だ。元々はこちらの世界から落としたモノだからね。その力は絶大だよ。……稀にだけれど、人間が命を燃やして、自らを武器とすることがある――それはきっと、神に匹敵するほどの力を持つ……『魔器』といっても差し支えがないだろう」
「名付けると良い。君の振るう、剣の名を」
□ □
――剣が、目の前に刺さっている。
バルムンクの居た場所に。黄金の剣が。姿形は、勇者の剣に凄く似ていて。
――いや、きっと、彼なんだね。
俺は、剣のグリップを握る。
強く。
もっと強く。
もっと! 強く!!
黄金の剣は応えるように、煌めいた。
名乗れ――! 剣の名は――――!
「魔剣――バルムンク」
地から煌光が放たれ、天を衝く。
空は斬り裂かれた。
かつて鳥が飛んでいた、今や赤黒い魔の空は裂かれ――本来の姿である碧が顔を覗かせた。
瞬間、黒氷の竜は動く。
「――これは想定外だ。すぐに終わらせよう」
俺に向かって、まっすぐと跳ぶ。
迎撃するのに、そう時間は要らない。
魔剣バルムンクは、直接俺に魔力のパスを繋げてくれているようだ。
視界はゆっくりと……俺の後悔を噛みしめさせるように、ゆっくりと。
左に魔剣を。右に聖剣を。
一本で無理なら、二本だ。
交差させるように、目の前に置く。
眼前に迫った黒氷の竜――置いて、引く。
それで、終わりだ。
俺の背面で、四つの肉片がボトボトと落ちる音が聞こえる。命が、終わる音。
振り向いた頃には既に、その肉体は燃え、朽ちていた。
空に放出された元素たちが証明をする。俺たちの勝ちだと。
ふと、地面を見る。
そこには、一つの紐飾りが落ちていた。
しゃがんで拾ってみると、それは、俺たちの思い出の――。
「ごめん、ごめん……」
勇者一行だけが所有している、『結束の紐飾り』を、俺は握り絞めた。
おそらく、眷属が見張っていたのだろう。夙夜、魔物が襲ってきた。
基本的には、俺が戦う。
繰り返しにはなるが、勇者の剣は聖剣だ。魔物への特攻がある。一振りで片付く事が多い。
しかし、俺の体力は別だ。
いくら征伐戦時の身体性能に戻っているとはいえ、連続で戦い続けるのには問題があった。
二日を超えた辺りから、違和感が発生する。
一体だけなら問題がない。ただ、連戦となると、剣を振るスピードが落ちていった。
『ボー領』に近づく毎に、魔物の格が上がっていく。
三日目になると、今まで俺の背中をカバーをしていたバルムンクが、俺の横に立っていた。それを繰り返して、繰り返して――俺たちは戦い尽くし、そうして、ボー領に辿り着いたのだ。
魔に染まった空の下、俺たちは崖からボー領を見下ろした。
「バルムンク……ようやく辿り着いたな……」
「ああ……」
かつての遠征でも、この場所に立った。
目先に見える、高い木々が集まった空間を指す。
「あそこが、アリアスタ村だ……あと一日はかかりそうだな」
バルムンクは大きく息を吐く。
「問題ない。片腕と言っても、剣の腕は落ちやしない。お前は少し休め」
「大丈夫だ、まだ戦え――」
――肌が粟立つ。
大気中に漂う元素が、恐怖を訴える。
――感じた。頭上から、強大な魔力を。
そう理解した瞬間、身体が天を仰いだ――足元は大きく崩れ、身体が浮遊感に包まれた。
「なっ……!」
バルムンクの声で俺は、思考を放棄してしまっていたことに気がつく。
「っ! 『風よ』!」
風魔術を放ち、落下を相殺した――相殺したはずだった。魔術が発動しない。
風の元素は、俺を拒否した。
「――――は?」
無情にも、俺の身体は地面に叩きつけられる。肺が押し潰されて、穴の空いた風船のように、空気が排出されていく。
「がはッ……!」
一瞬、眼の前が真っ白になる。
神からの『ギフト』で、異世界人準拠の肉体構築になっていなければ、地面に激突した瞬間、轢かれた蛙のように潰れて死んでいただろう。
バルムンクは――!?
彼は、すでに立ち上がっていた。ただ、その剣を支えにして立っている。満身創痍だ。
「バルムンク……俺がやる……」
たった今、黒炎の竜人が地に降り立つ。
その手には、魔剣フラガラッハを携えて。
「きっとここに来るだろうと、思っていたぜェェェ! お前らを追えば、勇者御一行残党の場所が分かるよなァ!? ――魔王様に雁首揃えて、献上してやるよッ!」
バルムンクは一筋の汗を垂らして、鼻で笑う。
「ふん、竜魔王に勇者の首を持っていったら叱られるんじゃないか? 彼女は自分でトドメを刺したがっていたからな」
片手で剣を構えるバルムンク。
「……ぬかせ。貴様ら、魔術が使えねェだろ? 大人しく投降しろよ。魔王城までは生かしてやる。残念だが、俺は全ての元素を束ねて産まれた存在だ。周囲の元素を操るなんて、訳ねェんだぜ?」
実際、それは俺たちにとって致命的だった。
大気の元素を取り込むことによって、魔力は練り上げられる。
それが機能しないとなると、物理攻撃でしか黒炎に攻撃を与えられない。
だけど、諦める理由にはならない。
奴を睨み、聖剣を構える。
「そうかい。なら……」
黒炎が魔剣を振り上げた。
剣に纏わり付くように、炎の元素たちが集まっていく。
「殺すしかねェな」
炎の元素たちが、集い、肥大化して、色を変える。綺羅びやかな橙炎は蒼炎となり、漆黒へと変貌する。
漆黒の炎が輪の形となり、広がって、落下した。
着弾した炎は、炎柱となって噴出する。
俺たちは、炎の檻に囲まれたのだ。
一歩下がったバルムンクと背中合わせになる。
「退路は断たれた、か。奴の力によって、オレの魔力器官は空となった」
「……ピンチだな」
ただ、一つの可能性に至った。
俺たちは今、魔術が使用できない。だけど、この地脈を走る魔力はどうだ?
竜魔王征伐戦――竜魔王を倒すために、俺は勇者の剣ラーハットを強化した。
必殺技とも言える『回転する炎』を使用するために、魔力が多く通っている魔王領の地脈を利用し、剣に魔力を集めた。
ここは既に魔王領。ボー領の地脈にも魔力が通っているはずだ。
だが『回転する炎』がこいつに効くだろうか。
こっちも炎、あっちも炎。ゲームなんかでもそうだろう。効くワケがない。
だから、魔力を集めるのは俺じゃない。バルムンクだ。
「バルムンク。俺が竜魔王にトドメを刺した技を覚えてるか?」
言葉を出すとすぐに、背後から凛々しい声となって帰ってくる。
「ああ。地脈から魔力を吸い上げ、魔術剣とする。騎士団の大技を応用したモノだったな」
「あれを頼む。それまでは、俺があいつとやる」
「そうか――了解、したッ!」
バルムンクは遺った腕を天に振り上げ、剣を地に突き立てた。
剣を中心として、結界紋様が展開される。
「勇者! 『決戦詠唱』を開始する! あとは頼むぞ!」
俺は既に駆け出していた。
元素の力無しでどこまでやれるのか……。正直、自信はない。だが、これが一番勝率が高いはずだ。
――勝つ。それ以外の考えは、捨てた。
「任せろ!」
俺は黒炎の竜の足元に滑り込む。
「ムッ!?」
「まずは……受けてもらうぜ」
一閃。
黒炎の表面が揺れる。
同時に、聖剣が熱を帯びた。
やはり、俺の剣では決定的なダメージを与えられない。
「聖剣は溶かせねェのか……ならァよォ」
炎の拳を振り上げた黒炎。
直線上の先にはバルムンクが。彼は既に決戦詠唱を開始している。
――決戦詠唱。この技はもとより、古くから騎士団に伝わる奥義……正確に言えば違うようだが、奥義のようなものだ。
地脈を通る魔力を身に吸収し、刃とする。その一太刀は魔への特攻を持つ。
正当な後継者であれば、それは魔の世界そのものを断絶させられる――そういった逸話がある。
それが可能なら、既にこの世から魔物はいなくなっているだろう。
だが、その威力はお墨付きだ。
ただし、決戦詠唱には、時間として六十秒が必要だ。
――戦いにおける六十秒。
生死を懸けた剣戟に、時間は十秒も要らない。それを六回も繰り返す間、自身の身体を曝け出すことになる。
信頼できる者たちが護らねば、成功することはないのだ。
バルムンクは目を閉じ、静かに唱え始めた。
「――創【サク】神話――【セイレキ】紀元――虚構の【ヤリ】――」
現代語に似た発音の言葉が奏でられる。
いま、俺がやるべきことは――この軌道をずらし、バルムンクを護ること――!
聖剣と、噴出する炎かつ大砲を思わせる黒炎の拳が鍔迫り合う。
いつの間にか、俺は獣のように叫んでいた。
大量のエネルギーを持つ両者、そして同属性の奏劇。
恐怖で竦んでいた炎元素が、息を吹き返す。まるで祭りに集まる民衆のようで、それでいて、火に集まる蛾のようで。
元素は圧縮され、エネルギーが一気に放出された。それは、爆発と呼ぶのだろう。
俺の身体は、さながらプレスされるジュース缶だ。腹の底から血が噴き上がる。
だが、吐かない。耐えられる。
腕が輝く。戦士の加護が俺を護っている。
ここは、現代ではない――!
見ると、黒炎の竜も同じように着地している頃だった。
「回転する炎――襲来する【エンバン】――【チ】より出でし天災――」
バルムンクの決戦詠唱は終盤に近づいている。
ひと息を吐き、俺は脚に全身の力を込め、跳ぶ。
目前には驚愕の表情をした黒炎。
この剣を叩きつける――!!
右袈裟、返し、左袈裟、返し、一文字――! それらを繰り返していく――!
「オオオオオォォォォォ!?」
俺の連撃を、驚愕に叫ぶ黒炎の持つ魔剣フラガラッハが捌いていく――!
フラガラッハは、強制反射の権能を所有している。
だから、俺の斬撃は全て弾かれていた。だけど、それでいいんだ――!
「交錯した【テンタイ】――!」
空気が――ふっ――と、消える――。
決戦詠唱は、今――此処に為された。
俺の背後から感じるは、強大で、強烈な魔力。
「開門――」
バルムンクは、天にクラッドの剣を刺し込んでいる――その先には門。
門を鞘として、剣が呑み込まれる。
「――抜剣、『祓』」
剣を、宙から引き抜いた。
祓うように、門は応えるように、その刃は姿を現す。
魔を穿つ刃が、世界に真と成した。
俺は連撃のリズムを崩し――フラガラッハが強制反射をする――ああ――竜魔王の斬撃なら、俺の身体はここで真っ二つになっていただろう。
練度が足りなかったな――! なぜならお前は、産まれたばかりなんだから――!
反射の瞬間、俺は身体を右にずらし、剣の軌跡から逃れる。
強制反射唯一の隙。
補足ではあるが、バルムンクの元素属性は『風』である。
王国式決戦詠唱で出現した刃――『祓』は、元素属性に対応した、『風属性の斬撃』となる――!
吹かれるのは暴風。黄金の嵐。
一陣の鎌鼬と化した『祓』の一撃は、黒炎の竜を両断した。
「――――ア?」
哀れなことに黒炎は、その双眸が別たれたことに、まだ気が付いていなかった。
別たれたものはそして、地に倒れる。
『祓』に纏わり付いた残火を払ったバルムンク。そうして、剣から魔力が失われた。
「やったか……」
俺は嬉しすぎて、バルムンクに飛びついてやった。
「最高だお前!」
「おい! じゃれつくな!!」
笑いあう俺たち。
だけど、それは。その喜びは。
空気を灼く音によって掻き消された。
振り向くと、奴の肉体に、黒の炎柱が噴き上がっていた。
魔剣フラガラッハが、溶けた地に飲まれていく。
一層、炎が強くなった。
俺たちの声が合った。嘘だろ? って。
黒炎の竜が再び、形取られる。
おもむろに、バルムンクの体勢が崩れた。
「おい!? 大丈夫か、いったん……」
「決戦詠唱で、全てを持って行かれた……。オレはもう、身体を動かせん」
灼熱は、炎元素を吐き散らす――それは、辺りを凍りつかせた。広範囲に渡る元素。撤退するにはもう、遅い。
地に凍柱が駆ける。まるでそれは、俺たちの命を刈り取る逆巻きの塔。
もう、間に合わない。直感で分かった。
これは、俺のギフトとか、戦士の加護でなんとかなるものじゃない。
文字通りの『死』。
――――赤い死が、迫る。
そうして俺は、死んだ。
死んだはずだった。
身体は凍柱によって貫かれ、引きちぎられ、中空に浮かされているはずだった。
俺の身体は、駆ける凍柱の射線の外側に飛ばされていたのだ。
――ああ、バルムンク。どうしてなんだ。
どうしてそんな、眼をするんだ。
バルムンクの身体が――中空に浮いていた。まるで、両腕をいっぱいに広げる鳥。
幾つもの凍柱によって、貫かれているけれど。
「バルムンクッッッ!?」
聖剣を振るい、凍柱を溶かした。落下するバルムンクを、滑り込みながら抱き留める。
視界の隅には、既に身体を成した黒炎の竜――いや、黒氷の竜が降り立つ。だが、そんなものは些事でしかない。
「おいッ! バルムンク! お前、なんで……」
動けないって、言ってたろ……。
黒氷の竜は攻撃を仕掛けてこないどころか、俺たちを見つめたままだ。
その声だけが、耳に入り込む。
「……敵ながら見事だった。俺/ワタシの反転衝動を引き出すまでに至るとは……。見届けよう。勇士の灯火が消えるまで」
バルムンクの目蓋が、薄く開かれた。
「……イサム」
俺は回復魔術をかけ続ける。
だけど、元素が機能していない今、なんら意味がなかった。
だからバルムンクは、魔力の代わりに生命を使って、肉体強化魔術を行使したんだ。
なんで、なんで俺の魔力器官は、機能しないんだよ。
ああ――すべて、俺の所為だ。
「ごめん……! バルムンク……俺はッ、俺の所為だッ……! お前に決戦詠唱を使わせて……それで……!」
自分の所為で死なせてしまったというのに、俺の両眼からは、涙が一滴も流れなかった。
なんでだ? 相棒が俺を庇って、その命を懸けて、それなのに俺は。
泣いてやれることすら、出来やしないのか。
バルムンクは、そんな俺に声をかけた。
「……姫様を、頼む」
バルムンクの身体が、端から消えていく。蒼い光となって、散っていく。
「あぁ――あ――!」
バルムンクは消えゆく手を上げて、俺の腕に触れようとする。
だけど、それが触れることはない。
もう、手首から先は消えてしまっているから。
彼の手があった場所を、俺は掴む。当然、それは空。
「行かないで……」
バルムンクの眼から、火が消えて、
「オレは――勇者に――なれた、か?」
光となった。
蒼き光が、天高く舞う。
黒氷の竜が、口を開く。
「逝ったか――ム?」
俺は、蒼き光を幻視する。
もう消えてしまったのに、目の前にあるのだと想い込んで、抱きしめた。
――ああ、一本の剣が――――刺さっている――――――――。
□ □
私/俺の前に、蒼い光が浮かび上がる。
眼下には、空を抱く勇者と、一本の剣。
「――魔器はね。想いとか、想い出とか、未練とか。心に残ったモノを外界に出力し、具現化する。そうして世界に真として顕現する武器だ。元々はこちらの世界から落としたモノだからね。その力は絶大だよ。……稀にだけれど、人間が命を燃やして、自らを武器とすることがある――それはきっと、神に匹敵するほどの力を持つ……『魔器』といっても差し支えがないだろう」
「名付けると良い。君の振るう、剣の名を」
□ □
――剣が、目の前に刺さっている。
バルムンクの居た場所に。黄金の剣が。姿形は、勇者の剣に凄く似ていて。
――いや、きっと、彼なんだね。
俺は、剣のグリップを握る。
強く。
もっと強く。
もっと! 強く!!
黄金の剣は応えるように、煌めいた。
名乗れ――! 剣の名は――――!
「魔剣――バルムンク」
地から煌光が放たれ、天を衝く。
空は斬り裂かれた。
かつて鳥が飛んでいた、今や赤黒い魔の空は裂かれ――本来の姿である碧が顔を覗かせた。
瞬間、黒氷の竜は動く。
「――これは想定外だ。すぐに終わらせよう」
俺に向かって、まっすぐと跳ぶ。
迎撃するのに、そう時間は要らない。
魔剣バルムンクは、直接俺に魔力のパスを繋げてくれているようだ。
視界はゆっくりと……俺の後悔を噛みしめさせるように、ゆっくりと。
左に魔剣を。右に聖剣を。
一本で無理なら、二本だ。
交差させるように、目の前に置く。
眼前に迫った黒氷の竜――置いて、引く。
それで、終わりだ。
俺の背面で、四つの肉片がボトボトと落ちる音が聞こえる。命が、終わる音。
振り向いた頃には既に、その肉体は燃え、朽ちていた。
空に放出された元素たちが証明をする。俺たちの勝ちだと。
ふと、地面を見る。
そこには、一つの紐飾りが落ちていた。
しゃがんで拾ってみると、それは、俺たちの思い出の――。
「ごめん、ごめん……」
勇者一行だけが所有している、『結束の紐飾り』を、俺は握り絞めた。
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