俺は魔法使いの息子らしい。

高穂もか

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第一部 決闘大会編

二百六話 6月25日(午前1時)加筆完了しました!

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 大変なことになった。
 俺は、ドア(ってか、壁)の前に、ボー然とへたりこんでいた。
 ずっと壁を叩き続けた手が、じんじんと痛い。

「白井さん……なんで……」

 全部、話してくれて。宣誓まで、してくれたのに。
 恨んでないって、言ってくれたのは、何だったん? それはそれとして、ムカついていたのか?

――贖罪のためだよ。

 それに、贖罪って……なんだろう。俺を閉じ込めることが、どうして?

「……俺、これからどうなんのかな」

 
 四日間、ここで過ごせって言ってたよな。
 俺は、改めてくるりと部屋を見回した。
 狭くて、薄暗い。――どうも、電灯が無いらしい。天井の近くの、明かりとり窓からホンノリ光が落ちてきてる。
 で、部屋の中には、衝立とベッドだけあった。
 この衝立も、かなり年季もので、ところどころ破れてる。その奥には――古い洋式便器と、小さな洗い場があった。おそるおそる蛇口を捻ってみると、水がちょぼちょぼ流れてくる。

「おお……」

 とりあえず、水と便所の心配はなさそう。ほっと胸を撫で下ろす。
 最後に、ベッドに座ってみる。ギシ、とスプリングの軋む音が大きく響いた。

「よかった、毛布があるぞ」

 枕の上に、毛布が二枚畳んで置いてある。ちょうど肌寒かったんだよな。一枚広げて、体に巻き付けた。
 そのとき、妙なものが目にはいった。

「なんだ、これ?」

 ベッド側の壁に、なんか錆びた箱みてえなのが飛び出てる。
 取ってのある蓋がついてて、パクパク開く。なんとなく、郵便ポストの取り出し口っぽいぞ。

「はっ! まさか、外に繋がってたり……」

 俺は、ガバッと中を覗き込み――肩を落とす。
 ポスト(仮)の奥行は壁までしかなくて、行き止まりだった。手を突っ込むと、すぐにコツンと固い感触にぶち当たる。

「じゃー、なんの為についてるんだよう。眼鏡置き場か?」

 未練がましく、あちこち見ていると箱の中に、なんか書いてあるのに気づく。
 なんかのヒントか?
 ほとんど消えかかった文字を、なんとか目を凝らして読む。

「済みの……ら、戻……て?」

 いや、わからんわ。
 ガックリして、俺は蓋をパクンと閉めた。
 そのときだった。

 ゴト、ゴトンッ。

 大きな異音をたてて、ポスト(仮)が揺れた!

「どわぁっ?!」
 
 のけ反って、ベッドから転げ落ちる。ズデン! と背中を打ちつけた。

「な、なっなっ」

 ケツで床を後じさって、ポストを凝視する。今アイツ、なんか変な音したぞっ。
 ひょっとして、ポルターガイストとか、ユーレイだったりすんのか? 逃げ場ないのに嫌すぎるわ。
 おろおろと見つめること、数十秒。

「……」

 なんもねえな。
 もしや――気のせいだったんかな。
 ともかく、このワケわかんないのが一番怖ぇよな。
……見てみるか。
 俺は、おそるおそる近づいて、取っ手を握る。

「てい」

 一息に、蓋を開けた。

「えっ?」
 
 俺は、目を真ん丸にする。
 なんとそこには、イチゴジャムパンと、ウーロン茶のペットボトルが入っていた。

「いやいやいや! さっきまで、なんもなかったじゃん」

 どうなってんでい。
 とりあえず、取り出してみると、冷たい。特に、ペットボトルは冷蔵庫から出てきたトコって感じ。

「パンも消費期限、すげぇ新しいぞ」
 
 ってことは。
 今まさに、郵便物みたいに届いたってこと?

「いやまさか! ドラえもんの引き出しじゃあるまいし……」

 ははは、と一人で突っこみかけて。

「あっ!」

 と、叫んだ。
 
――そうだ。ここは、ドラえもんの引き出しと同じなんだ。
 音楽室だったのに、妙な小部屋に繋がってたこと。
 なんにも無い壁から、出てきたメシ。
 そんで――白井さんが持ってた、でっかい鍵! 葛城先生が持っていたのと、同じ。
 
「そうか、わかったぞ」


 ここは、チャンネルルームだ!

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