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第一部 決闘大会編
百四十八話
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「インサイド……内側……う~ん」
俺は、床にゴロンと転がった。
指に挟んだ紙を電灯に透かす。……別に、針で穴が開けてあるとか、あぶり出しってわけでもねえらしい。
二見から渡されたメモ……どういう意味だろう。
テスト中も、自主練の最中も、寮に帰って来てからも。「インサイド」って何のことか、ずーっと考えてみてんだけどさ。
「なにが内側なんだ?」
そういや俺、当てものクイズとかヘタッピだからなあ。イノリと一緒にやったら、もうちょい出来んだけど……。
「ええい!」
足を振り上げて、ふりこの反動で起き上がる。
だめだ。
こりゃ、わからん。
「インサイドキックなら、分かんだけどなっ」
フォームを作って、ぶん、と黄金の右を素振りした。机の脚に、したたかに小指をぶっつける。
のわーー!
悶絶し、部屋中をピョンピョン飛びはねた。
間抜けな俺をよそに、夜は更けて行く……。
――バシン!
くわん、と頭が揺れる。
一瞬、何が起きたかわかんなくて、ジンジンする頬を押さえる。
目の前の男にぶっ叩かれたって、やっと気づいた。
こいつ、こないだ下駄箱であった奴だ。
「嘘つきッ!」
鬼の形相で、相手は叫んだ。分厚いバインダーを握りしめる手が、わなわなと震えてる。
「――嘘つき! 嘘つき! 嘘つき!!」
「ちょ、何のことだよ?」
俺はめっちゃ困惑しながら、問い返す。
出会い頭にぶん殴られて、「嘘つき」なんてひでえじゃん。
って言ったら、相手はますます激昂する。
「しらばっくれて……卑怯者! お前が、お前が桜沢くんに言ったくせに!」
「へっ? イノリ?」
なんでイノリが出てくんのよ。
で、俺が何かを言ったって、どういうこと? ますます意味が分かんない。
ポカンとしていると、相手がバインダーを振り上げた。
「うぎゃ!」
「お前が! お前が、桜沢くんに悪口言ったんだろ! 僕を勝手に悪者扱いしてッ! ――桜沢くんに嫌わせようとしたんだろッ!? じゃなきゃ、――あん、あんなこと、桜沢くんが言うわけないッ!!」
「ちょ、あだっ! やめろって!」
「卑怯者!――卑怯者! 死んじまえ、馬鹿野郎!」
凄まじい泣き声に、罵られまくった。
その間にも、バインダーが無茶苦茶に振り下ろされる。腕に、肩に鈍い痛みが走る。
俺は、ボクサーよろしく腕でガードして、叫んだ。
「やめろってばっ!」
一瞬のスキを突いて、バインダーを弾き飛ばす。ギュンギュン回転して、靴箱の上をすっ飛んでいった。――ああ、そうだ、ここは昇降口だ。放課後で、だから誰もいないんだ。
相手は、悔し気に顔を歪めている。
夕焼けに照らされて、充血した目が真っ赤に光っていた。
俺は、なるたけ荒ぶらせないように、話しかける。
「……あのさ、よくわかんねえけど誤解だよ。俺、イノリになんか言ったとかないよ。だって――」
「うるさい」
聞けよなぁ!?
俺の言葉を遮って、相手はカラカラの声で言う。
「お前のせいだ。お前がいなきゃ……」
ブツブツ呟いて、ふらふら歩き去って行く。
俺は、慌てて靴を替えると、昇降口を出た。
「――!」
校庭まで出て、一度、後ろを振り返る。
と、誰か背の高い人影に、彼が駆け寄ったのが見えた。
――ズキッ。
「……!」
目が覚めた。
ハッとして、左腕を見る。
また、カーテンから突き出た「腕」に、何か突き立てられている。
田野先生! 絶ってー、夢じゃないと思うけどなぁ!?
俺はまた、気を失った。
俺は、床にゴロンと転がった。
指に挟んだ紙を電灯に透かす。……別に、針で穴が開けてあるとか、あぶり出しってわけでもねえらしい。
二見から渡されたメモ……どういう意味だろう。
テスト中も、自主練の最中も、寮に帰って来てからも。「インサイド」って何のことか、ずーっと考えてみてんだけどさ。
「なにが内側なんだ?」
そういや俺、当てものクイズとかヘタッピだからなあ。イノリと一緒にやったら、もうちょい出来んだけど……。
「ええい!」
足を振り上げて、ふりこの反動で起き上がる。
だめだ。
こりゃ、わからん。
「インサイドキックなら、分かんだけどなっ」
フォームを作って、ぶん、と黄金の右を素振りした。机の脚に、したたかに小指をぶっつける。
のわーー!
悶絶し、部屋中をピョンピョン飛びはねた。
間抜けな俺をよそに、夜は更けて行く……。
――バシン!
くわん、と頭が揺れる。
一瞬、何が起きたかわかんなくて、ジンジンする頬を押さえる。
目の前の男にぶっ叩かれたって、やっと気づいた。
こいつ、こないだ下駄箱であった奴だ。
「嘘つきッ!」
鬼の形相で、相手は叫んだ。分厚いバインダーを握りしめる手が、わなわなと震えてる。
「――嘘つき! 嘘つき! 嘘つき!!」
「ちょ、何のことだよ?」
俺はめっちゃ困惑しながら、問い返す。
出会い頭にぶん殴られて、「嘘つき」なんてひでえじゃん。
って言ったら、相手はますます激昂する。
「しらばっくれて……卑怯者! お前が、お前が桜沢くんに言ったくせに!」
「へっ? イノリ?」
なんでイノリが出てくんのよ。
で、俺が何かを言ったって、どういうこと? ますます意味が分かんない。
ポカンとしていると、相手がバインダーを振り上げた。
「うぎゃ!」
「お前が! お前が、桜沢くんに悪口言ったんだろ! 僕を勝手に悪者扱いしてッ! ――桜沢くんに嫌わせようとしたんだろッ!? じゃなきゃ、――あん、あんなこと、桜沢くんが言うわけないッ!!」
「ちょ、あだっ! やめろって!」
「卑怯者!――卑怯者! 死んじまえ、馬鹿野郎!」
凄まじい泣き声に、罵られまくった。
その間にも、バインダーが無茶苦茶に振り下ろされる。腕に、肩に鈍い痛みが走る。
俺は、ボクサーよろしく腕でガードして、叫んだ。
「やめろってばっ!」
一瞬のスキを突いて、バインダーを弾き飛ばす。ギュンギュン回転して、靴箱の上をすっ飛んでいった。――ああ、そうだ、ここは昇降口だ。放課後で、だから誰もいないんだ。
相手は、悔し気に顔を歪めている。
夕焼けに照らされて、充血した目が真っ赤に光っていた。
俺は、なるたけ荒ぶらせないように、話しかける。
「……あのさ、よくわかんねえけど誤解だよ。俺、イノリになんか言ったとかないよ。だって――」
「うるさい」
聞けよなぁ!?
俺の言葉を遮って、相手はカラカラの声で言う。
「お前のせいだ。お前がいなきゃ……」
ブツブツ呟いて、ふらふら歩き去って行く。
俺は、慌てて靴を替えると、昇降口を出た。
「――!」
校庭まで出て、一度、後ろを振り返る。
と、誰か背の高い人影に、彼が駆け寄ったのが見えた。
――ズキッ。
「……!」
目が覚めた。
ハッとして、左腕を見る。
また、カーテンから突き出た「腕」に、何か突き立てられている。
田野先生! 絶ってー、夢じゃないと思うけどなぁ!?
俺はまた、気を失った。
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