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あるヴァンパイアの活躍

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 次の日、ジョセフとアリスとマイルズは、夜になって、いつもの人間の血を吸う通りを歩いていた。

 一方、ヴァンパイア達の寝床では、ノアがヴァンパイア達に呪術や力をつけさせる訓練を行っていた。

 ローズとブルーノは、それぞれの切り株の上の小枝を呪術で割るために、三角の型を手で作って、競い合うように訓練を続けた。
ローズとブルーノは、時々、お互いににらみ合っていた。
ノアは、その様子を見ていて、怒った。
「ローズ、ブルーノ! 呪術の訓練に集中しろ! 何をしている!」
ブルーノとローズは、ノアに謝った。
「すみません」
「ごめんなさい」
再び、ローズとブルーノは、集中して呪術の訓練を続けた。

 ノアは、オリバーに短剣で自分の腹部を狙うように命令した。
オリバーは、腹部を狙ったが、ノアの腹部に掠りもしなかった。
ノアは、今度は、オリバーのことを励まし続けた。
「オリバー。大丈夫だ。さっきよりも、私の腹に近づいてるぞ。その調子だ」
「はい」
オリバーは、更に集中して力をつける訓練を続けた。
長い間、ヴァンパイア達の訓練は、続けられた。

 オリバーが、ふと言った。
「あの……ジョセフとアリスとマイルズ、戻ってくるの遅くありません?」
ノアも、首を傾げて言った。
「そう言われれば、そうだな……」
オリバーは、続けて言った。
「何かあったのかも……すみません。私、見てきます!」
ノアは、慌てて言った。
「ちょっと、待て! 仕方ない……私も行く!!」
ローズが言った。
「そうね。私も行くわ!」
最後にブルーノが遠慮がちに言った。
「役に立てるかは、わからないけど……私も行きます」

 ノアとノアの訓練を受けていたヴァンパイア達は、急いで、いつもの通りを駆けていった。

 しばらくして、やっと、ノア達は、ジョセフ達を見つけることができた。

 そこには、驚きの光景が広がっていた。

 死神テオドアと死神カレンは、家の壁の近くで気を失っていた。
ジョセフは、右肩に大きな傷を負っていて、アリスは、左腕に大きな傷を負って倒れていた。
アリスは、痛そうに呻き声を上げていた。
「ウーッ……ウーッ……」
そして、マイルズがボーッと突っ立っていた。

 ノアは、ボーッとしているマイルズの意識をこちらに戻すように、両肩を掴んで揺すった。
「どういうことだ! どういうことだ! マイルズ!」

 マイルズは、やっと正気を取り戻したように、ノアの方を見ると、語り始めた。
「ジョセフは、死神テオドアと手を翳して戦っていて、不意をつかれて、死神テオドアにカマで肩をやられてしまいました。アリスも、手を翳して死神カレンと戦って、やはり、カマで腕をやられてしまいました。私は、その間、しばらく、恐ろしくて、その場に立ち尽くしていただけでした。でも、ジョセフとアリスが傷つけられて、その時、私が昔、騎士だったことを思い出したんです。曲がりなりにも、訓練を受けていたんだと。実戦は、少ないが、ジョセフとアリスを助けることができるのは、私しかいないと……。それで、死神カレンと死神テオドアを呪術で、吹き飛ばしたんです」

 ノアは、嬉しそうに、マイルズに抱きつき、褒め称えた。
「すごいぞ! マイルズ!! ジョセフとアリスを救ったんだ! お前の元騎士としての精神が!!」
「へへッ! そんな……」
マイルズは、いつもの笑顔を取り戻した。

 ジョセフは、意識が戻り、アリスは、痛がりながらも、ゆっくりと立ち上がった。
ジョセフとアリスとオリバー以外のヴァンパイア達は、通りすがりの人間の血を急いで吸い、ジョセフ達のための血を溜めて、寝床に帰った。

 しばらくすると、死神テオドアは、意識を取り戻し、酷く悔しがった。
「クソーッ! おのれ! 許せん! ヴァンパイア、マイルズ!!待っていろ! ヴァンパイア達よ! 全滅させてやる!!」
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