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アリスがジョセフを叱る

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 ジョセフとアリスが寝床に帰った頃には、すっかり傷が消えていた。

 ノアは、ジョセフの前に嬉しそうにマイルズを連れてきた。
「ジョセフ。マイルズは、凄い活躍だったんだぞ!なぁ、マイルズ」
「まぁ……」
「マイルズがいなければお前たち危なかったかもしれんぞ」
ジョセフは、ふてくされながら言った。
「別にマイルズがいなくても、私が死神テオドアと死神カレンくらい倒していたさ……」
ノアが少し怪訝そうな顔をした。
「何を言っている! マイルズがいなければ、今頃……」
「うるさい! 私が倒していたと言っただろう!」

 アリスが間に入って言った。
「まぁまぁ、ジョセフ、ノア。そのくらいにして。確かにノアの言う通り、私達は、マイルズのお陰で助かったわ。ありがとう。マイルズ」
マイルズは、照れた様子で頭を掻いた。
「いえいえ、そんな……」

 ジョセフは、不機嫌になりながら、その場を離れた。

 アリスは、困った表情をしながら、ヴァンパイア達に声をかけた。
「さぁ、皆、血を飲みましょう!」

 ヴァンパイア達が集まると、アリスが配った銀のワイングラスを手にしながら、ジョセフは、皆に発破をかけた。
「ローズ、ブルーノ呪術を早く覚えろよ。死神テオドアは、なかなか厄介だ」
ローズとブルーノは、声を合わせて言った。
「はい! わかりました!!」

 ジョセフは、次にオリバーを睨み付け、怒るように言った。
「オリバー。特にお前は、早く力をつけろ! いつまで、自分で人間の血を吸えないんでいるんだ。皆が迷惑してるぞ!!」
オリバーは、うつむき、ジョセフに怯えながら謝った。
「すみません。ジョセフ」
「私にだけじゃない。皆に……」

 ジョセフがそう言いかけた時、アリスは、ジョセフを凄い勢いで叱った。
「ジョセフ。やめなさい。もう許せないわ!! 最近の皆に対する態度、見てられないわ!! 何よ! 偉そうに!! あなたは、王様にでもなったつもり!?」

 すると、ジョセフが怒って言い返した。
「何を言っている! 皆が呪術や力をつけたのは、私のお陰だ。私が導いたから……」

 今度は、ノアが話に割って入ってきた。
「あのなぁ、ジョセフ。オリバーが気付いたんだぞ。お前達が戻ってくるのが遅いって。オリバーが言ってくれたから、お前達は、上手く死神テオドアと死神カレンが意識を取り戻す前に逃げられたんだ! それを謝らせるとは!!」

 アリスは、ノアの言葉に間髪いれずに加勢した。
「そうよ。酷いわ。ジョセフ! もういい加減、態度を改めないと皆は、あなたに付いてこないわよ!」

「あーっ! うるさい! うるさい!!」
ジョセフは、怒って扉を閉めて、寝室の方へ消えていった。
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