【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子

文字の大きさ
16 / 70

元伯爵家次男side

しおりを挟む
 
 公爵家への慰謝料や賠償金で全財産を没収された。それでもまだ足りなかった。父が爵位を売って漸く完済した。
 息子がしでかした不始末の責任を取り、法務大臣の職を辞した父だが、今まで国家に尽くしてきた功績で文官として留まるように言われた。どうやら御上は父上の才能を惜しんだようだ。もっとも以前と同じとはいかない。別の部署への配置換えになったようだ。
 父上としてはそこまでして文官に留まる気はなかったようだが、母の事もある。精神のバランスを崩した母の為にも金はあるに越したことはない。

 他の兄弟達も婚約を破棄された。

 かくいう俺も、近衛騎士団団長から婚約解消を言い渡された口だ。

『君が悪い訳ではない。弟君と一緒だとは思っていない。君は私にも娘にも誠実だった。だが……君を信じられない者は騎士団に大勢いる。君自身を信じられても、君の流れている“血”が信じられないんだ』


 ヴィランと同じ血が流れているから信じられない、といわれたらお手上げだ。「今は大丈夫でも何時、ヴィランのようになるか分からない」と言われたようなもんだからな。

 俺が騎士団団長の跡取りになると言う話は団員の中で知らない者はいない。
 裁判後に、団員達が誰も騎士団団長の命令をきかなくなった事も関係しているんだろう。俺を娘の婚約者にしておけば団員が言う事をきかない。それは指揮の統率に大きく影響する。


 俺の地方への左遷も決まった。
 生きて王都に戻る事はない。

 ジャスティも既に地方に飛ばされている。

 王都にいるのは、王宮で針の筵状態でいる父上と精神を壊した母上……あとフェリィーか。
 フェリィーは……大丈夫だろう。
 若さと美貌を武器に若いツバメをしている。

 自分のための屋敷と毎月の給料を貰って優雅に暮らしている。一度だけ心配して様子を見に行ったが……あれ末弟は大しただ。男娼の真似事をしているように見えてそうじゃない。しっかりと雇用契約していた。事細かな「愛人契約」はフェリィーが不利になるような内容は見受けられなかった。伯爵邸にいた頃と全く変わらない笑顔で見送られた時は感心した。

 この弟は何処でも生きていけると――。

 若さと美貌を失っても鋼鉄の精神は失わないだろう。


 今日、俺は王都を去る。
 見送りは末の弟だけだ。

「兄さん、例の辺境はだって聞くからね」

 ニコニコ笑いながらエゲツナイ忠告をしてくる。
 誰だ? こいつを「天使」なんて言ったのは。悪魔だな。実際の処、フェリィーのような奴が最後まで生き残っているんだろう。我が弟ながら逞し過ぎる。こいつはイザとなったら男すら誑し込んで戦乱を生き抜くに違いない。

 もし、生まれ変わりってやつがあるならフェリィーを見習って小賢く生きたいもんだ。



しおりを挟む
感想 158

あなたにおすすめの小説

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

婚約者が私の妹と結婚したいと言い出したら、両親が快く応じた話

しがついつか
恋愛
「リーゼ、僕たちの婚約を解消しよう。僕はリーゼではなく、アルマを愛しているんだ」 「お姉様、ごめんなさい。でも私――私達は愛し合っているの」 父親達が友人であったため婚約を結んだリーゼ・マイヤーとダニエル・ミュラー。 ある日ダニエルに呼び出されたリーゼは、彼の口から婚約の解消と、彼女の妹のアルマと婚約を結び直すことを告げられた。 婚約者の交代は双方の両親から既に了承を得ているという。 両親も妹の味方なのだと暗い気持ちになったリーゼだったが…。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

処理中です...