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~第三章~
56.アンハルト国王side
しおりを挟む問題児を強制的に再教育を施す事を命じた。
それ以外に方法がなかったともいう。
「酷いな……」
溜息と共に問題児の行動に呆れるしかない。
「パッツィーニ侯爵家は、アレに何を学ばせていたんだ?」
庶民から貴族になったのだ。
当然、貴族の教育は受けさせられていた筈だろうに。
アレが侯爵家に入って数年は経つ。その間に最低限の教養は身に着けているべきだろう。
「教育は受けさせたようですが……。残念ながら、全く身につかなかったようです」
侍従が肩を落として報告してくる。
「それと、王太子殿下と王女殿下が『婚約者は愛嬌があるほうがいい』『あまり優秀過ぎると碌なことは無い』などと発言され、それを真に受けたようで……」
私は盛大に溜息を吐くしかなかった。
息子と娘は、何を言っているんだ!!
そもそも優秀以前の問題だろ!!
子供達の行動に頭が痛い。
そして……その言葉を聞いて納得する部分もあった。
王族のお墨付きとでも思ったのだろう。どうりで改善しない訳だ。
だからと言って何も手を打たない訳にはいかない。
数十人の教育係に徹底的に矯正するように命じたが、あの問題児が矯正される事は無かった。
更には、本物のパッツィーニ侯爵家次男が大国に移住し、そこで国王の相談役という高い地位に就いているらしいとも報告された。
最初は何かの間違いだと思ったが調査した結果本当だった。
最悪だ。よりにもよって大国に奪われていたとは!!!
だが考えようによっては大国との繋がりができたと喜ぶべきか?
サビオ・パッツィーニを呼び戻して再び王女と婚約させれば全てが丸く収まるのではないか?
本物が戻ってくれば偽物などに用はない。
元々、神殿側の不手際でこうなったのだ。奴らがサビオ・パッツィーニに頭を下げて謝れば万事うまくいく。最近、何かに付けてデカい態度を取り始めた神殿に一泡吹かせてやれるぞ!
家臣達は反対するだろうからな。
極秘で進めさせなければ。
きっと上手くいく。
私が謝罪するのだ。
この国の民なら喜んで応じるだろう。
なに、他国に移住したとしても我が国の民である事には違いない。
そう簡単に祖国を捨てる事などできるものか。
そう考えた私だったが……現実は非情であった。
数日後――
「何だと!?それは本当なのか!」
信じたくない報告を聞いた私は思わず叫んでしまった。
「は、はい」
「何かの間違いではないのか!?」
私の質問に対して首を横に振る侍従。
「本当です。ブランデン王国からはパッツィーニ侯爵家所縁の者はいないと返答がありました」
「バカな!!!」
信じられない答えだった。何故ならばサビオと言う名前で活躍している人物が王国にいるからだ。どう考えてもサビオ・パッツィーニだろう!!!
「ブランデン王国はサビオ・パッツィーニと名乗る者は存在しないと断言しております」
侍従の報告を聞きながら目の前が真っ暗になった気分だ。
そんな事はあり得ない。
一体どうなっているんだ??
「サビオと言う名前の者は一人。サビオ・黒曜であって、サビオ・パッツィーニでは無いとの事でございます」
「同一人物だろう!!!」
人を馬鹿にするにも程がある!怒りが湧き上がる。こんなバカげた話はない!ブランデン王国はサビオを飽くまで別人だとしている。パッツィーニ侯爵子息である事を否定しているのだ!それも分かった上でだ!!何故だ!どうしてだ!!?
「くっ……。あちらが飽く迄も別人だと言い張るのならこちらも何度でも使者を送り続けるまでだ!」
後には引けん!引くわけにはいかん!!
その後、何度かブランデン王国に向けて手紙を送ってみたものの全て返送されてきた。しかも使者を送り返した事に対する謝罪すら無かった。何処までもこちらを馬鹿にした態度に腹が立つ!!王になったばかりの青二才の分際で!!
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