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【第1部】7.誘惑
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ハッと我に返り、
「あの、馬鹿なこと言ってすみません」
聡子は俯きくるりと背を向け、乱れた服を整えようとした。
ドン引きしてる、早くこの空気から抜け出したい、と慌ててボタンを留めようとするが指が上手く動かない。
ふいに背後から抱きしめられ、耳元でささやかれた。
「そんなに俺がいいか」
「…………」
「抱いてやるよ」
「え……」
「俺がいいんだろ。本当に後悔しねえっていうなら、俺は遠慮はしねえよ?」
聡子の心臓がドクドク激しく動く。
「……えと、あの」
「でもおまえに惚れられてもマジで困る」
「…………」
「じゃあ、今日、あの時の約束、果たしてもらうか」
「え?」
聡子はハッとする。
「今度会うことがあったら……っていう話ですか」
「ああ、おまえは忘れても、俺は覚えてるからな」
(どうしよう、どうしよう……)
「忘れてませんよ」
後戻りできない。
「わかりました。約束、果たします」
「本気か? 後悔しないか」
「し……しません」
トモは口をつぐむ。
「…………」
聡子は応えなかった。
「誘ったのはおまえだ。でも俺は一度は止めた。どうなってもしらねえぞ」
「は、はい」
否や、トモはそのまま聡子の胸を背後から掴み、激しく揉みあげた。
「こっち向け」
聡子の向きを変え、ベッドに押し倒し口を塞ぐ。先ほどのように強く激しく、乱暴なキスをした。
整えようとした服も、トモは再び脱がせにかかる。
露わになった上半身を見やり、ぺろりと舌なめずりをするトモは、獣のようだった。
聡子は目をつむり、顔を背けた。
胸を揉まれ、身体が硬直している。
胸を鷲掴みしたまま、トモは聡子の首筋に唇を這わせた。
「おい、力抜けよ。さっきした時も思ったけど……キスも初めてだったか?」
こくこく、と聡子はうなずく。
「嘘だろ」
唇をぶつけ、乱暴に口内を犯されてゆく。そして掴んだ胸に吸いつく。硬くなってしまった尖端を指ではじき、口に含んだ。
「コリコリしてんな」
聡子の反応を楽しんでいる様子だ。
「……っ」
スカートをまくられると、両手で隠した。
「手、邪魔だ」
股の真ん中に手を当てられると、羞恥しかない。
「あのっ、しゃ……シャワー……」
聡子はシャワーを浴びたいです、と言い出す。
「萎えるようなこと言うなよ」
聡子は腕を引かれて身体を起こされた。思わず両腕で胸を隠したが、トモはその腕を振り払った。
「わかった。シャワー浴びてこい。俺もおまえのあとにシャワー浴びる」
「は、はい」
聡子はベッドから降り、慌てて浴室へ向かった。
シャワールームはガラス張りで丸見えの様子だ。
(シャワー浴びてるの見えちゃう……)
しかしトモはこちらを見る様子はなく、背中を向けていた。
聡子は全身をくまなく洗い、歯磨きもした。
バスタオルにくるまって、ベッドに戻る。
「風邪ひかねえようにちゃんと拭いとけよ」
入れ替わりにトモがシャワーを浴びにいった。
聡子は恥ずかしくてそちらを向くことができない。
ずっとベッドの縁に腰掛けて待っていた。
しばらくして、トモが戻ってきたが、腰回しにバスタオルを巻いただけの姿だ。細身なのに引き締まった身体をしている。
(わ……男の人の身体……)
恥ずかしさで目を逸らした。
トモに側に来るように言われ、つつつと近寄る。真正面から見ることができない。
「あの……」
「まだなんかあんのか」
「明るいところでするんですか」
聡子に言われ、トモは小さくため息をついた。
「注文が多いな」
電気が消され、薄暗い明かりに切り替えられた。
「あの、馬鹿なこと言ってすみません」
聡子は俯きくるりと背を向け、乱れた服を整えようとした。
ドン引きしてる、早くこの空気から抜け出したい、と慌ててボタンを留めようとするが指が上手く動かない。
ふいに背後から抱きしめられ、耳元でささやかれた。
「そんなに俺がいいか」
「…………」
「抱いてやるよ」
「え……」
「俺がいいんだろ。本当に後悔しねえっていうなら、俺は遠慮はしねえよ?」
聡子の心臓がドクドク激しく動く。
「……えと、あの」
「でもおまえに惚れられてもマジで困る」
「…………」
「じゃあ、今日、あの時の約束、果たしてもらうか」
「え?」
聡子はハッとする。
「今度会うことがあったら……っていう話ですか」
「ああ、おまえは忘れても、俺は覚えてるからな」
(どうしよう、どうしよう……)
「忘れてませんよ」
後戻りできない。
「わかりました。約束、果たします」
「本気か? 後悔しないか」
「し……しません」
トモは口をつぐむ。
「…………」
聡子は応えなかった。
「誘ったのはおまえだ。でも俺は一度は止めた。どうなってもしらねえぞ」
「は、はい」
否や、トモはそのまま聡子の胸を背後から掴み、激しく揉みあげた。
「こっち向け」
聡子の向きを変え、ベッドに押し倒し口を塞ぐ。先ほどのように強く激しく、乱暴なキスをした。
整えようとした服も、トモは再び脱がせにかかる。
露わになった上半身を見やり、ぺろりと舌なめずりをするトモは、獣のようだった。
聡子は目をつむり、顔を背けた。
胸を揉まれ、身体が硬直している。
胸を鷲掴みしたまま、トモは聡子の首筋に唇を這わせた。
「おい、力抜けよ。さっきした時も思ったけど……キスも初めてだったか?」
こくこく、と聡子はうなずく。
「嘘だろ」
唇をぶつけ、乱暴に口内を犯されてゆく。そして掴んだ胸に吸いつく。硬くなってしまった尖端を指ではじき、口に含んだ。
「コリコリしてんな」
聡子の反応を楽しんでいる様子だ。
「……っ」
スカートをまくられると、両手で隠した。
「手、邪魔だ」
股の真ん中に手を当てられると、羞恥しかない。
「あのっ、しゃ……シャワー……」
聡子はシャワーを浴びたいです、と言い出す。
「萎えるようなこと言うなよ」
聡子は腕を引かれて身体を起こされた。思わず両腕で胸を隠したが、トモはその腕を振り払った。
「わかった。シャワー浴びてこい。俺もおまえのあとにシャワー浴びる」
「は、はい」
聡子はベッドから降り、慌てて浴室へ向かった。
シャワールームはガラス張りで丸見えの様子だ。
(シャワー浴びてるの見えちゃう……)
しかしトモはこちらを見る様子はなく、背中を向けていた。
聡子は全身をくまなく洗い、歯磨きもした。
バスタオルにくるまって、ベッドに戻る。
「風邪ひかねえようにちゃんと拭いとけよ」
入れ替わりにトモがシャワーを浴びにいった。
聡子は恥ずかしくてそちらを向くことができない。
ずっとベッドの縁に腰掛けて待っていた。
しばらくして、トモが戻ってきたが、腰回しにバスタオルを巻いただけの姿だ。細身なのに引き締まった身体をしている。
(わ……男の人の身体……)
恥ずかしさで目を逸らした。
トモに側に来るように言われ、つつつと近寄る。真正面から見ることができない。
「あの……」
「まだなんかあんのか」
「明るいところでするんですか」
聡子に言われ、トモは小さくため息をついた。
「注文が多いな」
電気が消され、薄暗い明かりに切り替えられた。
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