大人の恋愛の始め方

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【第1部】5.誕生日

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 トモは聡子が出て来るまで、煙草を吸いながら外で待つことにした。
 さっきは、店のママとボーイにとんでもない勘違いをされ、必死で否定した。
 彼女が誕生日らしいから何か食わせてやりたい、そう思っただけなのに、
「当店は性風俗店ではない」
「性的サービスはお断りしている」
 と詰め寄られた。
 自分が世話になっている会長の息がかかっている店だ。そこの店の従業員に堂々と手を出すわけがない。
(……ったく)
 しかし、この店のママは従業員を大事にしているのだろうとわかった。かなり従業員を気にかけている様子だ。
(……にしても)
 ネックレスを渡した時の反応が気になる。
 予想以上に喜んでくれていた。
 あんな安物のネックレスを、だ。
 他の女にも物を贈ったことがないわけではないが、女たちは事前に高い物やハイブランドのものをねだってくる。彼女を贔屓にしている男達全員に同じことを言って、同じ物をもらったあと、一つ残して後は売っている。それをわかってからは、望み通りのものを贈るなんてことはしない。
 聡子は高価なものを何一つ持っていない様子だったし、アクセサリーも借り物なのは一目瞭然だった。安くも高くもないネックレスだが、彼女に似合うんじゃないかと思って、適当に買ったものだ。
 それを、彼女は嬉しそうに受け取っていた。
(まさか、な……)
 顔を火照らせて、泣きそうな顔をしていた。
(俺に惚れて、る、とか……。いや、ないな。なんて自惚れだな。俺をチンピラだって言うくらいだ。反社に敏感だし、あり得ないな)
 一瞬浮かんだ想像をすぐに打ち消した。
(惚れられるのは面倒くさいしな……なんて俺の自惚れか)
 ふうっ、と煙を吐き出した。
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