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88話・回復

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 とりあえず、あいつが消えた場所に現れた人らしき物体にエリクサーを投げ回復させてみる。
 その結果次第で、こちらの出方が変わるだけなので、一応警戒しながら人らしき物体が回復していく様子を眺める。

「!?」

 回復が終わり、そこにいたのは腕が4本もあるたぶん人だと思う何かだった。
 その4本腕の人のような何かは、俺に視線を向け、すぐに襲ってくる。
 敵対してきたので、それを躱してから攻撃をしようとしたのだが、直前で思い止まり1度距離をとる。

「…お前ら、もしかしてロンとベンだったりしないか?」

 近くでよく見ると左右で顔の形が違っており、その顔の面影が、俺の知っている兄弟に似ていたので、そう尋ねてみる。
 だけど、俺の問いに返答はなく、人のような何かは、俺に向けて魔法を放ってくる。
 その魔法も、ロンの使っていた魔法と同じ属性だった。
 もう俺の中では、目の前の4本腕がロンとベンだと思ってしまっている。

「止めろ、ロン、ベン!!」

 ここで眠らせるとどうして2人がこうなっているのかを聞き出せないので、スキルを使わず魔法を躱しながら止めるよう声をかける。
 少しして魔法を放つのを止めてくれる。
 話が通じたのかと思ったが、今度は再度俺に詰めよって来て、4本の腕で殴ってくる。

「だから、2人とも止めろ!!」

 それを受け流しながら、再度声をかけるが、止める様子はない。
 だから少しイラついたので、振るわれた拳を強めに弾き、万歳状態になった1人ふたりのがら空きの腹部目掛けて拳を振るう。

 バキンッ

「「!!」」

「ん?」
 
 一応手加減はしておいたが、スキルを使っていた状態なのでそれなりの威力は出ていたので、お腹を押さえうずくまる。

「今のは何だ?」

 殴った時、硬い何かが壊れたような音がした。
 今殴った場所に骨がある位置ではないし、もし骨だったとしても感触や音が何か違うよなと思っていると

「「せ… セウン…」」

「!?」

 名前を呼ばれる。

「ロン、ベン!! 話せるようになったのか?」

 すぐ蹲る1人ふたりに話しかける。

「「あぁ…」」

「そうか。でも、何で急に話せるようになったんだ?」

「「貴方が、腹に埋められていた道具を壊してくれたからですよ」」

「あぁ、そう言う事か」

 先程の音の正体が判明した。

「それで、何でお前らはそんななりになって、ここにいるんだよ?」

「「それは…」」

 今までの経緯を簡単に説明される。
 どうやら死かけの所をあの男に回収され、そこでこんな状態にさせられたようだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より

・ロンとベンについて

 手を加えられ過ぎて、2人で1人の状態が通常の状態になっており、継ぎはぎはエリクサーで回復したが、2人が1人ずつに戻る事が出来なくなってます。
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