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87話・転移

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 あいつが言っている事が本当かどうか分からないが、実際転移して逃げていない事を踏まえると本当の可能性が高いのかもしれない。
 まぁ、ないならないで転移で逃げられる心配をせずにボコれるかと刀を構え、あいつに向かっていく。





 ~カロー視点~

 階段を上り終え、外へと続く通路を進んでいると、もうあの男が追いかけて来ていた。
 魔力を流しているアイテムを確認するが、もう少し時間が掛かりそうだったので、走る速度を上げる。
 そして、追い付かれる前に外へと飛び出し、時間を稼ぐ為に話しかける。
 向こうも転移をしないで逃げた理由が気になったようで話しかけてきてくれたので、考える素振りしてから時間が稼げるとそれに答えるが、答え終わると武器を構え向かってきた。
 他の魔法道具を取り出す暇もなく、ギリギリの対応を余儀なくされる。

「はっ!!」

 振るわれた武器を受け止める事が出来ないと判断し、転がりながら躱す。
 すぐ起き上がりながら、チラッとアイテムを確認すると、もう発動可能な状態になっていた。

「…お前、まだ何か企んでいるな?」

 顔にでも出ていたのか何故かバレてしまう。

「準備が整っただけですよ」

 バレているのならと含み笑いを浮かべながら答える。
 すると、すぐあの男は向かってくるが、その前にアイテムを発動させると、視界が移り変わる。
 すぐ周りを確認してから、いつも使用している魔法鞄から回復ポーションを取り出し回復する。





 あいつは、振り下ろした刀を転がるように躱した。
 追撃しようとしたが、攻められている筈のあいつが笑みを浮かべていたのを見て、立ち止まってしまう。
 何かしら企んでいると判断し、すぐ止まっていた足を動かし攻撃を仕掛けようとしたが、あいつの姿が消え、あいつがいた場所に何かが代わりに現れた。

「チッ…」

 やっぱり転移系のアイテムを隠し持っていたかとイラつきながらも、突然目の前に現れた何かを見てみる。

「もしかして、人なのか?」

 よくよく見れば僅かに人のような形をしており、今まで燃えてでもいたのか皮膚が溶けていて、嫌な匂いが漂ってくる。
 これがいったい何なのか分からないし、このままこいつを放置していてもいいのかも分からない為、エリクサーを取り出してからそれに投げ掛ける。
 まずは回復させてから、こいつが何なのかを確認すればいい思ったからだ。
 それに、もしこいつが敵だった場合は倒せばいいし、敵じゃなければそこら辺にいる奴に頼んでからシエルたちの応援にいけばいいからだ。
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