上 下
199 / 453

閑話・ラスの過去 7 (カイマス視点)

しおりを挟む
 ラスに回復ポーションを使う。腕の傷は浅かったようで治ったが、首の傷は傷痕が残ってしまっていた。
 私は、ラスをしっかりと抱き抱え、村へと戻った。
 村に戻った私は、ラスをララに預けた後、集会を開いた。当然、助けた子供たちも参加させる予定だったが、子供たちの親から物言いがあったので、子供たち抜きで始める。

「それで、ドルフ。子供たちから話は聞けたのか?」

「あぁ、ちゃんと村に戻ってくる前にそれとなく聞いといたぜ」

「なら、その話をまず聞かせてくれるか?」

「了解。俺が聞いた話だと…」

 そこから、皆で、ドルフの話を聞く。
 何でも子供たちだけで、モンスターの討伐をしに村の外に出て、ウルフを倒した所で、大きなウルフに出会ってしまい、そこから逃げてきた所で、私たちに出会ったとの事だった。

「…聞けた話はこんな所かな」

「そうか。ありがとう、ドルフ」

 ドルフにお礼を言い、次の話に移ろうとした所で、

「確かに、勝手に村の外に出た子供たちは悪いが、無事に戻ってきたんだから、集会を開くほどなのか?」

「そうだな。怪我もしてたようだし、子供たちも今回の事で反省しているんだから、それでおしまいだろ。集会を開く事でもないだろ?」

 他の者からそう言う意見が出る。
 それを言ったのは、子供たちの親連中だ。

「無事に戻ってきただと…」

 私は、それを聞き、怒気が辺りを支配する。

「お… 落ち着け、カイマス」

「すまん、ドルフ…」

 私は、1度深呼吸し、私が見てきた事を話す。

「って事は、子供たちが、カイマスの子供を見捨てて逃げたと言いたいんだな?」

「そこまでは、分からないが、私の娘を見捨てて逃げたのは間違いないだろうな…」

「まぁ、そうなるわな」

 私の話を聞き、子供たちの親連中も黙り混む。

「だから、子供たちに詳しい話を聞きたいのだが、これを聞いても子供たちを参加させれないと言うなら、私が直に会いに行くがいいんだな?」

 怒気を隠す事なく、親連中に聞き、最終的に、最年長であるリーデルを呼んできた。

「な… なんで、俺は呼ばれたんでしょうか?」

 親の後ろから、リーデルはそう聞いてくる。

「急に呼んで悪いね。君には、今回起こった事の話を聞きたくてね。悪いけど、話をしてくれないか?」

 リーデルは、1度親の顔を見上げ、親から頷かれるとぽつりぽつりと今回の話を話し出す。

「なら、君が言うには、私の娘がビックウルフをひき止めるから君たちに逃げてと言ったと?」

「は… はい!! だから、俺たちは、大人の人を呼びに行こうとしただけです!!」

「そうか… なら、その件も含め今回の事を私の娘にも確認するから、それまで君は家から出ずに待機していてくれ」

 リーデルは、もう1度親の顔をみた後、

「わ… 分かりました」

 そう返事をする。
 リーデルから、聞きたい事は聞けたので、家に帰らせた後、集会を1度お開きする。
 家に帰ると、ラスが目を覚ましていた。
しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~

黒色の猫
ファンタジー
 両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。 冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。 最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。 それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった… そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。 小説家になろう様でも投稿しています。

器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。 人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】 前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。 そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。 そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。 様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。 村を出て冒険者となったその先は…。 ※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。 よろしくお願いいたします。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我
ファンタジー
 日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。  仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。  そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。  そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。  忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。  生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。  ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。 この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。 冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。 なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

処理中です...