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閑話・ラスの過去 7 (カイマス視点)

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 ラスに回復ポーションを使う。腕の傷は浅かったようで治ったが、首の傷は傷痕が残ってしまっていた。
 私は、ラスをしっかりと抱き抱え、村へと戻った。
 村に戻った私は、ラスをララに預けた後、集会を開いた。当然、助けた子供たちも参加させる予定だったが、子供たちの親から物言いがあったので、子供たち抜きで始める。

「それで、ドルフ。子供たちから話は聞けたのか?」

「あぁ、ちゃんと村に戻ってくる前にそれとなく聞いといたぜ」

「なら、その話をまず聞かせてくれるか?」

「了解。俺が聞いた話だと…」

 そこから、皆で、ドルフの話を聞く。
 何でも子供たちだけで、モンスターの討伐をしに村の外に出て、ウルフを倒した所で、大きなウルフに出会ってしまい、そこから逃げてきた所で、私たちに出会ったとの事だった。

「…聞けた話はこんな所かな」

「そうか。ありがとう、ドルフ」

 ドルフにお礼を言い、次の話に移ろうとした所で、

「確かに、勝手に村の外に出た子供たちは悪いが、無事に戻ってきたんだから、集会を開くほどなのか?」

「そうだな。怪我もしてたようだし、子供たちも今回の事で反省しているんだから、それでおしまいだろ。集会を開く事でもないだろ?」

 他の者からそう言う意見が出る。
 それを言ったのは、子供たちの親連中だ。

「無事に戻ってきただと…」

 私は、それを聞き、怒気が辺りを支配する。

「お… 落ち着け、カイマス」

「すまん、ドルフ…」

 私は、1度深呼吸し、私が見てきた事を話す。

「って事は、子供たちが、カイマスの子供を見捨てて逃げたと言いたいんだな?」

「そこまでは、分からないが、私の娘を見捨てて逃げたのは間違いないだろうな…」

「まぁ、そうなるわな」

 私の話を聞き、子供たちの親連中も黙り混む。

「だから、子供たちに詳しい話を聞きたいのだが、これを聞いても子供たちを参加させれないと言うなら、私が直に会いに行くがいいんだな?」

 怒気を隠す事なく、親連中に聞き、最終的に、最年長であるリーデルを呼んできた。

「な… なんで、俺は呼ばれたんでしょうか?」

 親の後ろから、リーデルはそう聞いてくる。

「急に呼んで悪いね。君には、今回起こった事の話を聞きたくてね。悪いけど、話をしてくれないか?」

 リーデルは、1度親の顔を見上げ、親から頷かれるとぽつりぽつりと今回の話を話し出す。

「なら、君が言うには、私の娘がビックウルフをひき止めるから君たちに逃げてと言ったと?」

「は… はい!! だから、俺たちは、大人の人を呼びに行こうとしただけです!!」

「そうか… なら、その件も含め今回の事を私の娘にも確認するから、それまで君は家から出ずに待機していてくれ」

 リーデルは、もう1度親の顔をみた後、

「わ… 分かりました」

 そう返事をする。
 リーデルから、聞きたい事は聞けたので、家に帰らせた後、集会を1度お開きする。
 家に帰ると、ラスが目を覚ましていた。
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