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【約束日和】
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「ん、んん……ッ♡」
朝。カーテンから差し込む光に、目を開く。
そこは昨日僕が愛人として招かれた、豪華なスイートルーム。
昨夜の記憶が途中から曖昧で、寝ぼけ眼をしばたいていると、いい香りと共にバスローブ姿の緋鷹さんが颯爽と現れる。コーヒーカップをふたつ手に持って、ベッドサイドへ座って、器用に僕へ……キス。
「おはよう、真澄♡」
「ぁ、ん──♡ひ、緋鷹さんっ♡ぉ、おはよう……ございますっ♡」
「ふふ、ねぼすけさんだねぇ♡疲れていたのかな?お風呂の後、すぐにベッドで寝ちゃったんだよ」
「そ、そうだったんですか!?す、すみません……ッ♡僕、後始末をぜんぶ緋鷹さんに任せてしまって……っ♡」
「いいのいいの、君の身体や服のケアだけだったし。部屋のことはスタッフにお任せすればいいしね♡はい、お目覚めの珈琲♡どうぞ♡」
「ぁ、ありがとうございます……っ♡」
緋鷹さんからカップを受け取って両手で包み込むと、香ばしい珈琲のいい香りが鼻孔をくすぐって、それだけでほっとしてしまう。コーヒーメーカーで入れてくれたのかな?
昨日は甘い甘いセックスの後お風呂に入って、身体をお互い流し合ったり、一緒に湯船に入ったりと、恥ずかしいくらいに、いつもよりいちゃいちゃしてしまった。僕も気持ちが緩んで、緋鷹さんと触れ合いたい欲求を抑えられなかったんだ。湯船の中でも対面座位でセックスをして、何度も緋鷹さんとキスをしたままアクメして……♡でも、その後のことは、あまり記憶にない。たぶんそのまま、寝落ちてしまったんだろう。
「美味しい?」
「は、はい。すごく美味しいです」
「良かった♡身体は大丈夫かな?痛みはない?」
「はい……どこも問題ありません。緋鷹さんこそ、大丈夫ですか?」
「勿論!真澄が元気なら、今日はのんびりこの辺を歩きたいな♡私、仲見世で食べ歩きとかしてみたい♡」
「食べ歩き、ですか?今日は平日ですから、確かにそこまで混んでいないかも……」
「わぁ、やったぁ♡きなこ餅っ♡金つばっ♡揚げまんじゅうっ♡楽しみだなぁっ♡」
「……もしかして、すごく調べてきました……?」
「ふふ♡ひみつ~♡」
ひみつ、と言いつつきゃっきゃとはしゃぐ緋鷹さんに、思わず僕も笑みをこぼしてしまう。昨日はあんなにも厳格で高圧的なオーラでいっぱいだったのに、今日の緋鷹さんは僕がよく知っている姿そのものだ。無邪気で。お茶目で。ユーモアがあって。そしてとても優しい……僕が惹かれてたまらない……自由で、素敵で、おおらかなひと。
「見て見て!すごーいっ♡」
見慣れた緋色のマフラーを棚引かせて、人もまばらな観光地を緋鷹さんが振り返る。
様々な世界を、様々な人々を見てきたとは思えない──いや、だからこそ天真爛漫な笑顔を輝かせて、僕を手招く。たったひとりしか並べない、「隣」という場所へ。あんなにも楽しそうな笑顔を綻ばせて、僕を、招いてくれる。
それを見て。
それを感じて。
騒いで揺れて響く胸に。
僕は、想う。
──ああ。僕。このひとが……このひとのことが……ほんとうに、好きなんだ。
「真澄っ、こっちこっち♡先にお参りしよう~♡」
「っ……はい!♡」
だから僕は、ちいさいけれど確かな決意を持って、彼の元へ駆けてゆく。
緋鷹さん。
いつか。
いつか、必ず、僕はあなたへ伝えます。
あなたと一緒に生きていきたいと。
あなたの生涯の伴侶になりたいと。
あなたが、大好きだと。
ずっと。あなたを。愛してゆきたいと──。
青空。太陽。風が吹く。
それをすべて抱きとめて、僕は、緋鷹さんへ誓うように笑顔を見せた。
「今行きますっ、緋鷹さんっ!♡」
朝。カーテンから差し込む光に、目を開く。
そこは昨日僕が愛人として招かれた、豪華なスイートルーム。
昨夜の記憶が途中から曖昧で、寝ぼけ眼をしばたいていると、いい香りと共にバスローブ姿の緋鷹さんが颯爽と現れる。コーヒーカップをふたつ手に持って、ベッドサイドへ座って、器用に僕へ……キス。
「おはよう、真澄♡」
「ぁ、ん──♡ひ、緋鷹さんっ♡ぉ、おはよう……ございますっ♡」
「ふふ、ねぼすけさんだねぇ♡疲れていたのかな?お風呂の後、すぐにベッドで寝ちゃったんだよ」
「そ、そうだったんですか!?す、すみません……ッ♡僕、後始末をぜんぶ緋鷹さんに任せてしまって……っ♡」
「いいのいいの、君の身体や服のケアだけだったし。部屋のことはスタッフにお任せすればいいしね♡はい、お目覚めの珈琲♡どうぞ♡」
「ぁ、ありがとうございます……っ♡」
緋鷹さんからカップを受け取って両手で包み込むと、香ばしい珈琲のいい香りが鼻孔をくすぐって、それだけでほっとしてしまう。コーヒーメーカーで入れてくれたのかな?
昨日は甘い甘いセックスの後お風呂に入って、身体をお互い流し合ったり、一緒に湯船に入ったりと、恥ずかしいくらいに、いつもよりいちゃいちゃしてしまった。僕も気持ちが緩んで、緋鷹さんと触れ合いたい欲求を抑えられなかったんだ。湯船の中でも対面座位でセックスをして、何度も緋鷹さんとキスをしたままアクメして……♡でも、その後のことは、あまり記憶にない。たぶんそのまま、寝落ちてしまったんだろう。
「美味しい?」
「は、はい。すごく美味しいです」
「良かった♡身体は大丈夫かな?痛みはない?」
「はい……どこも問題ありません。緋鷹さんこそ、大丈夫ですか?」
「勿論!真澄が元気なら、今日はのんびりこの辺を歩きたいな♡私、仲見世で食べ歩きとかしてみたい♡」
「食べ歩き、ですか?今日は平日ですから、確かにそこまで混んでいないかも……」
「わぁ、やったぁ♡きなこ餅っ♡金つばっ♡揚げまんじゅうっ♡楽しみだなぁっ♡」
「……もしかして、すごく調べてきました……?」
「ふふ♡ひみつ~♡」
ひみつ、と言いつつきゃっきゃとはしゃぐ緋鷹さんに、思わず僕も笑みをこぼしてしまう。昨日はあんなにも厳格で高圧的なオーラでいっぱいだったのに、今日の緋鷹さんは僕がよく知っている姿そのものだ。無邪気で。お茶目で。ユーモアがあって。そしてとても優しい……僕が惹かれてたまらない……自由で、素敵で、おおらかなひと。
「見て見て!すごーいっ♡」
見慣れた緋色のマフラーを棚引かせて、人もまばらな観光地を緋鷹さんが振り返る。
様々な世界を、様々な人々を見てきたとは思えない──いや、だからこそ天真爛漫な笑顔を輝かせて、僕を手招く。たったひとりしか並べない、「隣」という場所へ。あんなにも楽しそうな笑顔を綻ばせて、僕を、招いてくれる。
それを見て。
それを感じて。
騒いで揺れて響く胸に。
僕は、想う。
──ああ。僕。このひとが……このひとのことが……ほんとうに、好きなんだ。
「真澄っ、こっちこっち♡先にお参りしよう~♡」
「っ……はい!♡」
だから僕は、ちいさいけれど確かな決意を持って、彼の元へ駆けてゆく。
緋鷹さん。
いつか。
いつか、必ず、僕はあなたへ伝えます。
あなたと一緒に生きていきたいと。
あなたの生涯の伴侶になりたいと。
あなたが、大好きだと。
ずっと。あなたを。愛してゆきたいと──。
青空。太陽。風が吹く。
それをすべて抱きとめて、僕は、緋鷹さんへ誓うように笑顔を見せた。
「今行きますっ、緋鷹さんっ!♡」
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