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入学してからずっと

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晴て念願だった高校に入学した。
浮かれすぎていた気持ちも一か月も経たないうちに日々打ち砕かれるようになった。
何故なら入学してからずっと告白されまくってる。
自慢ではない。
全く嬉しくもない。
何を隠そう相手は全員男なんだ。

ここは男子校。
偏差値もそこそこ高く制服もカッコいいと巷ではちょっぴり有名な高校だ。
大多数の人間は小学校からのエスカレーター式で、俺のように外部入学は年に十人前後と聞く。
目立ってしまうのは仕方ないと納得してる、なんの代わり映えのしない退屈な毎日の細やかな変化。
男子校入学イベントだ、多少は覚悟の上。
今も呼び出された場所へ向かってる。
最初の頃に律儀に行ってしまった為、辞め時が分からないから。
学校の外に行けば女の子なんて沢山いるのに、どうして男の俺に?
山奥の学校でもあるまいし。
男子校というものに犯されている。
はぁー待ち合わせ場所に着いちゃったよ。
相手はもうすでに待機している。
遠くから観ても相手の男も外に出ればきっと女の子にモテそうな容姿なのになんで男?
なんで俺?俺を女の子と間違えてるの?女の子の代わりにしたいの?どちらにしたって失礼だけどな。
良くみるとネクタイの色が違う。と言うことは、この人はきっと二年生なんだ。
まだ学校に対して分からない外部入学の一年生に目を着けるなんてとんでもねぇ獣野郎だ。
それともこの人、暇なの?
エスカレーター式とはいえ、ある一定の学力がないと転校やら外部の大学を進められたりするって聞くし。
ストレス貯まってるのかな?大変だなぁ。
俺も二年生になったらこうなっちゃうのかな?

「瀬里崎」

すっかり考え込み、目の前にいたこの人の話全く聞いてなかった。
何、なんの話?そもそも貴方は誰ですか?

「今、誰かと付き合ってたりするのか?」

あーやっぱりそう言う話ね。
いやいや、入学し一ヶ月もたってないのに恋人なんてつくりませんし、そもそも俺は可愛い女の子が好きなの。
どうして男前提で考えるのかな?
確かに男子校に入学したけど、皆が皆そっち系な訳じゃない。
勘違いして欲しくない。

「えっと、そんな相手は居ませんけど…」

「好きな人とかいるのかっ」

この人食いぎみで聞いてくるな。
背が高いから圧が凄い。
俺は168cmだけど全然怖くないぞ。それにこれからでかくなる。
父さんだってでかいし、これからこれから。全然負けないぞ。

「えっ、いません」

「なら、お試しで俺と付き合ってみない?」

ゆっくり近づいてくる姿に恐怖を感じた。
お試しって何?何を試すの?
やだ怖い来ないで。

「あ、あの本当ごめんなさい」

頭を下げてその場を全速力で逃げ出した。
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