【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

文字の大きさ
上 下
322 / 414
二章 ハーレムルート

解放

しおりを挟む
寮に戻り皆からの鋭い視線に晒された。

ソファに座るも両隣にはライにアレックス、正面にはエドとリック…それにエイダン様もいる。

「シャル…いつからだ?」

怒っているのとは違うライの真剣な表情。

「…ぇっと…つい最近です。」

「具体的に?」

怒った時は敢えて笑うアレックスから今は笑みが消えている。

「二…二週間…くらい前?かな…。」

「何された?」

エドらしく無い鋭い声なのは僕の所為だよね…。

「…えっ?何って…その…王子が倒れた時の事とか…聞かれた…」

「その後は?」

優しくも僕を追い詰めていくリック。

「その後は…猫さんと遊びましたっ。」

言ってないことはあるけど、嘘は吐いてない。

「…何か飛ばしてないか?」

浅はかな僕の考えはエドだけでなく皆に通用せず、鋭い視線が突き刺さる。

「ふぇえっ…」

皆の尋問にしどろもどろになりながら必死に答えていたが、逃げきれない僕は目線も定まらずついには声が裏返ってしまった。

「何かあったんだろ?王子の事を聞かて終わりじゃないはずだ。」

それにライ達に嘘はつきたくない…。

「………。」

「シャルマン…僕達はシャルマンを責めている訳じゃないんだ、何があったのか知りたいし相手の目的も確認したいんだ。」

…リックの優しい言葉で僕は決心した。

「…えっと…抱きしめられたことが…ある…かな…。」

だけど、誤魔化せるなら誤魔化したい…。

「他には?」

「…む…胸を…触られた?」

怖い…。

「他は?」

他…。

「……の…まれた?」

「…何をだ?」

ひっ怖いよ…。
ライの声に驚いたが皆の目も一層険しくなった。
…これは言うべきじゃなかったかも…。
もう皆分かってるんだよね?

「……母…乳…」

俯いて小さな声で白状してしまった。
一番隠したかった事を…皆に知られたくない秘密を…。

「「「「「………。」」」」」

皆もなんとなく気付いていたが、僕の口から直接真実を…。

長い沈黙を壊す勇気は僕にはない…。
壊したのはアレックスだった。

「そうなる前に私達に言わなかったんです?」

「…それはあの人に出会った日にされて…」

「…それから毎日?」

「毎日はされてない。」

うん、毎日はされてない。

「毎日ではないけど、されていた?」

「…ぁっ……はぃ。」

まぁ、たまにです…その…マッサージで母乳が溢れた時に…。

「その事、どうして私達に相談しなかったんです?」

「………。」

相談は…。

「私達は頼りないですか?相手が侯爵家の人間だから。」

「そんなこと無いですっ、それにあの人の爵位も知らないし…僕は…ただ…皆に…知られたくなくて…。」

「どうして知られたくなかったんですか?」

どうしてって…。

「…知られたら…皆に…嫌われちゃうと思って…。」

「そんなことで嫌ったりしませんよ、寧ろ助けを求められなかったことの方が悲しいです。」

「…ごめんなしゃい……っく…っく…うぇえん…」

もっと早くに相談するべきだったんだ…。
皆を信じてない訳じゃない…ただ、知られたくなかった…。

怖くて…。

僕は卑怯だ…泣いたらそれ以上追及できなくなっちゃうのに…。

隣に居たアレックスに抱きしめられ泣き続けると、後ろのライに頭を優しく撫でられた。

楽になっちゃいけないのに…。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか

Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。 無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して―― 最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。 死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。 生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。 ※軽い性的表現あり 短編から長編に変更しています

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない? ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

「イケメン滅びろ」って呪ったら

竜也りく
BL
うわー……。 廊下の向こうから我が校きってのイケメン佐々木が、女どもを引き連れてこっちに向かって歩いてくるのを発見し、オレは心の中で盛大にため息をついた。大名行列かよ。 「チッ、イケメン滅びろ」 つい口からそんな言葉が転がり出た瞬間。 「うわっ!?」 腕をグイッと後ろに引っ張られたかと思ったら、暗がりに引きずり込まれ、目の前で扉が閉まった。 -------- 腹黒系イケメン攻×ちょっとだけお人好しなフツメン受 ※毎回2000文字程度 ※『小説家になろう』でも掲載しています

処理中です...