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二章 ハーレムルート

友人?

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僕は皆の前では普通でいられた。

あの事を忘れて…けど、婚約についてはふと考えてしまう。
彼はどうして僕に婚約を申し込んだんだろう…。
ちゃんと話を聞けばよかった。

「シャル?最近何かあったか?」

「へっ?なっ何もないよっ…」

ライの問いに誤魔化すも「どうして?」と聞き返すことが出来なかった。
話を反らし僕達は学園に向かうも、エドやリックに挨拶して僕は一人教室に入った。

放課後いつもの部屋に向かう。
別に約束してる訳じゃないんだけど…。

脅迫から始まる婚約者なんてあるのかな?

扉の前で悩んでしまい佇むも、彼とちゃんと話してみようと決意し扉を開けた。
僕が一歩入ると後ろに誰かの気配を感じた。

「なんでそいつがいるんだ?」

彼の言葉で振り返ると僕の真後ろには人が居た…。

「えっ…なんで?」

居たのは王子だった。

本当になんで居るの?そして、何故一緒に部屋に?

「二人はどういう関係だ?」

怒ったような王子の声に身体が恐怖を感じた。
何故王子はお怒りに?

「俺達の関係に王子は関係ないだろ?」

彼も何だが怒ってる。
僕が王子を呼んだと思ってるのかな?
違うよ?偶然です…。

「こいつは私の…友人だ。」

王子の口から友人って言葉に驚いた。
僕達って友人なの?
それともこの場だけ?

「友人?今まで避けまくってたのにか?」

彼は王子の言葉に疑念を抱いていた。
僕も…ちょっと疑問に思った。

「…お前に関係ない。」

「あぁ、王子の事は俺には関係ない。俺達のことも王子には関係ない。」

「ぁっあの…二人とも止めてっ」

これ以上言い争うのは止めて…事が大きくなれば僕で止められなくなっちゃう。

「ここで何してるんです?」

アレックス…良かったぁ。
僕に二人を止める自信は正直無かった。
アレックス…先生がきて安心だ。

「シャルここに居たのか?」

「ふぇっライ?」

ライが現れた。

「探したぞ?」

「エド?」

エドまで…もしや次に来るのは?

「………。」

扉から顔だけ覗かせたのは、予想と違い現れたのはエイダン様だった。
リックは…来てくれないのか…。

「シャルマン?」

「リック?」

皆の顔を見たら安心した…けど…なんで皆がここに?

「シャル?これはどういう状況だ?」

「…分かんない…どういう状況?」

「俺達は最近シャルの様子がおかしくて…エイダンにここで見たと聞いて来たんだ。」

昨日エイダン様に会ったんだ…。

「ルマンはなんでここに来たんだ?」

「ぼっ僕は…」

なんて答える?
脅迫されて?いやダメダメそんなこと言ったら余計揉め事に…。

「俺が呼んだんだ…噂を確かめるために。来なければ子供について公表するってな…」

「「「なっ」」」

「………。」

「ぁっ…いや…そのっ…あん~…。」

そうなんだけどどうして僕が黙っていたことを敢えて言うの?
悪者みたいに…いや脅してきたから悪者なんだけど…出来るだけ穏便に解決したかったのに。

もう、僕の許容範囲を越えました。

「んで、今は婚約者候補に志願したところ。」

「「「はぁ゛ー」」」

「えー」

ライとエド、リックの怒りの籠った声に消されないくらいエイダン様も声をあげていた。

「ルゥ?どういう事ですか?」

「ぁっ…あっ…あっ…」

皆の視線が一気に集まり、圧に押された。
焦る思いで僕は何度も頷いていた。それしか分からなかった。

「脅迫されていた?」

「……んっ」

胸の前で心臓を守るように手を握りしめ、小さく頷いた。

「それで今では婚約を志願した?」

「…はぃ」

詰め寄られたアレックスと視線を合わせることが出来ず叱られた子供のように俯いていた…。

「脅迫からなぜ婚約志願に?」

「そりゃぁフィンコックの魅力に気付いて…寧ろ脅迫は話す切っ掛けかな?」

…そうだったの?

だったら…エッチな事しなくても良かったんじゃない?

「婚約者を増やすつもりはない。」

「それはフィンコック本人が決めることだろ?」

婚約者のエドよりも彼の方が冷静で優位に見えるのは何故?

「シャル帰るぞ?」

「えっ…ぅん?」

帰って…良いのかな?
振り返ると彼と目があった…。
今日は彼と話そうと気合いを入れてきたが、このような形で幕引きとなってしまった。


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今後もごちゃごちゃいたします。
お気をつけください。
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