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二章 ハーレムルート
僕が寝ている間
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「眠りましたね。」
シャルマンを抱きしめるギノフォード。
「…一人で抱え込んでいたんだな…。」
エドバルドは心配そうにシャルマンを見つめた。
「最近考え事をしているなぁとは思っていたんですが、まさか脅迫されているとは思いませんでした。」
フレデリックはシャルマンの変化に気付いていた。
「…シャルマンをベッドに運びます。」
「…そうですね。」
ギノフォードの言葉で、眠っているシャルマンをベッドへ移動させる事にした。
ベッドに寝かせると何本も涙の筋を作りながら眠るシャルマンの表情は悲しげで、夢の中ではまだ苦しんでいるように見えた。
今出来ることは、洗浄魔法で涙の跡を綺麗にすることだけだった。
離れる際、代わる代わるシャルマンの顔にキスをした。
ソファに戻り話の続きに戻った。
「あっあの…俺はっここにいて良いんですか?」
エイダンは自分がこの場にいて良いのか疑問だった。
婚約者ではないのに、かなり重要な話に加わってしまっていると実感していた。
「あぁ、エイダンには聞きたいことがあるんだ。」
兄であるエドバルドにより、この場に残る事になった。
「偶然ルマンに会ったのは昨日が初めてか?」
「はい、昨日悩んでいるのかフラフラと歩いていたので声をかけました。」
「その時何て言っていた?」
「体調は悪くないと…兄さん達との仲は良好ですと…。それだけです。」
「そうか…」
「俺がもっと着いていけば良かったですね…」
何も悪くないが、偶然居合わせた人間は己を責めがちでエイダンも自身を責めていた。
「いやっエイダンから聞いてなければ、もっと遅れていただろう。ありがとう。」
ライが代表して御礼を告げた。
エイダンがわざわざエドバルドに「フィンコック様は体調が悪いのを無理しているのかもしれません」と話をしていなかったら今日ではなく更に時間を取られていたに違いない。
「いえっそんなっ。」
「先生…彼は確かCクラスの…」
三人の中では周囲を観察しているフレデリックだが、彼についての情報は少なかった。
「彼の名はスティーヴン シリクレッチ…侯爵家の嫡男です。」
「ん?よくわかんねぇわ。」
侯爵家の人間をよく分からないと言う発言をするエドバルドが貴族に疎いわけではなく、シリクレッチ自身が貴族のパーティーなどの集まりに参加することがなかったからだ。
「そうですね…彼は可もなく不可もない、普通の一般的生徒です。敢えて言うなら侯爵家の人間の割には目立つことを避けていると言ったところですかね。」
この場にいる者で一番情報を持っているのがギノフォードだった。
それでもこの程度しか分からない程、シリクレッチは周囲との付き合いがなかった。
「そんな奴が急に何で?」
「シャル…王子の事を聞いてたって言ってたよな?」
「王子に近付くためにルマンを?」
エドもライも何故彼が急に今まで関わりがなかったシャルマンに興味を持ったのかが理解できなかった。
獣人だから手に入れたいのか?と考えるも…出会いで脅迫という選択肢は間違っているだろう?と腑に落ちないでいた時にフレデリックの言葉「王子に近付くため」というので納得出来てしまう。
目的があり、シャルマンを利用しようとして近付いたもののシャルマンの魅力に気付き婚約者候補に名乗り出たとすれば理解できる。
となるとシリクレッチ侯爵は王族に対し何らかの思いがあるということに…。
それにシャルマンが巻き込まれた事になる。
「シリクレッチ侯爵は王族派と言いつつ、中立な立場のが多かったですよね?」
「そうですね、どちらかに肩入れは無いですね…。」
「そんな人間が急に王族に?だけど踏み込んだ時あの二人は険悪な状態だったよな?それなのに王族に取り入るって事はないだろ?寧ろ王族弱みを…」
ライアンはフレデリックとギノフォードの会話を頭で理解しながら、目撃した情報等を整理するために疑問を口にした時「弱み」という言葉にしっくり来てしまった。
「弱み…」
「ルマンが弱みになるのか確認したってことか?」
今までの王子との関係性ならばあり得ないと断言できたが、魔力酔いで協力した事を考えれば確かにシャルマンが弱みにと考えてもおかしくなかった。
王子に対して憧れ程度の感情であれば気付かない事でも、何かの目的の為に入念に観察している者からしたら王子とシャルマンの関係が急速に縮まったのに気付いてもおかしくない。
シャルマンは完全に巻き込まれ、それを一人で解決しようとしていた。
「…嫌われたくない…か…」
「嫌う分けねぇのにな…」
「えぇ」
「本当に…」
皆、シャルマンを責めているわけではない…本気で心配し何も出来なかった自身を悔やんでいた。
シャルマンを抱きしめるギノフォード。
「…一人で抱え込んでいたんだな…。」
エドバルドは心配そうにシャルマンを見つめた。
「最近考え事をしているなぁとは思っていたんですが、まさか脅迫されているとは思いませんでした。」
フレデリックはシャルマンの変化に気付いていた。
「…シャルマンをベッドに運びます。」
「…そうですね。」
ギノフォードの言葉で、眠っているシャルマンをベッドへ移動させる事にした。
ベッドに寝かせると何本も涙の筋を作りながら眠るシャルマンの表情は悲しげで、夢の中ではまだ苦しんでいるように見えた。
今出来ることは、洗浄魔法で涙の跡を綺麗にすることだけだった。
離れる際、代わる代わるシャルマンの顔にキスをした。
ソファに戻り話の続きに戻った。
「あっあの…俺はっここにいて良いんですか?」
エイダンは自分がこの場にいて良いのか疑問だった。
婚約者ではないのに、かなり重要な話に加わってしまっていると実感していた。
「あぁ、エイダンには聞きたいことがあるんだ。」
兄であるエドバルドにより、この場に残る事になった。
「偶然ルマンに会ったのは昨日が初めてか?」
「はい、昨日悩んでいるのかフラフラと歩いていたので声をかけました。」
「その時何て言っていた?」
「体調は悪くないと…兄さん達との仲は良好ですと…。それだけです。」
「そうか…」
「俺がもっと着いていけば良かったですね…」
何も悪くないが、偶然居合わせた人間は己を責めがちでエイダンも自身を責めていた。
「いやっエイダンから聞いてなければ、もっと遅れていただろう。ありがとう。」
ライが代表して御礼を告げた。
エイダンがわざわざエドバルドに「フィンコック様は体調が悪いのを無理しているのかもしれません」と話をしていなかったら今日ではなく更に時間を取られていたに違いない。
「いえっそんなっ。」
「先生…彼は確かCクラスの…」
三人の中では周囲を観察しているフレデリックだが、彼についての情報は少なかった。
「彼の名はスティーヴン シリクレッチ…侯爵家の嫡男です。」
「ん?よくわかんねぇわ。」
侯爵家の人間をよく分からないと言う発言をするエドバルドが貴族に疎いわけではなく、シリクレッチ自身が貴族のパーティーなどの集まりに参加することがなかったからだ。
「そうですね…彼は可もなく不可もない、普通の一般的生徒です。敢えて言うなら侯爵家の人間の割には目立つことを避けていると言ったところですかね。」
この場にいる者で一番情報を持っているのがギノフォードだった。
それでもこの程度しか分からない程、シリクレッチは周囲との付き合いがなかった。
「そんな奴が急に何で?」
「シャル…王子の事を聞いてたって言ってたよな?」
「王子に近付くためにルマンを?」
エドもライも何故彼が急に今まで関わりがなかったシャルマンに興味を持ったのかが理解できなかった。
獣人だから手に入れたいのか?と考えるも…出会いで脅迫という選択肢は間違っているだろう?と腑に落ちないでいた時にフレデリックの言葉「王子に近付くため」というので納得出来てしまう。
目的があり、シャルマンを利用しようとして近付いたもののシャルマンの魅力に気付き婚約者候補に名乗り出たとすれば理解できる。
となるとシリクレッチ侯爵は王族に対し何らかの思いがあるということに…。
それにシャルマンが巻き込まれた事になる。
「シリクレッチ侯爵は王族派と言いつつ、中立な立場のが多かったですよね?」
「そうですね、どちらかに肩入れは無いですね…。」
「そんな人間が急に王族に?だけど踏み込んだ時あの二人は険悪な状態だったよな?それなのに王族に取り入るって事はないだろ?寧ろ王族弱みを…」
ライアンはフレデリックとギノフォードの会話を頭で理解しながら、目撃した情報等を整理するために疑問を口にした時「弱み」という言葉にしっくり来てしまった。
「弱み…」
「ルマンが弱みになるのか確認したってことか?」
今までの王子との関係性ならばあり得ないと断言できたが、魔力酔いで協力した事を考えれば確かにシャルマンが弱みにと考えてもおかしくなかった。
王子に対して憧れ程度の感情であれば気付かない事でも、何かの目的の為に入念に観察している者からしたら王子とシャルマンの関係が急速に縮まったのに気付いてもおかしくない。
シャルマンは完全に巻き込まれ、それを一人で解決しようとしていた。
「…嫌われたくない…か…」
「嫌う分けねぇのにな…」
「えぇ」
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皆、シャルマンを責めているわけではない…本気で心配し何も出来なかった自身を悔やんでいた。
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