「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
9 / 145
第一章 幼少編

009「レコの報告書」

しおりを挟む


「調査対象:カイト・シュタイナー。任務内容:カイト・シュタイナーの魔法習得の有無」

 この一週間——家庭教師という立場で接触を図ったが、このカイト・シュタイナーには驚かされることばかりだった。

 私は家庭教師という立場で一通りの講義をしたが、こいつは私の教えたことすべてをすでに理解していた。ムカついた私は騎士学園で習うもの以外の、さらに細かい部分の話もして知識の差を見せつけようとした⋯⋯⋯⋯が、こいつはそこもしっかりと理解していて逆に私のミスを指摘した!

 信じられない⋯⋯。一つ下とはいえ、たった五歳の子供が私と同程度の⋯⋯いえ、それ以上の知識を獲得しているなんて。同年代の子たちどころか、大人でさえも太刀打ちできないほどの知能・知性を持っているのはたぶん間違いない。

 両親から事前情報をもらっていたけど、そこには特に勉強らしい勉強をしていたなんて書いてなかったし、両親が教えていたという話もない。わざわざ、調査を依頼する両親が嘘をつくはずがないのでそうなるとこのカイト・シュタイナーは独学で勉強したことになる。

 自分で言うのもアレだけど『規格外の天才』と言われる私でさえ、家庭教師がついて初めて知識を身につけることができたのだ。これを独学で勉強したということであれば、それはもはや『規格外を超えた規格外の天才』ということだから⋯⋯⋯⋯あーもう、ややこしい!

 ただ『魔法』に関しては別だ。百歩譲って『学問』は独学でも身につく可能性はあるかもしれないが『魔法』に限っては話は全然違ってくる。

 魔法を習得するには、まず自身の『魔力』をある程度コントロールできないと魔法は使えない。そして、何よりもこの『魔力コントロール』が最初の壁であり最大の難関だ。

 魔力コントロールは、まず最初に自分の体内にある魔力を感じ取るところから始まるが、魔力という目に見えないものを感じ取るのはかなり難しく、それが最初にして最大の難関となる。

 なので、王族や貴族の子であれば優秀な魔法士や上級魔法士を家庭教師として呼び、魔力のイメージを具体的に教えてもらえる環境があるので平民に比べればだいぶ早く魔力を感じ取れるようになる。ただし、その『魔力イメージをどこまではっきりと認識できるか』は、その子のセンスにかかってくるが⋯⋯。

 ちなみにこの魔力センスの有無は血に影響されるので、魔力センスが良い者というのは主に魔力の高い王族や貴族がそれにあたる。

 私の場合、親が領主ということもあり、上級貴族でもあったので優秀な上級魔法士をつけてもらい、魔力イメージを教えてもらった。ちなみに王族や貴族でも『魔力』を認識できるまでに半年から一年はかかるのだが、私の場合一ヶ月くらいではっきりと魔力をイメージすることができた。

 魔力を感じ取れた私はその後魔法を教えてもらうのだが、私は魔法をスポンジのようにどんどん習得していき、五歳の誕生日を迎えた頃には初級だけでなく上級魔法までもすべて習得することができた。ちなみに、この時に私は『上級魔法士』の称号を得た。

 そうして私は周囲から『規格外の天才』と言われることとなるのだが、でも、もし⋯⋯この少年が⋯⋯カイト・シュタイナーが本当に学問などの知識だけでなく、魔法も独学で習得していたのだとしたら、それこそ私以上の『規格外』となる。

 ただ、通常はあり得ない。だからこその『規格外』だ。だからこそ、家庭教師初日にカイトに「私はあんたに魔法なんて教えることは絶対にない!」と断言したのだ。

 しかし⋯⋯⋯⋯今は五歳にしてはあり得ない知識量を持つ、しかも独学と思われるやり方で知識を身につけたカイト・シュタイナーを知ると「もしかしたら本当に魔法も習得しているのでは⋯⋯」と思うようになっていた。

 今回の任務、団長は親友の依頼を断りきれなかったので何とか形だけの調査はしなければ⋯⋯という理由で私を指名したものだと思っていた。だけど、もしかしたら、それは私の⋯⋯いや騎士団長も含めて大きな勘違いだったのかもしれない。

 そこで、私はカイトが魔法を使えるかどうかを試すためにある『作戦』を思いついた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

処理中です...