イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第二章

040「炎呪からの意外な言葉」

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「おや? どこいくんだい、ソラ君? 話はまだ終わってないよ?」
「え?」

 いつものベビーフェイスな笑顔を俺に向ける炎呪。しかし⋯⋯⋯⋯その目は笑っていない。

「次は君自身・・・に関するお話だよ?⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラ君」


 ニチャァ。


 倶利伽羅炎呪の糸目がさらに細くなる。

 逃げ場はない。

「⋯⋯何でしょう」

 倶利伽羅炎呪の目が変わった。逃げ場はない。ならば、正面からぶつかるしか⋯⋯ないよね。

 俺はすぐに気持ちを切り替える。

「それじゃあ早速質問させてもらうよ、ソラ君。ズバリ⋯⋯⋯⋯どうして、君はそんな異常な成長速度なんだい?」
「え? どうしてと言われましても、ただ魔物をいっぱい狩っているからかと⋯⋯」
「ふーん、なるほど。ま、確かに理屈・・ではそうなんだけど、君の場合はそれだとしても成長が速過ぎると思うんだ」
「え? やっぱり、そうなんですか?!」
「え? あれ?」

 俺は炎呪の回答を聞いて、自分自身も疑問に思っていた『成長速度』について聞いてみた。

「やっぱり俺の成長スピードって速いんでしょうか?」
「そうだね。ソラ君のような単独探索者ソロ・シーカーが2ヶ月でD級昇格できるなんて普通はあり得ないよ? 通常であればどんなに早くても6ヶ月はかかるからね。まーそれでも相当甘い見立て・・・・・だけど」
「甘い見立て?」
「少し考えればわかることだよ? 例えば、最近だと君と同じ学校にいる竜ヶ崎真司くん⋯⋯⋯⋯彼は3ヶ月でC級ランカーになったよね?」
「え、ええ」
「確かに彼も成長速度は速いけど、彼の場合、先輩探索者シーカー帯同・・しての成長だからね? まーそれでも十分凄いことではあるんだけど⋯⋯」
「は、はあ⋯⋯」
「まだ、よくわかっていないようだね。いいかい? 探索者シーカー探索者集団シーカー・クランを作るのはダンジョン探索が楽になるというのが基本的な理由だけど、別の理由として『個人の能力の成長がしやすい』というのもあるんだ」
「個人の能力の成長⋯⋯経験値の獲得ってことですか?」
「そう。集団で協力して魔物を狩るほうが結果的には単独で魔物を狩るよりもはるかに多くの魔物を狩れるからね。そもそも、単独で行動する『単独探索者ソロ・シーカー』というのは、単独でも集団で魔物を狩るのと同じレベルをこなせる『高ランク探索者シーカー』か、探索者集団シーカー・クランから毛嫌いされるような嫌われ者か、あとは、集団になじめない『ぼっち探索者シーカー』くらいで⋯⋯」
「あ⋯⋯」
「え?」
「⋯⋯たぶん、自分の場合は⋯⋯3番目の理由のほうにあたる⋯⋯かと⋯⋯」
「え? そ、そうなのっ?!」
「あ、いや、その、なにぶん人見知りなのものでして⋯⋯だから結果的にといいますか⋯⋯」
「⋯⋯あ、なんかごめん」
「あ、いえ⋯⋯」

 しばし、二人の間に微妙な空気が流れる。

「え、えーと、とりあえず、その話は横に置いとくとして。と、とにかく! ソラ君は新人ルーキーで、且つ、単独なのにその成長速度はあり得ないということを言いたいんだ!」

 とりあえず、俺の『ぼっち』の件は横に置かれ、炎呪が話したい『本題』へ無理矢理、軌道修正された。

「君の場合、単独探索者ソロ・シーカーでありながら竜ヶ崎くんと同じ速度で成長しているってことは、言い方を変えれば今の時点で竜ヶ崎くんよりも遥かに強いということを意味する」
「⋯⋯え?」
「ちなみに、君のその『レベル62』という数字。探索者シーカーランクでいえば『B級ランカー』どころか、それを追い越して『A級ランカー』に匹敵する数s字なんだよね」
「え? えええええええええええええええ!?」

 ま、まさか!?

 そこまでの数字だったのか⋯⋯レベル62これ

「つまり、君は探索者シーカーとなってからたったの2ヶ月ちょっとで『A級ランカーに匹敵する強さ』を身につけている」
「⋯⋯⋯⋯」
「どうだい? 君の成長速度の異常さ⋯⋯少しはわかってくれたかな?」
「⋯⋯⋯⋯はい」

 そりゃ、炎呪が俺の成長速度を異常と感じるのも無理もない。ていうか、俺だって今の話を聞いて自分の成長速度の異常さは十分わかった。

「ということで、ソラ君。改めて今の話を聞いて、君のその成長速度の異常さで何か心当たりになるものとかないかい?」
「え?」

 俺の異常な成長速度⋯⋯それはまず間違いなく『恩寵ギフト自動最適化オートコンプリート』が原因だろう。

 しかし、それを今ここで炎呪に話していいものなのだろうか? そもそも『恩寵ギフト』はこの世界には無い能力のようだし⋯⋯。そんな異質な能力のことを迂闊に話しても大丈夫なのだろうか?

 俺がそうやって真相を話していいのかどうか悩んでいると、

「もしかして、ソラ君⋯⋯⋯⋯君、『恩寵ギフト』って能力を持っているんじゃないかい?」
「えっ?!」

 いきなり⋯⋯それはあまりにも突然に⋯⋯炎呪の口から『恩寵ギフト』という言葉が飛び出した。
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