イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第二章

039「まずはスキル獲得のご報告から」

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「へ~⋯⋯これが?」
「はい。レア物クイックビーから獲得したスキル『魔力洗浄マナクリーン』です」

 今、俺はギルドマスターである倶利伽羅くりから炎呪えんじゅとギルドマスター専用の部屋で事情聴取を受けていた。ちなみに、今は俺のステータス画面を確認している。

 ちなみに、現在ギルマスからは俺の『恩寵ギフト自動最適化オートコンプリート』は見えていない。実はこの『恩寵ギフト』には『ステルス機能』がついているようで、俺が「隠したい」「見せたくない」と思えば、それも自動最適化オートコンプリートして相手から見えないようにしてくれる。

 そんなステルス機能まで付いているのを知った時「助かるな~」と思うと同時に、この機能がついているからこそ、この『恩寵ギフト』が『異質な能力イレギュラー』であるということもわかった。

 一体、この『恩寵ギフト』というのは何なのだろう?

 そして、それを与えた自称神様『ロキ』という奴は一体⋯⋯。

 などと、考えていると、

「で? クイックビーは何階層に現れたの?」
「大森林の奥? 15階層の入口からだとどの辺りになる?」
「どんな場所でクイックビーは現れた?」
「その扉はまだあるの?」
「扉の模様は? 部屋の中はどんな感じだった?」

 と、矢継ぎ早な質問攻めにあった。

「16階層? え? 現れたんじゃなくてモンスターボックスのような部屋でクイックビーの大群に襲われた?」
「はい」

 俺はギルマスの質問1つ1つに丁寧に答えていった。

「面白い! レア物とはいえ、クイックビーは過去に何度か目撃例や討伐例はあるんだけど、こんな大群なんて初めて聞いたし、そもそも『クイックビーのモンスターボックス』なんて、いまだに信じられないよ!?」

 と、炎呪はだいぶ興奮した様子で一気に捲し立てた。

 こいつ、レア物オタクか?

「さて⋯⋯⋯⋯クイックビーの話ももっと聞きたいけど、その前にスキルについて話をしよう。ソラ君、きみが獲得したスキル『魔力洗浄マナクリーン』については琴音ちゃんから少し説明を聞いたと思うが⋯⋯実際どうだい? やってくれるかい?」

 琴音さんの説明では、これまでの初級魔法と初級スキルを獲得できるかどうかを問う資格試験から、性格・人となりといった人間性や中身を重視した面接・筆記試験にしたいという話だった。

 これが実現すれば、単純に『探索者シーカーの増加』と『探索者シーカーの質の向上』が図れるということでギルドとしてもかなり力を入れていると言っていた。

「はい、大丈夫です。月一回くらいなら⋯⋯」
「本当っ!? ありがとうぉぉーーー!!!!」

 ブンブン⋯⋯!

 そう言って、炎呪がソラの両手を掴まえブンブンと上下に揺らし、感謝の気持ちを示す。

「い、いえ、そんな⋯⋯」
「いやーとっても助かるよー!」

 ブンブン⋯⋯!

「あ、あの⋯⋯すみません⋯⋯」
「? なんだい?」

 ブンブン⋯⋯!

「か、肩が脱臼しそうなので、そのブンブン⋯⋯やめてもらっていいっすか」
「あ、ごめーん!」

 やっと両手が解放された。

 実は今、必死になって掴まれた手をはずそうとしていたのだが、まるで『万力』で固く締められているかのようにビクともしなかった。⋯⋯パワーやばっ!?

 倶利伽羅炎呪、恐るべしっ!

 S級ランカー、恐るべしっ!



********************


「それじゃあ、来月から毎月月末にお願いしていいかな?」
「はい。わかりました」

 というわけで、俺は来月から『毎月末1回』という約束で、探索者シーカーの筆記試験と面接試験に合格した一般人にスキル『魔力洗浄マナクリーン』をかけるというアルバイトを始めることとなった。これにより、試験に合格した一般人は初級魔法と初級スキルを獲得できるようになる。

 そして、そのアルバイトの収入が、なんと『1日5時間、日当10万円』という超破格なアルバイトなのだ。

 まー⋯⋯とは言っても、ぶっちゃけ俺はお金には困っていない。むしろ、十分なほどある。

 え? 何でかって?

 だって、レベル62だからね?

 それだけのレベルを2ヶ月で達成したってことは、相当数の魔物を狩っていることってことだから、結果お金も貯まってくる⋯⋯つまりはそういうことだ。

 ちなみに、ダンジョンボスを倒した時スキル書以外にもトロールオークの大きい魔石が手に入った。俺には必要なかったのでその魔石を売ったのだが、結果、収入はさらに増えたよね。

 え? いくらくらいあるかって?

 それは秘密だ。

 え? じゃあ、なんでこのアルバイトを引き受けたのかって?

 そりゃ、もちろん『人脈づくり』だ。

 こうやって、ギルドからの依頼を嫌な顔せず快く・・引き受ければ、相手の俺の印象は良くなるだろうし、それをきっかけにギルド内の情報やダンジョンや魔物といった情報も得られやすくなると思ってね。

 まー『先行投資』てやつだ。



「じゃ、僕はこれで⋯⋯」

 と、『魔力洗浄マナクリーン』のアルバイトの話を終えた俺は部屋を出ようとした。しかし、

「おや? どこへいくんだい、ソラ君? 話はまだ終わってないよ?」
「え?」

 いつものベビーフェイスな笑顔を俺に向ける炎呪。しかし、その目は⋯⋯⋯⋯笑っていない。

「次は君自身・・・に関するお話だよ⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラ君?」


 ニチャァ。


 倶利伽羅炎呪の糸目がさらに細くなる。

 逃げ場はない。
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