500 / 627
500 午前の予定
しおりを挟む
翌朝はドーズとジェルロも交えての朝食だ。打ち合わせも兼ねている。
ジェルロは昨日醜態を晒したためか、表情は硬く、目は泳ぎ気味。しかしするべき事はしっかりこなすらしい。
「本日の午前中、私がダブラ村村長に土地使用の許可を得て参ります。午後からはドーズに本格的な宿舎を建設を頼みます」
「おう」
「今日の今日で許可が得られるものかしら?」
「その点はご心配なく。事前に口頭での許可は戴いております」
「それは始めからこの村に開発拠点を置くつもりだったと言うことかしら?」
「その通りです。ダンジョン最寄りのラナファーベは外部の者には少々扱い辛い町なものですから避けたのです」
ルキアスはふと思い出した。
(それであの時キルシルセッカさんはラナファーベに寄らなかったのかな……)
懸念があるなら話してくれれば良かったのにと思わなくもないルキアスだが、あの時話されていても成り行きを変えられたとも思わない。宿に困っただけだろう。何より、もう過ぎた話だ。
「午前中には何も無さそうなので、ぼくはダンジョンに行こうと思います」
「それなら俺も行くぜ。昨日は行かなかったからな」
「ボクも行くとするよ。砲台の調子も確かめなきゃいけないからね」
ザネクとフヨヨンも行くらしい。
「わたしはお留守番してるわ」
「悪いけどあたしも」
メイナーダとシャルウィは何かすることがある様子だ。
「ふーむ。わしもダンジョンの様子を見せて貰うとしようか。タイラクも付き合え」
ドーズはメイナーダとシャルウィに目をやってから言った。
「俺は別に行く必要……、わーったよ俺もダンジョンに行くぜ」
タイラクはメイナーダからじとっとした目で見られているのに気付いてドーズに同意した。
女には男に内緒にしたい何かがあるらしい。
そうしてルキアスはダンジョンへとやって来た。
ただ、第一階層に入ってみると、少し様子がおかしい。
「ザネクは昨日は来なかったんだよね?」
「来てないぞ」
「二日分にしては魔石が少ないよね?」
前回の回収は一昨日だった。魔物の勢いは相変わらず衰える様子が無い。だったら二日分の魔石が落ちている筈だ。ところが落ちているのは一日分にも満たない量でしかない。
考えられるのは他の誰かによる回収だ。その誰かは恐らくラナファーベの住人。
「こっちも放置してるだけだから誰かに持って行かれてもどうしようもないさ」
フヨヨンは大雑把であった。
ジェルロは昨日醜態を晒したためか、表情は硬く、目は泳ぎ気味。しかしするべき事はしっかりこなすらしい。
「本日の午前中、私がダブラ村村長に土地使用の許可を得て参ります。午後からはドーズに本格的な宿舎を建設を頼みます」
「おう」
「今日の今日で許可が得られるものかしら?」
「その点はご心配なく。事前に口頭での許可は戴いております」
「それは始めからこの村に開発拠点を置くつもりだったと言うことかしら?」
「その通りです。ダンジョン最寄りのラナファーベは外部の者には少々扱い辛い町なものですから避けたのです」
ルキアスはふと思い出した。
(それであの時キルシルセッカさんはラナファーベに寄らなかったのかな……)
懸念があるなら話してくれれば良かったのにと思わなくもないルキアスだが、あの時話されていても成り行きを変えられたとも思わない。宿に困っただけだろう。何より、もう過ぎた話だ。
「午前中には何も無さそうなので、ぼくはダンジョンに行こうと思います」
「それなら俺も行くぜ。昨日は行かなかったからな」
「ボクも行くとするよ。砲台の調子も確かめなきゃいけないからね」
ザネクとフヨヨンも行くらしい。
「わたしはお留守番してるわ」
「悪いけどあたしも」
メイナーダとシャルウィは何かすることがある様子だ。
「ふーむ。わしもダンジョンの様子を見せて貰うとしようか。タイラクも付き合え」
ドーズはメイナーダとシャルウィに目をやってから言った。
「俺は別に行く必要……、わーったよ俺もダンジョンに行くぜ」
タイラクはメイナーダからじとっとした目で見られているのに気付いてドーズに同意した。
女には男に内緒にしたい何かがあるらしい。
そうしてルキアスはダンジョンへとやって来た。
ただ、第一階層に入ってみると、少し様子がおかしい。
「ザネクは昨日は来なかったんだよね?」
「来てないぞ」
「二日分にしては魔石が少ないよね?」
前回の回収は一昨日だった。魔物の勢いは相変わらず衰える様子が無い。だったら二日分の魔石が落ちている筈だ。ところが落ちているのは一日分にも満たない量でしかない。
考えられるのは他の誰かによる回収だ。その誰かは恐らくラナファーベの住人。
「こっちも放置してるだけだから誰かに持って行かれてもどうしようもないさ」
フヨヨンは大雑把であった。
1
お気に入りに追加
823
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる