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407 救助に向かった彼らは
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メイナーダとタイラクはたまたま通り道に居たから轢いた体で魔物を倒して回った。これは見咎められた時の言い訳作りだが、存外良い方に働いた。低階層に通う探索者に全力で走る二人の姿を正確に捉えられた者はほぼ居ないのだ。人影が通り過ぎるのを感じるのが精々だった。
二人のお陰で命拾いした探索者は居る。だがそれは意外に少ない。見付けやすい大型の魔物だったのも関係しているだろう。第一階層は見晴らしが良く、第二階層は魔物が樹木をなぎ倒す音が遠くからでも聞こえると言った塩梅だ。そしてその大型の魔物を見付けたなら逃げるか隠れてやり過ごす。戦っても勝てないと判る魔物に挑む命知らずはそう多くはなかった。
逃げられなかった、あるいは無謀にも狩ろうとした者達が魔物と対峙した。タイラクやメイナーダに助けられたのはそんな彼らだ。
ただ対峙していた彼らにはタイラクやメイナーダが見えていなかった。魔物に意識を集中していたため、気付いた時には魔物が死んでいたように見えたのだ。
突然降って湧いたかのような魔物の骸。危機が去り、それが目前にあれば気になるものだ。ある者は喜々として換金率の高い部位を剥ぎ取りに掛かり、ある者は「倒した誰かが来たら返す」と言い訳しながら剥ぎ取りに掛かり、ある者は自分が倒したのではないからと放置した。
いずれにしても後々それぞれに幾らかの――人によっては別の場所での――後悔は避けられないが、その度合はその後の運と生き方次第だろう。
ハーベイとヘルドは第一〇階層を慎重に進む。途中、魔物を見付けたらその動きを確かめ、単に移動しているだけなら隠れてやり過ごす。二人掛かりでも倒せそうにないので戦闘は避ける。
だが絶望的な戦いを強いられている者が居たならそうもして居られない。背を向けている魔物の向こうに見えたのは、そんな戦いに身を置く剣を構えた人影だ。
ヘルドは『収納』から銛を取り出し、魔物へと駆けた。そして魔物の背を駆け上がって銛を首筋に突き立てる。
幾らも刺さらなかった。
「クラーケンのようには行かねぇ!」
クラーケンなら皮が柔らかくて銛が深く刺さる。しかし目の前のトカゲのような魔物の皮は硬かった。
それでも気は引けたようだ。魔物が首を振ってヘルドを振り落とす。ヘルドはそれに逆らわないように着地し、魔物と壁の隙間を後ろへと走る。すると、魔物は向きを変えて追い掛けて来た。
ヘルドとハーベイは並んで逃げた。
「なあ! これって救助っぽくなくないか!?」
「しかし他にやりようもないぞ!」
消防隊からはかけ離れた救助方法でも、誰かが助かるなら善しとする二人であった。
二人のお陰で命拾いした探索者は居る。だがそれは意外に少ない。見付けやすい大型の魔物だったのも関係しているだろう。第一階層は見晴らしが良く、第二階層は魔物が樹木をなぎ倒す音が遠くからでも聞こえると言った塩梅だ。そしてその大型の魔物を見付けたなら逃げるか隠れてやり過ごす。戦っても勝てないと判る魔物に挑む命知らずはそう多くはなかった。
逃げられなかった、あるいは無謀にも狩ろうとした者達が魔物と対峙した。タイラクやメイナーダに助けられたのはそんな彼らだ。
ただ対峙していた彼らにはタイラクやメイナーダが見えていなかった。魔物に意識を集中していたため、気付いた時には魔物が死んでいたように見えたのだ。
突然降って湧いたかのような魔物の骸。危機が去り、それが目前にあれば気になるものだ。ある者は喜々として換金率の高い部位を剥ぎ取りに掛かり、ある者は「倒した誰かが来たら返す」と言い訳しながら剥ぎ取りに掛かり、ある者は自分が倒したのではないからと放置した。
いずれにしても後々それぞれに幾らかの――人によっては別の場所での――後悔は避けられないが、その度合はその後の運と生き方次第だろう。
ハーベイとヘルドは第一〇階層を慎重に進む。途中、魔物を見付けたらその動きを確かめ、単に移動しているだけなら隠れてやり過ごす。二人掛かりでも倒せそうにないので戦闘は避ける。
だが絶望的な戦いを強いられている者が居たならそうもして居られない。背を向けている魔物の向こうに見えたのは、そんな戦いに身を置く剣を構えた人影だ。
ヘルドは『収納』から銛を取り出し、魔物へと駆けた。そして魔物の背を駆け上がって銛を首筋に突き立てる。
幾らも刺さらなかった。
「クラーケンのようには行かねぇ!」
クラーケンなら皮が柔らかくて銛が深く刺さる。しかし目の前のトカゲのような魔物の皮は硬かった。
それでも気は引けたようだ。魔物が首を振ってヘルドを振り落とす。ヘルドはそれに逆らわないように着地し、魔物と壁の隙間を後ろへと走る。すると、魔物は向きを変えて追い掛けて来た。
ヘルドとハーベイは並んで逃げた。
「なあ! これって救助っぽくなくないか!?」
「しかし他にやりようもないぞ!」
消防隊からはかけ離れた救助方法でも、誰かが助かるなら善しとする二人であった。
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