生活魔法は万能です

浜柔

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315 定食二つ

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 ルキアスはガノスの後を追い掛けながらふと考えた。

(ガノスさんはいつリュミアさんに聞いたんだろう?)

 ルキアスがソロ活動を考えているだけの段階でなら、昨日にも時間があった筈だ。わざわざ今日待ち伏せるまでもない。ソロ活動が確定した後だったなら、今日、エリリースの探索がルキアスより早く切り上げられたことを意味する。

「ガノスさん、ぼくが迷走しているらしいって、いつ聞いたんですか?」
「ん? そりゃ今さっきだ」
「そうでしたか。良かった……」
「何が?」
「あ、いえ、エリリースの……、友人の今日の無事が確認されたようなものなので」

 リュミアが追って行ったので万が一も無いとは思っていても、エリリースとシャルウィの二人だけの探索を心配しない訳じゃない。何事も無く終わったのを早く知れるなら、これに越したことはないのだ。

「エリリース? あー、リュミアのアレか。アレなら今日は昼過ぎに終わったみたいだな」
「そうでしたか」

(行き違いになったかな?)

 ルキアスは二人が第九階層に行ったように考えているが、シャルウィもそこまで無茶はしていない。当て付けのように行った先は第二階層でしかなく、行き違いからは程遠い状況で探索を終えていた。




「オークカツ定食二つな」

 ガノスは飲食店で案内された席に腰を落ち着けて注文を入れると、ルキアスに向き直る。

「一応謝っておく。すまんな。俺はお前さんは一ヶ月もしない内に死んでしまうと予想したが、大外れだった」
「え……?」

 ルキアスはそんな評価をされているとは知らなかったので面食らった。

「おっと、その様子だとザネクにも聞いてなかったんだな。失敗したな、こりゃ……」

 ガノスは頭を掻いて苦笑した。
 ルキアスはどうしてそう思ったかは尋ねない。ベクロテに来て直ぐの頃を思い浮かべれば、死にそうに思われてしょうがないと思わざるを得ない。ベクロテまでの旅の途中でも散々そう思われたのだから今更だ。実際に死にかけたことだってある。運が無ければ狼に食い殺されていたかも知れないし、オークに撲殺されていたかも知れない。
 注文した料理も届き、食事を始める。
 ルキアスは料理を食べながら問われるままに近況を話した。どうしてまたソロ探索をしようとしたか、つまり危うくユアを死なせるところだったことについてもだ。ガノスの聞きたかったのはそこだったらしい。

「そう言うことか。ザネクのヤツ、そこんとこ黙りだったからな」
「ザネクですか?」
「ああ。妙に落ち込んでるようだったから話を聞こうとしても何も言わなくてな。そんな事情なら言いにくいのも確かだな」

 家族だからこそ話しづらかったのだろう。ルキアスにも想像できないものではない。一つ頷くことで相槌を入れた。
 ガノスはもう料理を食べ終わっている。そのガノスがテーブルに肘を突いて少し身を乗り出した。

「だがソロでやろうってのは少し違うんじゃないか?」
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