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238 丁字路
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隊列はいつもの通りに前にザネク、後にルキアスだ。違いがあるのはルキアスが第二階層では差さずにいた『傘』を背後にしっかり張っていることと、ザネクもまた前に『傘』を張っていることだろう。
ここに来て、ザネクはこれまでになく慎重だ。曲がり角や脇道など、見通しの利かない場所が在れば姿見ほどの大きさの『鏡』を出して慎重にその先を確認する。
そんなザネクの様子に、ルキアスは独りなら第五階層を覗くだけとザネクが言っていたのを思い出した。そしてザネクがこれほど慎重な理由も幾つか目かの丁字路で目の当たりにする。
その丁字路でもザネクが『鏡』を出すと、ホーンラビットが映し出された。ルキアスが「ここにもホーンラビットが」と思う暇もあればこそ、そのホーンラビットが瞬く間に大写しになる。『鏡』に向かってダッシュしたのだ。
ホーンラビットは『鏡』に映るザネクへ一直線に突進すると、そのまま『鏡』を突き破り、勢いそのままで壁に激突、自滅する。
これに心胆寒からしめられたのはルキアスだ。あの勢いで不意を突かれてしまったらと想像するだに怖ろしい。
だが足を竦めている場合ではない。ホーンラビットは他にも居て、それが角を曲がって迫り来る。二羽だ。ルキアスは一瞬だけ後方を確認すると、ザネクの横に出てその一方へと銃を構え、引き金を引く。第一階層なら必中のタイミングだった。だが。
(避けられた!?)
第一階層のホーンラビットより素速い。一回り大きくもあるように見える。
ルキアスは即座に次弾を装填する。だがホーンラビットの足の方が少々速かった。狙いを定める前に刺突されるタイミング。
「『傘』!」
一時的に後方が無防備になってもここは目前を優先だ。鈍い音を立てて『傘』にぶつかったホーンラビットがその場で尻餅を搗く。
その隙をザネクは見逃さなかった。もう一羽を斬った返す剣でホーンラビットの首を斬り飛ばす。
さあ、これで一安心。……とも行かない。集団は三羽だけでなく、他にもまだ居るかも知れない。戦いに引き寄せられるように別の魔物が来るかも知れない。だから後方も再度確認しなければと、ルキアスが振り返ろうとした時。警戒用に張っていた細長い『鏡』の一枚が割れた。
慌てて確認するルキアス。その眼前には第二階層のものより少し大きいゴブリンが牙を剥き出しにしていた。棍棒も持たず、牙を剥き出しにしたまま躍り掛かって来るゴブリン。噛み付く意欲満々だ。
「うおわっ!」
ルキアスは思わずサイドステップで飛び退った。それが奏功してゴブリンの牙が宙を噛む。
「ザネク、後!」
目前の難からは逃れられても、ゴブリンを狙えばザネクが射線上に入る位置になってしまっていた。ザネクに警告を発する以外、何もできないルキアスだ。
しかしザネクは先のルキアスの叫び声で既に異変に気付いていたので危なげなくゴブリンを倒すのだった。
ここに来て、ザネクはこれまでになく慎重だ。曲がり角や脇道など、見通しの利かない場所が在れば姿見ほどの大きさの『鏡』を出して慎重にその先を確認する。
そんなザネクの様子に、ルキアスは独りなら第五階層を覗くだけとザネクが言っていたのを思い出した。そしてザネクがこれほど慎重な理由も幾つか目かの丁字路で目の当たりにする。
その丁字路でもザネクが『鏡』を出すと、ホーンラビットが映し出された。ルキアスが「ここにもホーンラビットが」と思う暇もあればこそ、そのホーンラビットが瞬く間に大写しになる。『鏡』に向かってダッシュしたのだ。
ホーンラビットは『鏡』に映るザネクへ一直線に突進すると、そのまま『鏡』を突き破り、勢いそのままで壁に激突、自滅する。
これに心胆寒からしめられたのはルキアスだ。あの勢いで不意を突かれてしまったらと想像するだに怖ろしい。
だが足を竦めている場合ではない。ホーンラビットは他にも居て、それが角を曲がって迫り来る。二羽だ。ルキアスは一瞬だけ後方を確認すると、ザネクの横に出てその一方へと銃を構え、引き金を引く。第一階層なら必中のタイミングだった。だが。
(避けられた!?)
第一階層のホーンラビットより素速い。一回り大きくもあるように見える。
ルキアスは即座に次弾を装填する。だがホーンラビットの足の方が少々速かった。狙いを定める前に刺突されるタイミング。
「『傘』!」
一時的に後方が無防備になってもここは目前を優先だ。鈍い音を立てて『傘』にぶつかったホーンラビットがその場で尻餅を搗く。
その隙をザネクは見逃さなかった。もう一羽を斬った返す剣でホーンラビットの首を斬り飛ばす。
さあ、これで一安心。……とも行かない。集団は三羽だけでなく、他にもまだ居るかも知れない。戦いに引き寄せられるように別の魔物が来るかも知れない。だから後方も再度確認しなければと、ルキアスが振り返ろうとした時。警戒用に張っていた細長い『鏡』の一枚が割れた。
慌てて確認するルキアス。その眼前には第二階層のものより少し大きいゴブリンが牙を剥き出しにしていた。棍棒も持たず、牙を剥き出しにしたまま躍り掛かって来るゴブリン。噛み付く意欲満々だ。
「うおわっ!」
ルキアスは思わずサイドステップで飛び退った。それが奏功してゴブリンの牙が宙を噛む。
「ザネク、後!」
目前の難からは逃れられても、ゴブリンを狙えばザネクが射線上に入る位置になってしまっていた。ザネクに警告を発する以外、何もできないルキアスだ。
しかしザネクは先のルキアスの叫び声で既に異変に気付いていたので危なげなくゴブリンを倒すのだった。
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