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239 不自然な空間
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ルキアスとザネクの探索は地図を見ながらだ。一枚一〇〇〇ダールなのだから買わないのは考えられないし、多少乱雑に扱っても気にならない。主要な十字路などでは折角買った座標表示の魔道具で座標を調べ、その値を地図に書き込んで行く。
そうしてルキアスが最初に気付いたのは第六階層が第五階層までと比べて極端に狭いことだ。壁に阻まれずに真っ直ぐ歩けば外周の壁まで一時間と掛からない。
「この階層って凄く狭くない?」
ルキアスはザネクに素直に疑問を投げ掛けた。
するとザネクは答えを用意していたかのように答える。
「むしろ第五階層までが広すぎるんだ。第二〇階層まではその煽りで狭くなってると言われている」
「そうなんだ。でも理由まで答えて貰えるなんて思わなかったよ……」
「俺も不思議で兄ちゃんに聞いたからな!」
誰しもが抱く疑問だったようだ。
更に探索を続ける内、今度は地図と座標とで辻褄の合わない場所が見えて来た。
「ねぇ、ここって座標が地図にあるより離れすぎてない?」
そこは袋小路になった場所で、地図ではその突き当たりの向こうには別の回廊が直ぐ横に走っているように描かれている。だが、魔道具の表示では“5m”程度遠い。つまり実際よりも袋小路が深く描かれているように見える。
「確かに離れてるな……」
「で、もしかしない?」
もしかするのはここまで同様に宝箱だ。
「お、そうか。行ってみるか?」
「うん」
直近の目標は決めた。でもただ行くのは勿体ない。二人は途中の回廊の座標を書き加えながら袋小路へと行った。
改めて座標を調べ、地図に書き込んで座標と見比べる。“1m”の差も無い。計測場所の誤差の範囲だ。壁の向こうで垂直に通る回廊には複数の座標を書いているので書き間違いが考えられない。となれば、地図と齟齬のある空間がそこに在る。
「特に変わった所は無いよね……。どうしよう?」
「叩いて見るか」
ザネクは手の平で壁を叩きながら答えた。何か仕掛けが在るなら硬い物で叩けば変わった音もするだろう。
壁は石造りだ。様々な大きさの石が隙間無く組み合わさっている。こんな壁を素手で叩いていたら手がどうかなってしまうので、ルキアスはハンマーで、ザネクはナイフの柄で叩いて回る。すると壁の右下隅に近い場所と左下隅に近い場所とに音の違う石が在った。
「音が違った!」
からくりっぽくてちょっとだけテンションの上がったルキアスだ。
「だけどこれ、どうしたらいいんだろう?」
ノーヒントだからそこをどうすれば良いかが判らない。今は撫でてみるのが精々だ。押すのか、引くのか、それとも横にずらすのか。だが実際に撫でてみれば奇妙な段差を感じた。
(段差?)
妙に気になって撫でていると、少し力が入ってしまったのだろう。ガコッとその石が奥へと引っ込んだ。
そうしてルキアスが最初に気付いたのは第六階層が第五階層までと比べて極端に狭いことだ。壁に阻まれずに真っ直ぐ歩けば外周の壁まで一時間と掛からない。
「この階層って凄く狭くない?」
ルキアスはザネクに素直に疑問を投げ掛けた。
するとザネクは答えを用意していたかのように答える。
「むしろ第五階層までが広すぎるんだ。第二〇階層まではその煽りで狭くなってると言われている」
「そうなんだ。でも理由まで答えて貰えるなんて思わなかったよ……」
「俺も不思議で兄ちゃんに聞いたからな!」
誰しもが抱く疑問だったようだ。
更に探索を続ける内、今度は地図と座標とで辻褄の合わない場所が見えて来た。
「ねぇ、ここって座標が地図にあるより離れすぎてない?」
そこは袋小路になった場所で、地図ではその突き当たりの向こうには別の回廊が直ぐ横に走っているように描かれている。だが、魔道具の表示では“5m”程度遠い。つまり実際よりも袋小路が深く描かれているように見える。
「確かに離れてるな……」
「で、もしかしない?」
もしかするのはここまで同様に宝箱だ。
「お、そうか。行ってみるか?」
「うん」
直近の目標は決めた。でもただ行くのは勿体ない。二人は途中の回廊の座標を書き加えながら袋小路へと行った。
改めて座標を調べ、地図に書き込んで座標と見比べる。“1m”の差も無い。計測場所の誤差の範囲だ。壁の向こうで垂直に通る回廊には複数の座標を書いているので書き間違いが考えられない。となれば、地図と齟齬のある空間がそこに在る。
「特に変わった所は無いよね……。どうしよう?」
「叩いて見るか」
ザネクは手の平で壁を叩きながら答えた。何か仕掛けが在るなら硬い物で叩けば変わった音もするだろう。
壁は石造りだ。様々な大きさの石が隙間無く組み合わさっている。こんな壁を素手で叩いていたら手がどうかなってしまうので、ルキアスはハンマーで、ザネクはナイフの柄で叩いて回る。すると壁の右下隅に近い場所と左下隅に近い場所とに音の違う石が在った。
「音が違った!」
からくりっぽくてちょっとだけテンションの上がったルキアスだ。
「だけどこれ、どうしたらいいんだろう?」
ノーヒントだからそこをどうすれば良いかが判らない。今は撫でてみるのが精々だ。押すのか、引くのか、それとも横にずらすのか。だが実際に撫でてみれば奇妙な段差を感じた。
(段差?)
妙に気になって撫でていると、少し力が入ってしまったのだろう。ガコッとその石が奥へと引っ込んだ。
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