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237 第六階層
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ルキアスとザネクは第六階層に進出だ。
ただルキアスはそこがもう第六階層だと理解するまでに時間を要した。ここまで歩いて来た螺旋回廊が広間を挟んで真っ直ぐ平坦に続いているようにしか見えなかったのだ。
「第六階層ってもっと先じゃないの?」
第五階層からここまで、第四階層から第五階層までの半分以下の時間しか経っていない。このせいで余計に「まだ」と感じるのだ。
「下への階段はそっちに在るぞ」
ザネクが広間に出て右を指し示す。ルキアスも広間に出て右を見れば、今出て来たのと同じ壁面にちょうど螺旋の直径くらいの距離で回廊らしきものが在る。そこまで行かなければ昇っているか降っているかも見えないが、ザネクがここで嘘を言う筈もない。位置的にもちょうど螺旋回廊の柱に入る場所。上に伸びれば回廊にぶつかるのだから、下の階層への道が続くほかあるまい。
となれば、この階層を素通りして下へ行けると言うことだ。
「この階層の探索をしなくても下に行けるんだ?」
「何を今更。上の階層もそうだったろ」
第五階層までは下の階層に降りるのに螺旋回廊の柱二、三本分は離れた場所まで歩く必要があった。だがそれだけだ。魔物を倒す必要も無く、道を探すまでもない。これでは探索の範疇に入るまい。
この第六階層と違うとすれば、階層の構造的に傍に在っても当たり前に受け止められることか。
「だったね……」
ルキアスは同意するが、もやっと思う事もある。
「だけどザネクが第六階層から先を『見てのお楽しみ』なんて言うから、どんな凄い所かと思ったよ」
「ある意味凄かったろ?」
「あ、うん……。驚くほどワクワクしないって意味では凄いよ」
「だろ!」
ザネクは呵々と笑った。あまりにテンションが下がる光景だから秘密にしたのだと言う。「何だかなぁ」なルキアスだ。
「もっと下の階層もこんな感じなの?」
「俺の知る限りはそうだな。二〇階層までこんな感じだ」
「そうなんだ……。だけどそれだと大抵の人が階層を素通りするんじゃ?」
「素通りしたければさせればいいのさ。実力も無いのに下の階層に行って損するのは本人だ」
いきなり強い魔物と戦うことになる。苦戦で済めば御の字だろう。代償が命であっても不思議ではない。
「確かに」
「で、ルキアスはどうしたい?」
「勿論この階層の探索をするよ」
「当然だな」
ザネクはうんうんと頷く。
「そんじゃ、行くとしようぜ」
探索に出発だ。
ただルキアスはそこがもう第六階層だと理解するまでに時間を要した。ここまで歩いて来た螺旋回廊が広間を挟んで真っ直ぐ平坦に続いているようにしか見えなかったのだ。
「第六階層ってもっと先じゃないの?」
第五階層からここまで、第四階層から第五階層までの半分以下の時間しか経っていない。このせいで余計に「まだ」と感じるのだ。
「下への階段はそっちに在るぞ」
ザネクが広間に出て右を指し示す。ルキアスも広間に出て右を見れば、今出て来たのと同じ壁面にちょうど螺旋の直径くらいの距離で回廊らしきものが在る。そこまで行かなければ昇っているか降っているかも見えないが、ザネクがここで嘘を言う筈もない。位置的にもちょうど螺旋回廊の柱に入る場所。上に伸びれば回廊にぶつかるのだから、下の階層への道が続くほかあるまい。
となれば、この階層を素通りして下へ行けると言うことだ。
「この階層の探索をしなくても下に行けるんだ?」
「何を今更。上の階層もそうだったろ」
第五階層までは下の階層に降りるのに螺旋回廊の柱二、三本分は離れた場所まで歩く必要があった。だがそれだけだ。魔物を倒す必要も無く、道を探すまでもない。これでは探索の範疇に入るまい。
この第六階層と違うとすれば、階層の構造的に傍に在っても当たり前に受け止められることか。
「だったね……」
ルキアスは同意するが、もやっと思う事もある。
「だけどザネクが第六階層から先を『見てのお楽しみ』なんて言うから、どんな凄い所かと思ったよ」
「ある意味凄かったろ?」
「あ、うん……。驚くほどワクワクしないって意味では凄いよ」
「だろ!」
ザネクは呵々と笑った。あまりにテンションが下がる光景だから秘密にしたのだと言う。「何だかなぁ」なルキアスだ。
「もっと下の階層もこんな感じなの?」
「俺の知る限りはそうだな。二〇階層までこんな感じだ」
「そうなんだ……。だけどそれだと大抵の人が階層を素通りするんじゃ?」
「素通りしたければさせればいいのさ。実力も無いのに下の階層に行って損するのは本人だ」
いきなり強い魔物と戦うことになる。苦戦で済めば御の字だろう。代償が命であっても不思議ではない。
「確かに」
「で、ルキアスはどうしたい?」
「勿論この階層の探索をするよ」
「当然だな」
ザネクはうんうんと頷く。
「そんじゃ、行くとしようぜ」
探索に出発だ。
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