生活魔法は万能です

浜柔

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77 斧

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 生活術の講習が終わった後、ルキアスは地下一階の商店街へと向かった。
 銃身の作成にも問題があった。手持ちの鉄パイプは小指がすっぽり入るくらいの太さがある。これではあまりに太すぎる。もっと細いパイプでなければ弾丸が大きくなって材料が勿体ない上、遠くに飛ばない。遠くを狙えなければ、弾丸を外した時に魔物から逃げられなくなる可能性が高くなる。
 もっと細いパイプ、それも精度が要求される。自作の精度には深刻な問題があるから、特に精度が必要なパーツのこと、安く買えるようなら奮発するのも吝かではないルキアスである。
 雑貨店を覗いてみる。

(ストローはあったけど……)

 そこそこ肉厚だから、材質が鉄でもっと長ければ使えそうな形ではある。しかし木のような何かでしかないので使えない。

(考えてみたら、全く使い道が無さそうなパイプなんて売ってるほうが不思議だな。
 だけど鍛冶屋さんに頼むのもな……)

 もう何年も昔に故郷でのことだが、鉄屑を剣に加工して貰うだけでルキアスにとって絶望的に高価だったことは忘れていない。忘れられないとも言う。
 どうしたものかと首を捻り捻り考える最中に箸が目に入った。さっきのストローと同じ材質のようだが、言うなればただの棒だ。
 しかしただの棒が良かった。閃きがあった。

(木で棒を作って鉄を巻いて、中の木を燃やしてしまえばパイプになる!)

 何かを芯にして鉄を巻いたのでは芯を引き抜けなくなってしまう。しかし木なら時間が掛かったとしても燃やせば抜けるのだ。木なら加工しやすく真っ直ぐにも出来るだろう。
 そうとなったら木材の調達だが、これも買おうと思えばそれなりに高い。殆ど資金ゼロ縛りのようなものだから、木を伐採して自分で加工するのが必然だ。

(まずは斧かな……)

 ルキアスは手持ちで残っている鉄屑を総動員して小さな斧の刃をこさえた。
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