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76 生活術
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また一夜明けて、講習は生活術の日だ。体術よりも一時間早く始まるため、ルキアスは朝からは銃作りに勤しまずに今後必要な物について思考した。
(必要なのは弾丸を通すパイプ、弾丸を籠める口、取っ手、引き金に何かが当たったりして引いてしまわないようにするカバー、タンクが熱くなるから触っても大丈夫にする覆い……。まだまだ色々あるなぁ)
銃身、装弾口、グリップ、トリガーガード、断熱カバーである。断熱には木材を使う。断熱目的でなくても鉄でなくて済む部分は木材の方が軽く、加工もし易いだろう。
ルキアスはふと気付いた。
(木材が無い。どうしよう……)
通りすがりの町ならともかく、ベクロテでゴミ漁りはしたくない。この町を追い立てられたら居場所が無くなる。
(安く手に入れる方法を探すしかないよね)
そう結論付けたところで講習の時間も近くなり、ルキアスは訓練場へと向かった。教官が来るまでは受け身の復習である。
生活術の講師は生存術の助手もしていたノクルだった。逆に生存術の講師をしていたリュミアが助手のようだ。
「今日は野営の実習だよ……。ここじゃできないから今からダンジョンに行くよ……」
一〇人ほど集まっていた受講者達はノクルの後に続いてダンジョンへと向かう。特に受ける必要は無さそうではあったが、ルキアスも何か参考になるならと考えて参加した。
第一階層に入り、暫く歩く。十五分程度で林に行き当たった。
「ここで各自竈を作って火を熾すまでするよ……」
まずはノクルが見本を見せる。握り拳の三倍ほどの石を組み合わせて竈を作り、枯葉、小枝、少し太い枝を順に組み上げてマッチで火を点ける。ここまでほんの十五分程度であった。
「薪を組み上げるコツは適度に隙間を空けることだよ……。言い忘れてたけど、今日は生活魔法を使わないよ……」
ルキアスは一瞬固まった。マッチなんて持っていないのだ。しかしそんな困惑を突き破るようにチャーラのパンパンと手を叩く音が響いた。
「さあ、始めて!」
他の受講者が銘々に動き始め、ルキアスもまた流されるように薪拾いを始めた。火の点け方は竈を組んだ後で考えれば良いのだ。
程なくして薪を集め終わり、また流されるままに竈を組む。薪を積み重ねる途中でふと気付いた。
(ここで木材も採れるんじゃ……)
しかし勝手に木を伐採して良いものかが判らない。そして判らないなら聞くに限る。だが聞くのは講習の後だろう。
ルキアスはついつい思考に耽った。
「何か困った事でも……?」
ルキアスはノクルに話し掛けられた。このことで自分の手が止まっていたことにも遅ればせながら気付く。
「あ……」
ついでに困った事にも思いを巡らして、マッチを持ってないのも思い出した。
「マッチを持っていないんですが……」
「『着火』が使えるならそれでいい……」
マッチは『着火』が使えない、あるいは不得意な人のためにある。無理に使うのは講習の意義に反することなのだ。それに、道具も無く魔法も使えない状況で火を点けるのは生存術の範疇であった。
「判りました」
ルキアスは『着火』で枯葉に火を点ける。しかし一旦着いたかのように見えた火はあっさり消えた。
「組み方が悪かったね……。空気の通り道をしっかり作るように……」
「はい」
再度挑戦だ。しかしルキアスの焚き火が燃え上がったのは講習の時間の終わりギリギリだった。ずっと『加熱』を使っていた身には難易度が高かった。
ルキアスは講習の後で木の伐採についてノクルに尋ねた。すると、この林の木なら自分で切って自分で使う分には大丈夫だとの答えを得た。商売にするのはまずいらしい。商業的な伐採は別の森でもっと大掛かりに利権なども絡んで行われているらしい。
(必要なのは弾丸を通すパイプ、弾丸を籠める口、取っ手、引き金に何かが当たったりして引いてしまわないようにするカバー、タンクが熱くなるから触っても大丈夫にする覆い……。まだまだ色々あるなぁ)
銃身、装弾口、グリップ、トリガーガード、断熱カバーである。断熱には木材を使う。断熱目的でなくても鉄でなくて済む部分は木材の方が軽く、加工もし易いだろう。
ルキアスはふと気付いた。
(木材が無い。どうしよう……)
通りすがりの町ならともかく、ベクロテでゴミ漁りはしたくない。この町を追い立てられたら居場所が無くなる。
(安く手に入れる方法を探すしかないよね)
そう結論付けたところで講習の時間も近くなり、ルキアスは訓練場へと向かった。教官が来るまでは受け身の復習である。
生活術の講師は生存術の助手もしていたノクルだった。逆に生存術の講師をしていたリュミアが助手のようだ。
「今日は野営の実習だよ……。ここじゃできないから今からダンジョンに行くよ……」
一〇人ほど集まっていた受講者達はノクルの後に続いてダンジョンへと向かう。特に受ける必要は無さそうではあったが、ルキアスも何か参考になるならと考えて参加した。
第一階層に入り、暫く歩く。十五分程度で林に行き当たった。
「ここで各自竈を作って火を熾すまでするよ……」
まずはノクルが見本を見せる。握り拳の三倍ほどの石を組み合わせて竈を作り、枯葉、小枝、少し太い枝を順に組み上げてマッチで火を点ける。ここまでほんの十五分程度であった。
「薪を組み上げるコツは適度に隙間を空けることだよ……。言い忘れてたけど、今日は生活魔法を使わないよ……」
ルキアスは一瞬固まった。マッチなんて持っていないのだ。しかしそんな困惑を突き破るようにチャーラのパンパンと手を叩く音が響いた。
「さあ、始めて!」
他の受講者が銘々に動き始め、ルキアスもまた流されるように薪拾いを始めた。火の点け方は竈を組んだ後で考えれば良いのだ。
程なくして薪を集め終わり、また流されるままに竈を組む。薪を積み重ねる途中でふと気付いた。
(ここで木材も採れるんじゃ……)
しかし勝手に木を伐採して良いものかが判らない。そして判らないなら聞くに限る。だが聞くのは講習の後だろう。
ルキアスはついつい思考に耽った。
「何か困った事でも……?」
ルキアスはノクルに話し掛けられた。このことで自分の手が止まっていたことにも遅ればせながら気付く。
「あ……」
ついでに困った事にも思いを巡らして、マッチを持ってないのも思い出した。
「マッチを持っていないんですが……」
「『着火』が使えるならそれでいい……」
マッチは『着火』が使えない、あるいは不得意な人のためにある。無理に使うのは講習の意義に反することなのだ。それに、道具も無く魔法も使えない状況で火を点けるのは生存術の範疇であった。
「判りました」
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「組み方が悪かったね……。空気の通り道をしっかり作るように……」
「はい」
再度挑戦だ。しかしルキアスの焚き火が燃え上がったのは講習の時間の終わりギリギリだった。ずっと『加熱』を使っていた身には難易度が高かった。
ルキアスは講習の後で木の伐採についてノクルに尋ねた。すると、この林の木なら自分で切って自分で使う分には大丈夫だとの答えを得た。商売にするのはまずいらしい。商業的な伐採は別の森でもっと大掛かりに利権なども絡んで行われているらしい。
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