2 / 5
陽
琥珀糖
しおりを挟む
杏杏公主は陽の国の高貴な女性です。その名の通り杏色の襦裙を着て杏色の宝石をまとっています。
今、公主の前には金色のお菓子があります。
金色のお菓子は公主の料理人。胡飯さんが作ったものです。
阿雅阿と呼ばれる粉に糖蜜をたっぷりと混ぜ糸を引くまで煮詰めます。
そして液が煮詰まったら四角い型に流し込み、杏の砂糖煮を置いたら再び液を流し入れます。
透明な液体は杏の色を映し金色に輝きます。
それで終わりではありません。冷えたら型から出して三日間乾かします。蜜が結晶化して硬く固まったら出来上がり。
そんな手間のかかるお菓子です。
高貴な女性にふさわしい素敵な金色のお菓子。
公主は胡飯さんに尋ねました。
「このお菓子はいったいなあに?」
そしてほっそりとした指でお菓子をつまみ上げました。
「このお菓子は琥珀糖と申します。宝石の名にふさわしい美しいお菓子でございます」
その場に控えていた侍女はふと気が付きました。金色のお菓子の下に何故か真っ白なお菓子があります。
これはいったい何かしら。そう思って侍女は公主を伺いました。
公主は目を伏せてお茶を飲んでいます。
ああ今だそう思った侍女はこっそり白いお菓子を抜いてつまみ食いをしてしまいました。
パリッとした結晶になった糖蜜をかみ砕いた途端侍女はなんだかしゃべりたくなってしまいました。
「私はこっそり掃除をさぼりました」
公主はいきなり話し始めた侍女に目を見張ります。
「私は時々おやつを食べたのに食べていないと言って追加のお菓子をもらいます」
侍女は冷や汗を流しながらしゃべり続けます。
「どうしたのかしら」
そう言いながら公主は侍女の手にかじりかけの白いお菓子があるのに気が付きました。
「これは琥珀糖ではございませんね」
胡飯さんもその白いお菓子を見ました。
「申し訳ありません、これは琥珀糖ではなく嘘白糖でした」
「嘘白糖?」
「ですから嘘を白状しております」
今、公主の前には金色のお菓子があります。
金色のお菓子は公主の料理人。胡飯さんが作ったものです。
阿雅阿と呼ばれる粉に糖蜜をたっぷりと混ぜ糸を引くまで煮詰めます。
そして液が煮詰まったら四角い型に流し込み、杏の砂糖煮を置いたら再び液を流し入れます。
透明な液体は杏の色を映し金色に輝きます。
それで終わりではありません。冷えたら型から出して三日間乾かします。蜜が結晶化して硬く固まったら出来上がり。
そんな手間のかかるお菓子です。
高貴な女性にふさわしい素敵な金色のお菓子。
公主は胡飯さんに尋ねました。
「このお菓子はいったいなあに?」
そしてほっそりとした指でお菓子をつまみ上げました。
「このお菓子は琥珀糖と申します。宝石の名にふさわしい美しいお菓子でございます」
その場に控えていた侍女はふと気が付きました。金色のお菓子の下に何故か真っ白なお菓子があります。
これはいったい何かしら。そう思って侍女は公主を伺いました。
公主は目を伏せてお茶を飲んでいます。
ああ今だそう思った侍女はこっそり白いお菓子を抜いてつまみ食いをしてしまいました。
パリッとした結晶になった糖蜜をかみ砕いた途端侍女はなんだかしゃべりたくなってしまいました。
「私はこっそり掃除をさぼりました」
公主はいきなり話し始めた侍女に目を見張ります。
「私は時々おやつを食べたのに食べていないと言って追加のお菓子をもらいます」
侍女は冷や汗を流しながらしゃべり続けます。
「どうしたのかしら」
そう言いながら公主は侍女の手にかじりかけの白いお菓子があるのに気が付きました。
「これは琥珀糖ではございませんね」
胡飯さんもその白いお菓子を見ました。
「申し訳ありません、これは琥珀糖ではなく嘘白糖でした」
「嘘白糖?」
「ですから嘘を白状しております」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる