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陽
水郷
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風流を求める男達がいた。
深山の向こうに幾多の文人や画人が題をとった滝があるというのでわざわざ険しい山を踏み越えてその滝を目指していた。
どれほど時が経っただろう。明け方に山のふもとにいて、今は日が沈みそうな。
「あそこは、かつて詩人智丙がその詩に詠んだ岩に似ていませんか」
中でも一番若い男がまるでうずくまった虎のような形の岩を指さした。
「確かに、だが淵はあれど滝はないぞ」
男達の目の前にはあ碧い水をたたえる淵があるが、そのそばの岩場からは全く水が流れてこない。
「おかしいな、確かこのあたりのはずだ」
男の一人が淵を覗き込んでいたがその水に手を突っ込んだ。
「おい、こんな魚見たことがない」
その魚はこうした淵に普通にいる鱒とは似ても似つかぬ姿をしていた。
目がとてつもなく大きく形もおかしい。
「いったいどうなっているんだ」
男達は詩を詠むどころではなく右往左往。そしていきなり先ほどまで何もなかったはずの岩壁から大量の水が流れてきて。
杏杏公主のお気に入りの水槽に侍女は水を流し込みました。
半分は土で石や植物で坪庭を作り半分は水で小魚を話してあります。それを玻璃ですっかり覆った豪勢なものです。
これは何でも遠い場所にある風光明媚な景色をある名工が写し取ったもので公主のお気に入りです。
石はその場所にある岩そっくりに刻んで細部まで再現していました。ですがさすがに滝までは再現できず、侍女が水を継ぎ足すとき滝のある場所から水を流すようにと言われてその通りにしておりました。
侍女は水槽の中に何やら動くものを見たような気がしました。
「あら、メダカが水から出ているわ」
慌てて侍女はメダカを再び水の中に返してやりました。
男達は水に流されるかと思わず目をつぶったがそのあとは何も起こらない。
目を開けても水にぬれてはいなくそしてさっきまでなかった滝を目の前にしていた。
深山の向こうに幾多の文人や画人が題をとった滝があるというのでわざわざ険しい山を踏み越えてその滝を目指していた。
どれほど時が経っただろう。明け方に山のふもとにいて、今は日が沈みそうな。
「あそこは、かつて詩人智丙がその詩に詠んだ岩に似ていませんか」
中でも一番若い男がまるでうずくまった虎のような形の岩を指さした。
「確かに、だが淵はあれど滝はないぞ」
男達の目の前にはあ碧い水をたたえる淵があるが、そのそばの岩場からは全く水が流れてこない。
「おかしいな、確かこのあたりのはずだ」
男の一人が淵を覗き込んでいたがその水に手を突っ込んだ。
「おい、こんな魚見たことがない」
その魚はこうした淵に普通にいる鱒とは似ても似つかぬ姿をしていた。
目がとてつもなく大きく形もおかしい。
「いったいどうなっているんだ」
男達は詩を詠むどころではなく右往左往。そしていきなり先ほどまで何もなかったはずの岩壁から大量の水が流れてきて。
杏杏公主のお気に入りの水槽に侍女は水を流し込みました。
半分は土で石や植物で坪庭を作り半分は水で小魚を話してあります。それを玻璃ですっかり覆った豪勢なものです。
これは何でも遠い場所にある風光明媚な景色をある名工が写し取ったもので公主のお気に入りです。
石はその場所にある岩そっくりに刻んで細部まで再現していました。ですがさすがに滝までは再現できず、侍女が水を継ぎ足すとき滝のある場所から水を流すようにと言われてその通りにしておりました。
侍女は水槽の中に何やら動くものを見たような気がしました。
「あら、メダカが水から出ているわ」
慌てて侍女はメダカを再び水の中に返してやりました。
男達は水に流されるかと思わず目をつぶったがそのあとは何も起こらない。
目を開けても水にぬれてはいなくそしてさっきまでなかった滝を目の前にしていた。
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