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第四章
エリクが話す
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ベルティエ公爵邸に皆が集まる。ロクサーヌとネイサンはその席から外れた。ロクサーヌがネイサンの母親の話をネイサンン聞かせたくない、と。ある程度の顛末はジェラールの口からきくからと言った。今日はマドレーヌはロクサーヌの騎士服を借りていた。アルは陛下から送ってきた新しいカジュアルで上質な服を着ていた。
「まずはある程度、事は終わったと思う。何度も何度も潰しても現れる闇カジノの問題も含めてね」
エリクが全ての報告書を読みまとめた資料を手元に渡す。
「本当に細かいところが気になるようだったら個人的に私に聞きに来てほしい。暫くはちゃんと神殿にいる予定だから」
「……そろそろ神官長の仕事も溜まってるぞ」
エリクの義兄の聖騎士団長がじろっとエリクを見る。
「義兄上におまかせしたので……」
「限度がある、私の権限で出来る所だけはしてある」
エリクは大きくため息をついた。心底書類仕事が嫌いなのだ。ドニが『手伝うから』と慰めている。グランサニュー公爵が嫌な顔をする。そう、この二人すぐに書類仕事に飽きる上に公爵に押し付けてくるのだ。公爵も連鎖するように溜息をついた。
「公爵、大丈夫です。私が見張ってますから」
聖騎士団長がはっきりとエリクを見ながら言った。エリクは一つ咳ばらいをしおもむろに話始めた。
「多少は推測も交えます」
エリクの話はこうだった。
「多分ですが、『淫魔』とアルノー伯が関わり始めたのはかなり前の代からだと思うのです。アラン達はあれを『守り神』だと祖父に言われていたらしい。そしてアルノーの富の素だと。元バスチエの夫の体は闇カジノの奥に腐敗もせずにおいてあり、頭だけがなかった。それがバスチエの体だと分かったのは特徴ある指輪をアランが覚えてたから。アランは捉えていた淫魔の顔をみて『バスチエ男爵の顔だ』と教えてくれました。それと体を見て淫魔は帰りたがりました。が、既に体と頭部というか魂のつながりが途絶えていたようで、元に戻る事は出来ませんでした」
捕らえられた淫魔は戻れなかった事で意気消沈し、この話があった3週間後儚くなった。バスチエの本家も、元夫の生家も引き取りを拒否し最終的には神殿の無縁墓地に葬られている。
「で、バスチエの娘の事だけど」
これはエリクは考えがあってウージェーヌを餌にした。正妃がかなりウージェーヌに執着していた事からもしかしたら正妃の母親も好むのではと思っていたからだ。そう、リディは既にリディでは無くなっていた。
正妃の母親は黒魔術で自分の人格を他者に憑依させることができた。正妃の母親に最低限の人格を残し、聖女に憑依し、聖女からレティに憑依したころに聖女と正妃の母親の体が前バスティエ公爵と共に、離宮に閉じ込められたのだ。自分の腹を痛めた娘には自分の人格ではなく考えを埋め込んだ。
アルノー伯は代々、陛下に仕えてきていたが代々、己が陛下になり代わるべきだ、と思っていたのだ。そう、守護者の生前から代々そう思いそう呪っていた。その中で黒魔術と出会い、何人かの正妃の母親のような『魔女』とも知り合ってきた。アランが狼国で着けられていた『乳母』もその一人だったのではないかというのがエリクの意見だった・
「彼女についてはこの国にまったく記録がのこってないので推測でしかありませんが」
魔物と融合したアランの兄、アレンはまだ生きてはいるらしい。ただ何度も体を修復しても体は一瞬で焦げ落ちるので対処の仕様がないというのが神殿の見立てだった。
「アルノー夫人からももう積極的な治療は諦めると連絡がありました」
エリクは詳しく彼の事を話さなかったがすっと自慰行為をしながらマリアンヌの名を呼ぶだけの物体とアレンはなり果てていた。エリクはそれをグランジエの家に知らせる気はなかったのだ。
多分、アランが『まとも』になって帰ってきたのも大きいのだろうとエリクは思っていた。アルノー家は私財の殆どを没収され、夫人の才覚だけでやっていくしかないのだ。アランはこれから色々叩き込まれて王宮の文官になるしかないので、悪さをする暇もない
これはベルティエ家が乗りかかった船なので面倒をみるらしい。
「で、オヤジが酷い目にあったって?」
「ああ、レティ嬢じゃない、リディ嬢を捕まえる餌になった時にね」
「脱がされるわ、のしかかられるわ、股間にのって腰振るし……」
ウージェーヌはうんざりした顔であった。
「まずはある程度、事は終わったと思う。何度も何度も潰しても現れる闇カジノの問題も含めてね」
エリクが全ての報告書を読みまとめた資料を手元に渡す。
「本当に細かいところが気になるようだったら個人的に私に聞きに来てほしい。暫くはちゃんと神殿にいる予定だから」
「……そろそろ神官長の仕事も溜まってるぞ」
エリクの義兄の聖騎士団長がじろっとエリクを見る。
「義兄上におまかせしたので……」
「限度がある、私の権限で出来る所だけはしてある」
エリクは大きくため息をついた。心底書類仕事が嫌いなのだ。ドニが『手伝うから』と慰めている。グランサニュー公爵が嫌な顔をする。そう、この二人すぐに書類仕事に飽きる上に公爵に押し付けてくるのだ。公爵も連鎖するように溜息をついた。
「公爵、大丈夫です。私が見張ってますから」
聖騎士団長がはっきりとエリクを見ながら言った。エリクは一つ咳ばらいをしおもむろに話始めた。
「多少は推測も交えます」
エリクの話はこうだった。
「多分ですが、『淫魔』とアルノー伯が関わり始めたのはかなり前の代からだと思うのです。アラン達はあれを『守り神』だと祖父に言われていたらしい。そしてアルノーの富の素だと。元バスチエの夫の体は闇カジノの奥に腐敗もせずにおいてあり、頭だけがなかった。それがバスチエの体だと分かったのは特徴ある指輪をアランが覚えてたから。アランは捉えていた淫魔の顔をみて『バスチエ男爵の顔だ』と教えてくれました。それと体を見て淫魔は帰りたがりました。が、既に体と頭部というか魂のつながりが途絶えていたようで、元に戻る事は出来ませんでした」
捕らえられた淫魔は戻れなかった事で意気消沈し、この話があった3週間後儚くなった。バスチエの本家も、元夫の生家も引き取りを拒否し最終的には神殿の無縁墓地に葬られている。
「で、バスチエの娘の事だけど」
これはエリクは考えがあってウージェーヌを餌にした。正妃がかなりウージェーヌに執着していた事からもしかしたら正妃の母親も好むのではと思っていたからだ。そう、リディは既にリディでは無くなっていた。
正妃の母親は黒魔術で自分の人格を他者に憑依させることができた。正妃の母親に最低限の人格を残し、聖女に憑依し、聖女からレティに憑依したころに聖女と正妃の母親の体が前バスティエ公爵と共に、離宮に閉じ込められたのだ。自分の腹を痛めた娘には自分の人格ではなく考えを埋め込んだ。
アルノー伯は代々、陛下に仕えてきていたが代々、己が陛下になり代わるべきだ、と思っていたのだ。そう、守護者の生前から代々そう思いそう呪っていた。その中で黒魔術と出会い、何人かの正妃の母親のような『魔女』とも知り合ってきた。アランが狼国で着けられていた『乳母』もその一人だったのではないかというのがエリクの意見だった・
「彼女についてはこの国にまったく記録がのこってないので推測でしかありませんが」
魔物と融合したアランの兄、アレンはまだ生きてはいるらしい。ただ何度も体を修復しても体は一瞬で焦げ落ちるので対処の仕様がないというのが神殿の見立てだった。
「アルノー夫人からももう積極的な治療は諦めると連絡がありました」
エリクは詳しく彼の事を話さなかったがすっと自慰行為をしながらマリアンヌの名を呼ぶだけの物体とアレンはなり果てていた。エリクはそれをグランジエの家に知らせる気はなかったのだ。
多分、アランが『まとも』になって帰ってきたのも大きいのだろうとエリクは思っていた。アルノー家は私財の殆どを没収され、夫人の才覚だけでやっていくしかないのだ。アランはこれから色々叩き込まれて王宮の文官になるしかないので、悪さをする暇もない
これはベルティエ家が乗りかかった船なので面倒をみるらしい。
「で、オヤジが酷い目にあったって?」
「ああ、レティ嬢じゃない、リディ嬢を捕まえる餌になった時にね」
「脱がされるわ、のしかかられるわ、股間にのって腰振るし……」
ウージェーヌはうんざりした顔であった。
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