174 / 212
第四章
後始末は大人の役目
しおりを挟む
「それだけ父様に執着があるなら母様に憑依すればいいのに」
マドレーヌの言葉にエリクは答える。
「そうだねぇ。ジョアン様は彼女が乗り移るにはまともすぎたんだよ」
「まとも?」
「そう、良き母、良き人、善き女性だったのさ、だからジョアン様やエマ様のような女性には乗り移れない」
「ふうん……?」
「多分、君にも無理、マリアンヌ嬢は乗り移れるように改造されていた最中、って感じ」
「お姉様も巻き込まれていたのね……」
「そうだね。アルノー伯というかあの家に取りついた淫魔は魔の森の瘴気だまりを手に入れたいみたいだから」
「何故?」
「……淫魔の理由はわからないけど、多分あそこから生み出される魔物が必要なのかも」
エリクはアルノー伯の人格を何かに移してもっと情報を得られないかと考えていた。しかし元の正妃の母親、リディの体の中の人格は言う。
「乗り移る器を自分が乗り移れるように調整して複数の体に少しずつ『私』を植え付けていくの。聖女だったあの娘は『自分』というか『魂』のない子だったから何もしなくてよかったけど、普通の体に乗り移るには……、そうね、魂の中に種を撒いてゆっくり育てていくようなものね」
と仲の人格は表現していた。リディはそういう体を何人も育てていたのだ。リディは自白剤をぎりぎりまで投入され、エリクの美貌にぼうっとなっているところをエリクとウージェーヌに情報を搾り取られた。ウージェーヌは俺は男芸者か、とかなり面倒くさそうだった。エリクはにやっと笑い『協力を感謝する』とウージェーヌに告げた。
こんな裏話はマドレーヌやアルには出来なかったがフロランはかなりマイルドではあるが精霊に告げられていた。
アルノー伯は多分、フロランの体を狙っていたのではないかとエリクもドニも思っている。それも二人からは告げなかったが精霊はフロランに告げた。そして憑依されやすい『精霊の愛し子』達を守っている精霊にも大精霊から告げられている。
それを自分が守っている相手に精霊が告げるかどうかは精霊の判断に任された。
北の侯爵邸では夫人の横領が確認された。巧妙に領地経営には影響ない程度の額を嫁いである程度の裁量を任されるようになってから貢いでいた。それはアルノー伯の闇カジノにつぎ込んでいたのだ。
侯爵夫人は昔、正妃の母親にかばってもらった事を覚えていたので結婚してすぐの正妃が孤立していたのに同情し、そのままずるずると正妃のグループに取り込まれて行ったのだという。そして正妃の勢力は下級貴族夫人に広がっていて、淫魔崇拝の宴に参加していた侯爵夫人が把握している下級貴族夫人、令嬢は20人程度いた。年に数回の参加でこれだけというので最終的に歯かなりの数になるのではないかと皆思った。
リディの話を合わせると侯爵夫人を堕して、リディのように器にするには侯爵夫人は固い
ところあり、アルノー伯が性技や甘言を駆使しても今までかかった、と言う事らしい。
ただ、王都は締め付けがきつくなって来たのでこの領地に淫魔崇拝の基点を置くつもりで途中で方向が変わった、のも長引いた理由の一つだったらしい。
「まだまだやることはあるけど、あとは神殿と役人と……侯爵と公爵は逃げられませんからね?ドニ様も。ジェラールとウジェは緊急時には呼ぶけど。これからはミシェル姉上の手腕を借りましょう。国内貴族女性を調査、そして浄化しなければね」
エリクはしっかりとした声と表情で、マドレーヌ達を見た。
「君たちは日常に戻っていい。ただ、……急にもは戻れないだろうし、心に引っかかる事が出来たら私の所に来なさい。話が出来る家族以外の大人でこの事を説明しなくていいのはここにいる大人だしね。私は職業的にそういう職業ではあるし。フロラン、マドレーヌは大丈夫かなと思ってるけど。そうそう、マリアンヌ嬢とクロードのケアも私が行くので君たちがケアしなければ、って頑張らなくていい」
エリクは神官長の顔でマドレーヌたちに言った。
マドレーヌの言葉にエリクは答える。
「そうだねぇ。ジョアン様は彼女が乗り移るにはまともすぎたんだよ」
「まとも?」
「そう、良き母、良き人、善き女性だったのさ、だからジョアン様やエマ様のような女性には乗り移れない」
「ふうん……?」
「多分、君にも無理、マリアンヌ嬢は乗り移れるように改造されていた最中、って感じ」
「お姉様も巻き込まれていたのね……」
「そうだね。アルノー伯というかあの家に取りついた淫魔は魔の森の瘴気だまりを手に入れたいみたいだから」
「何故?」
「……淫魔の理由はわからないけど、多分あそこから生み出される魔物が必要なのかも」
エリクはアルノー伯の人格を何かに移してもっと情報を得られないかと考えていた。しかし元の正妃の母親、リディの体の中の人格は言う。
「乗り移る器を自分が乗り移れるように調整して複数の体に少しずつ『私』を植え付けていくの。聖女だったあの娘は『自分』というか『魂』のない子だったから何もしなくてよかったけど、普通の体に乗り移るには……、そうね、魂の中に種を撒いてゆっくり育てていくようなものね」
と仲の人格は表現していた。リディはそういう体を何人も育てていたのだ。リディは自白剤をぎりぎりまで投入され、エリクの美貌にぼうっとなっているところをエリクとウージェーヌに情報を搾り取られた。ウージェーヌは俺は男芸者か、とかなり面倒くさそうだった。エリクはにやっと笑い『協力を感謝する』とウージェーヌに告げた。
こんな裏話はマドレーヌやアルには出来なかったがフロランはかなりマイルドではあるが精霊に告げられていた。
アルノー伯は多分、フロランの体を狙っていたのではないかとエリクもドニも思っている。それも二人からは告げなかったが精霊はフロランに告げた。そして憑依されやすい『精霊の愛し子』達を守っている精霊にも大精霊から告げられている。
それを自分が守っている相手に精霊が告げるかどうかは精霊の判断に任された。
北の侯爵邸では夫人の横領が確認された。巧妙に領地経営には影響ない程度の額を嫁いである程度の裁量を任されるようになってから貢いでいた。それはアルノー伯の闇カジノにつぎ込んでいたのだ。
侯爵夫人は昔、正妃の母親にかばってもらった事を覚えていたので結婚してすぐの正妃が孤立していたのに同情し、そのままずるずると正妃のグループに取り込まれて行ったのだという。そして正妃の勢力は下級貴族夫人に広がっていて、淫魔崇拝の宴に参加していた侯爵夫人が把握している下級貴族夫人、令嬢は20人程度いた。年に数回の参加でこれだけというので最終的に歯かなりの数になるのではないかと皆思った。
リディの話を合わせると侯爵夫人を堕して、リディのように器にするには侯爵夫人は固い
ところあり、アルノー伯が性技や甘言を駆使しても今までかかった、と言う事らしい。
ただ、王都は締め付けがきつくなって来たのでこの領地に淫魔崇拝の基点を置くつもりで途中で方向が変わった、のも長引いた理由の一つだったらしい。
「まだまだやることはあるけど、あとは神殿と役人と……侯爵と公爵は逃げられませんからね?ドニ様も。ジェラールとウジェは緊急時には呼ぶけど。これからはミシェル姉上の手腕を借りましょう。国内貴族女性を調査、そして浄化しなければね」
エリクはしっかりとした声と表情で、マドレーヌ達を見た。
「君たちは日常に戻っていい。ただ、……急にもは戻れないだろうし、心に引っかかる事が出来たら私の所に来なさい。話が出来る家族以外の大人でこの事を説明しなくていいのはここにいる大人だしね。私は職業的にそういう職業ではあるし。フロラン、マドレーヌは大丈夫かなと思ってるけど。そうそう、マリアンヌ嬢とクロードのケアも私が行くので君たちがケアしなければ、って頑張らなくていい」
エリクは神官長の顔でマドレーヌたちに言った。
6
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。
音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日……
*体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる