137 / 212
第四章
狩りの始まり
しおりを挟む
北の侯爵領にはエディとロゼも行くという。ギルドから所属クランに招集要請があったのだ。今年は雪角ウサギと雪豹が異常発生していて手が欲しいとのことだった。
フロランとアルもその要請に便乗して行くつもりだった。ちゃっかりマドレーヌも一行に混ざっていた。
「マリアンヌ用に雪角を沢山とってマントとマフと帽子にしてもらうんだ」
と張り切っている。雪角ウサギの毛皮はかなり軽く、体力のない子供や女性や老人に人気があった。
「じゃ、俺はおばあ様にって言いたいけど」
フロランの目線の先には祖父の姿があった。マドレーヌとフロランはなにか黒い靄をみたら即エリクに報告すること、とエリク宛の手紙用の石を持たされた。
『回数を考えて石の値段と耐久性などを考えてこちらにしました』
そして二人にこっそりと耳打ちする。
「私が改造した特別製の石です。貴方達に危険があれば私に居場所がわかるのですぐに転移していきますね」
そして二人のマジックバッグを開けさせてなにかをしながら石を入れた。
「これで勝手にどこかに飛ばされても私が追跡できます。アル殿下やマドレーヌ嬢みたいな事があっても大丈夫」
エリクはにっこり笑った後、真顔になった。
「なのでお二人のうちどちらかはアル殿下と常に一緒に居てください。……あっちはあっちで対策を取っていますがね」
エリクの言葉通り、アルはアルで貰ったものがあるという。
「これ守護者様の匂いがするってうちの精霊が小躍りして喜んでるんだけど」
「ああ、大当たり。これは」
銀と緑が入り混じった葉っぱ型のペンダントだった。裏には王太子のしるしである黒百合の印が刻まれている。元の黒百合の印はアルが父親である陛下に渡した、『ふさわしい人間にふさわしい時に渡してください』と。
このアルが貰った石は守護者がアルの位置をいつでも把握できるものだった。あとは全大精霊の力も宿っているとフロランの精霊が言っているらしい。
「そう。全属性の大精霊様たちも俺を追跡できるようになってるみたいだな。……精霊はどこにでもいるからどこに飛ばされても捜しだせるらしい」
フロランが頷く。
「精霊の一人ひとりの力は強いとは言い難いけど、その土地の力を借りられるので」
今回はフロランとアルとエディは雪豹班、マドレーヌと祖父は雪角ウサギ班、ロゼは医療班、となった。ロゼの『声』と風の精霊の力を借りて全域に伝令を伝えられる力を本部に買われたらしい。本部には北の侯爵、アーノルド・アルバート侯爵、グランサニュー公爵夫妻が詰めている。
「各班一日のノルマを狩ったら、余剰分は好きにしていいぞ。これからの時期、どちらの魔獣も毛皮が良く売れるからな」
ギルドから来ている取りまとめ役が大笑いをして冒険者たちに告げる。アルバート家の庭には簡易解体所もできてなにかお祭りの様相も帯びていた。
フロランとアルもその要請に便乗して行くつもりだった。ちゃっかりマドレーヌも一行に混ざっていた。
「マリアンヌ用に雪角を沢山とってマントとマフと帽子にしてもらうんだ」
と張り切っている。雪角ウサギの毛皮はかなり軽く、体力のない子供や女性や老人に人気があった。
「じゃ、俺はおばあ様にって言いたいけど」
フロランの目線の先には祖父の姿があった。マドレーヌとフロランはなにか黒い靄をみたら即エリクに報告すること、とエリク宛の手紙用の石を持たされた。
『回数を考えて石の値段と耐久性などを考えてこちらにしました』
そして二人にこっそりと耳打ちする。
「私が改造した特別製の石です。貴方達に危険があれば私に居場所がわかるのですぐに転移していきますね」
そして二人のマジックバッグを開けさせてなにかをしながら石を入れた。
「これで勝手にどこかに飛ばされても私が追跡できます。アル殿下やマドレーヌ嬢みたいな事があっても大丈夫」
エリクはにっこり笑った後、真顔になった。
「なのでお二人のうちどちらかはアル殿下と常に一緒に居てください。……あっちはあっちで対策を取っていますがね」
エリクの言葉通り、アルはアルで貰ったものがあるという。
「これ守護者様の匂いがするってうちの精霊が小躍りして喜んでるんだけど」
「ああ、大当たり。これは」
銀と緑が入り混じった葉っぱ型のペンダントだった。裏には王太子のしるしである黒百合の印が刻まれている。元の黒百合の印はアルが父親である陛下に渡した、『ふさわしい人間にふさわしい時に渡してください』と。
このアルが貰った石は守護者がアルの位置をいつでも把握できるものだった。あとは全大精霊の力も宿っているとフロランの精霊が言っているらしい。
「そう。全属性の大精霊様たちも俺を追跡できるようになってるみたいだな。……精霊はどこにでもいるからどこに飛ばされても捜しだせるらしい」
フロランが頷く。
「精霊の一人ひとりの力は強いとは言い難いけど、その土地の力を借りられるので」
今回はフロランとアルとエディは雪豹班、マドレーヌと祖父は雪角ウサギ班、ロゼは医療班、となった。ロゼの『声』と風の精霊の力を借りて全域に伝令を伝えられる力を本部に買われたらしい。本部には北の侯爵、アーノルド・アルバート侯爵、グランサニュー公爵夫妻が詰めている。
「各班一日のノルマを狩ったら、余剰分は好きにしていいぞ。これからの時期、どちらの魔獣も毛皮が良く売れるからな」
ギルドから来ている取りまとめ役が大笑いをして冒険者たちに告げる。アルバート家の庭には簡易解体所もできてなにかお祭りの様相も帯びていた。
32
あなたにおすすめの小説
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。
まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」
ええよく言われますわ…。
でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。
この国では、13歳になると学校へ入学する。
そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。
☆この国での世界観です。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
妹の嘘を信じて婚約破棄するのなら、私は家から出ていきます
天宮有
恋愛
平民のシャイナは妹ザロアのために働き、ザロアは家族から溺愛されていた。
ザロアの学費をシャイナが稼ぎ、その時に伯爵令息のランドから告白される。
それから数ヶ月が経ち、ザロアの嘘を信じたランドからシャイナは婚約破棄を言い渡されてしまう。
ランドはザロアと結婚するようで、そのショックによりシャイナは前世の記憶を思い出す。
今まで家族に利用されていたシャイナは、家から出ていくことを決意した。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる