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第四章
狩りの始まり
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北の侯爵領にはエディとロゼも行くという。ギルドから所属クランに招集要請があったのだ。今年は雪角ウサギと雪豹が異常発生していて手が欲しいとのことだった。
フロランとアルもその要請に便乗して行くつもりだった。ちゃっかりマドレーヌも一行に混ざっていた。
「マリアンヌ用に雪角を沢山とってマントとマフと帽子にしてもらうんだ」
と張り切っている。雪角ウサギの毛皮はかなり軽く、体力のない子供や女性や老人に人気があった。
「じゃ、俺はおばあ様にって言いたいけど」
フロランの目線の先には祖父の姿があった。マドレーヌとフロランはなにか黒い靄をみたら即エリクに報告すること、とエリク宛の手紙用の石を持たされた。
『回数を考えて石の値段と耐久性などを考えてこちらにしました』
そして二人にこっそりと耳打ちする。
「私が改造した特別製の石です。貴方達に危険があれば私に居場所がわかるのですぐに転移していきますね」
そして二人のマジックバッグを開けさせてなにかをしながら石を入れた。
「これで勝手にどこかに飛ばされても私が追跡できます。アル殿下やマドレーヌ嬢みたいな事があっても大丈夫」
エリクはにっこり笑った後、真顔になった。
「なのでお二人のうちどちらかはアル殿下と常に一緒に居てください。……あっちはあっちで対策を取っていますがね」
エリクの言葉通り、アルはアルで貰ったものがあるという。
「これ守護者様の匂いがするってうちの精霊が小躍りして喜んでるんだけど」
「ああ、大当たり。これは」
銀と緑が入り混じった葉っぱ型のペンダントだった。裏には王太子のしるしである黒百合の印が刻まれている。元の黒百合の印はアルが父親である陛下に渡した、『ふさわしい人間にふさわしい時に渡してください』と。
このアルが貰った石は守護者がアルの位置をいつでも把握できるものだった。あとは全大精霊の力も宿っているとフロランの精霊が言っているらしい。
「そう。全属性の大精霊様たちも俺を追跡できるようになってるみたいだな。……精霊はどこにでもいるからどこに飛ばされても捜しだせるらしい」
フロランが頷く。
「精霊の一人ひとりの力は強いとは言い難いけど、その土地の力を借りられるので」
今回はフロランとアルとエディは雪豹班、マドレーヌと祖父は雪角ウサギ班、ロゼは医療班、となった。ロゼの『声』と風の精霊の力を借りて全域に伝令を伝えられる力を本部に買われたらしい。本部には北の侯爵、アーノルド・アルバート侯爵、グランサニュー公爵夫妻が詰めている。
「各班一日のノルマを狩ったら、余剰分は好きにしていいぞ。これからの時期、どちらの魔獣も毛皮が良く売れるからな」
ギルドから来ている取りまとめ役が大笑いをして冒険者たちに告げる。アルバート家の庭には簡易解体所もできてなにかお祭りの様相も帯びていた。
フロランとアルもその要請に便乗して行くつもりだった。ちゃっかりマドレーヌも一行に混ざっていた。
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そして二人のマジックバッグを開けさせてなにかをしながら石を入れた。
「これで勝手にどこかに飛ばされても私が追跡できます。アル殿下やマドレーヌ嬢みたいな事があっても大丈夫」
エリクはにっこり笑った後、真顔になった。
「なのでお二人のうちどちらかはアル殿下と常に一緒に居てください。……あっちはあっちで対策を取っていますがね」
エリクの言葉通り、アルはアルで貰ったものがあるという。
「これ守護者様の匂いがするってうちの精霊が小躍りして喜んでるんだけど」
「ああ、大当たり。これは」
銀と緑が入り混じった葉っぱ型のペンダントだった。裏には王太子のしるしである黒百合の印が刻まれている。元の黒百合の印はアルが父親である陛下に渡した、『ふさわしい人間にふさわしい時に渡してください』と。
このアルが貰った石は守護者がアルの位置をいつでも把握できるものだった。あとは全大精霊の力も宿っているとフロランの精霊が言っているらしい。
「そう。全属性の大精霊様たちも俺を追跡できるようになってるみたいだな。……精霊はどこにでもいるからどこに飛ばされても捜しだせるらしい」
フロランが頷く。
「精霊の一人ひとりの力は強いとは言い難いけど、その土地の力を借りられるので」
今回はフロランとアルとエディは雪豹班、マドレーヌと祖父は雪角ウサギ班、ロゼは医療班、となった。ロゼの『声』と風の精霊の力を借りて全域に伝令を伝えられる力を本部に買われたらしい。本部には北の侯爵、アーノルド・アルバート侯爵、グランサニュー公爵夫妻が詰めている。
「各班一日のノルマを狩ったら、余剰分は好きにしていいぞ。これからの時期、どちらの魔獣も毛皮が良く売れるからな」
ギルドから来ている取りまとめ役が大笑いをして冒険者たちに告げる。アルバート家の庭には簡易解体所もできてなにかお祭りの様相も帯びていた。
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